薬王堂気まぐれ通信使bU36  2011・9・29
Yakuoudo Capricious Communications Satellite

先週は北海道に行きましたが今週は九州の熊本に行ってきました。
その間にも広島大学医学部で講義、薬草観察会で野外解説、それに釣りにも行かなければいけません。
忙しい気まぐれ広島人です。
仕事はしてるのかって?

熊本に着いたのは午後3時頃、熊本大学薬学部の東門からお邪魔します。


矢原先生(左)と気まぐれ広島人(右)  ちなみに私は164センチ!


今回お邪魔したのは矢原正治園長の管理する薬用植物園を見せてもらうことでした。
入ると先ず眼に入るのが黒板
先生の研究室は入り口左の二階に有りました。
薬草園は意外と広く薬草の解説もしっかりとされ、きれいに手入れされていました。
少し歩いてみましょう。


熊本大学薬学部・薬用植物園


コガネバナ(オウゴン)
イヌサフラン
カギクルマバナルコユリ(黄精)
ジュズダマ
ハトムギ(ヨク苡)
ビャクブ(百部)
ゴマ(胡麻)
ウコン(葉の中心葉脈に沿って紫色になりガジュツ(我朮)に似るとか!) 花アップ
ヒガンバナ
白花のヒガンバナ


白花のヒガンバナ  鱗茎には有毒な成分が含まれ内服すると下利や神経麻痺・痛みを起こす


シマツマソ(モロヘイヤ)
オオハブソウ(望江南)
エビスグサ(決明)
カリン(日本では木瓜に当てる)
トウゴマ(ヒマ)
ボケ(木瓜)
ウラルカンゾウ(甘草)
ショクヨウダイオウ(食用大黄)
オオバノウマノスズクサ(実)
スイカズラ(花は狂い咲きか?)

特に薬用にはしないようですが
トウワタ
ナンキン?カボチャ
薬用にはしないウスキモクセイの花が咲いていました。
その中で興味深かったのはサンシチニンジンの株があったことです。
矢原先生は広島大学薬学部生薬学教室(田中治教授)のもとで研究をされた薬用人参の専門家です。
その影響でしょうか、数株の薬用人参の仲間も栽培されていました。
私の薬局にも根の薬用部がありましたので紹介してみましょう。


三七人参(田七人参)  薬用にする根茎部

サンシチニンジン

学名   Panax notoginseng
科名   ウコギ科
生薬名 三七人参   別名=田七人参
効能   止血 血流改善 止痛
成分   トリテルペノイド サポニン(Ginsenoside類) パナキシノール
分布   中国雲南省〜広西省  花期6〜8月

三七人参の株

花らしきものが咲いています。
分布地域ではその効能は昔から知られていたのでしょうがベトナム戦争時に、その止血と傷を癒す効果がアメリカ軍の間で評判になり有名になりました。
日本薬局方の医薬品には収載されていませんが、かなり有効な薬用植物です。
最初は本草網目(中国・明の時代に著される)に登場してきます。
血を止め、血行を良くし、腫れを取り、痛みを和らげる目的で用いられてきました。
外傷性出血、内出血、潰瘍性出血、消化器や性器からの出血、さまざまな痛みなど、粉末を傷に振り掛けたり内服します。
22年前、四川省の生薬市場(荷何池)で大量に販売されていた三七人参を見たことが有ります。
中国では雲南白薬という名で製造品も出ているようですが原材料ははっきり示していないようです。

雨が降ってきました。
熊本城を見て帰るつもりでしたがこの雨では無理のようです。
味噌天神にお賽銭を入れ市電に乗って帰りました。


熊本市電


熊本の市電は床が朽ちて、ところどころ修理しながら運行しているようです。
広島電鉄はここまでではないと思うのですが・・・

追記: 薬用人参が収穫される時期です。
私の薬局でも商品の薬用人参の根が切れましたのでスープにしていただきました
気力を養うにはもってこいの飲みものです。
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