薬王堂気まぐれ通信使bU03  2011・1・20
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 堅い話になりますが、薬局で製剤できる漢方薬の種類は210処方(212品目)あります。
これらの漢方製剤は許可承認を得て販売することが出来ます。つまり漢方薬を販売して業とする薬局は医薬品の製造と販売の許可を得なければいけないということです。特に生薬(漢方薬原料)を扱う薬局におきましては高品質漢方薬の維持と管理が大切になります。この制度を利用して漢方薬を製造販売している薬局はそんなに多くはありません。健康相談に来られる方々の為にも我々は薬剤師の判断で漢方薬を販売できるこの制度を維持してゆかなければいけません。

 前置きはこのくらいにして先日、私が感冒に罹りましたので漢方薬自家消費と治療の一端を紹介してみましょう。
時は先日、患者の中にインフルエンザウイルスか風邪の菌を持参した人がいたようで蒲団の中におきまして強い悪寒(さむけ)を感じました。
蒲団を何枚もかけているのに寒いんです。
これはいけない!
早速、妻に葛根湯を煎じさせます。
葛根湯の名前くらい聞いたことはあると思いますが煎じて服用した人はさほど多くないと思います。
薬局製剤の指針に従って調合し一日分を煎じてもらい服用しました。


服用した葛根湯の組成と配剤生薬

葛根・麻黄・桂枝・芍薬・甘草・大棗・生姜・・・7種類の漢方生薬が配剤されています。
葛根湯の処方名が出てきますのは1850年も前の中国の書籍(傷寒論)なんですが以後、頻繁に用いられそれなりの効能効果があるために漢方医薬品処方として日本薬局方の中に収載されることになりました。


類聚方広義・葛根湯條項(尾台榕堂著 1856年・安政三年発刊)


寒気がしたのは午後10時頃でしたから先ず服用したのは生姜ユに入れた温かい葛根湯のエキス剤でした。
30分後、更に煎じた葛根湯を温服します。
あとさきになりましたが寒気と同時に昨日から左股関節前後に痛みが走ります。
寝ていて痛みに我慢が出来なくなりました。
痛い!寒い!という症状です。
葛根湯服用後、身体を温めてじっとしていますと全身に汗をかいてきました


葛根湯を服用後、蒲団を覆ってじっとしている気まぐれ広島人


私は初期の感冒(流感)にはこの方法をとります。
息子が撮影しています。汗・・・!
服後30分、しっかり汗をかいて寒気も去り股関節の痛みがうそのように薄れます。
蒲団下着は汗でびっしょり!
替えの下着は傍に用意しておきます。
11時半、新しく布かれた蒲団にもぐりこみます。
それから3時間ほど寝たのでしょう!
深夜、再び股関節の痛みに目が覚めます。
こうなると葛根湯では無理のようです。
考えた末、痛みをこらえながら治療室に赴きます。
何をしにかって??
私は薬剤師でもありますが鍼灸師でもあるのです。
そう、鍼をするために道具を取りに行ったというわけです。

20センチの中国鍼
坐骨神経痛に症状が似ていました。
臀部の痛みがある部分にブスリ、鍼の付け根を持ち振震させると足の先まで電気が走ります。
ウウウ〜〜〜キモチ〜〜イイ〜〜〜
深度・約8センチ、3時過ぎから4時前まで30分ほど置鍼しておきました。


気まぐれ広島人のお尻


その後、朝まで痛みを忘れて熟睡、次日にはちゃんとして仕事をしたという気まぐれ広島人の感冒に対する対処法を紹介してみました。
葛根湯、されど葛根湯!
鍼灸、されど鍼灸!
と言うところです。
こんな患者ばかりだと日本の保険制度は随分助かるのにな〜と思います。
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