薬王堂気まぐれ通信使bT84  2010・8・15
Yakuoudo Capricious Communications Satellite

        お盆休みの15日、昼から八本松周辺に行くことにしました。


柱頭の赤いサイジョウコウホネやベニオグラコウホネがあると言われているからです。
サイジョウコウホネを発見し研究し命名した方は下田路子さんという理学博士です。
かつて論文をいただいたこともあり自生地周辺の様子を見に行くことにしました。
20年位前に万年青年と八本松から東広島市にかけてため池を廻ったことがあります。
記憶はすっかり遠のいていましたね。
迷ってコンビニの店員に訪ねたところため池の多い場所まで誘導してくれました
助かりました。
一番高いため池(1)の傍に駐車(P)します。


1番目のため池

墓所には安芸門徒特有の鮮やかな盆燈籠が立ち並んでいました。
昔は中にろうそくを立てて火をつけるものだから時々墓火事が起きていましたね。
スイレンアサザヒシといった水中植物があり、傍にはガマが生い茂っています。
道路を横切る地下道があったので下りてみましたところ、ここにもため池がありました。
二番目の池は周りが木々に覆われ人が近づかない場所でした。
更にその下にも池が見えます。
3番目の池は道側が畑地になって墓があります。
湖面は静かでしたがコウホネは無いようです。
4番目の池は一部コンクリで埋め立てられ駐車場になっていました。
反対側は稲田になっています。
ここは稲干場池と言うらしい・・・


4番目のため池・稲干場池


上流側の湖面にコウホネが咲いていました↑
よく見ますと黄色い花の中心が赤く染まっています
下田先生の論文によるとこの池のコウホネがサイジョウコウホネらしい!


サイジョウコウホネ


もう一つ下にある新開池では1990年以降、柱頭(雌しべ先端)の赤いサイジョウコウホネは見られなくなったといいます。
この近くで見られるスイレン科・コウホネ属を整理してみますと、

コウホネ

ベニオグラコウホネ

サイジョウコウホネ

コウホネの花の構造


オグラコウホネは葉柄が中空で花糸が葯の3倍くらいの長さがあるとされています。
雌しべ柱頭が赤い種類をベニオグラコウホネとし全国でも数が少なく「絶滅危惧U類」にランク付けされています。
コウホネ葉柄が中実で花糸がそんなに長くなく葯と同じくらいの長さらしい!
コウホネとベニオグラコウホネの中間型のコウホネがこの地で発見されサイジョウコウホネ(Nuphar japonicum var.saijoense)として新種認定された経緯があり「希少種」にランクされています。
発見命名は下田博士・研究成果の賜物です。
その他のため池にもベニオグラコウホネやサイジョウコウホネが見られるとのことですが探索は次回の楽しみにいたしましょう。
ベニオグラコウホネの現物は見ていません。
これも楽しみにしておきます。
稲干場池にはショウジョウトンボチョウトンボが飛翔しミソハギが咲いていました。
コウホネ、されどコウホネといった所ですかね!
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