薬王堂気まぐれ通信使bT80   2010・7・16
Yakuoudo Capricious Communications Satellite

日本には不思議な植物があるものでタシロランもその一つです。


群生するタシロラン 2010年7月5日撮影


タシロランとは発見者の名前に由るとありますが田代誰兵衛なのか?はっきりいたしません。


ラン科 トラキチラン属 関東地方以南に分布する葉緑素を持たない腐生植物です。
広葉樹下の湿気の多い場所に生育します。
10年前から観察しますが毎年、同じ場所に生えるとは限らず見つけるのに苦労します。
唇弁と花弁、萼片に紅色の斑点があるのが特徴です。
一度だけ見たことがありますがオニノヤガラの根(天麻)によく似た塊状根をしていました。
画像で観察してみましょう!


2010年7月5日撮影



2004年7月4日撮影



トラキチラン属には、トラキチラン・アオキラン・タシロランとが有って前二者の高山性とは異なりタシロランは暖地に生育します。
図鑑に由れば花被片(花弁・萼片)は鋭く尖り、唇弁は下側について距は袋状に子房の下に配置されています。
最初、花茎が伸び上がる段階で折れ曲がっていますが直立すると花柄は微妙に半回転し成熟花となります。
虫媒花と思われますが下開きの花に、どんな虫が集まって受粉を助けているのでしょうか?
薄暗い場所に生育し、全体が白色をしていることから暗闇でも見つけることの出来る虫が来るのかもしれません。
たまたま花の中が見えるものがありました。
距には虫の好きな蜜が入っているのでしょう。
それにしても立ち上がりから終末までの間が短い植物です。
一週間もありませんでした。
晩期(2010年7月15日撮影)には子房が成熟し割開して種のようなものが飛散します。

2010年7月14日撮影
小さな甲虫が来ていました。↑
1年で約1週間しか地上部に姿を見せない不思議な植物です。
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