薬王堂気まぐれ通信使bT49  2009・11・15〜16
Yakuoudo Capricious Communications Satellite

青春時代の〜♪ 思い出は〜♪ 後から〜 しみじみ〜 思うもの〜♪


御茶ノ水の駅前



この歌を口ずさむ年頃になりました。
久し振り、妻と二人で神田界隈、神保町古本屋街に行ってみます。
よく来ていたのは35年以上も前になるでしょうか!
妻はこの近辺に勤めていたので懐かしそうでした。


古本専門の野外店頭


私は神保町より東大赤門前にある本郷の古書店によく行きました。
江戸時代の医学書を専門に探し歩いたものです。
火曜日が休日で、最初は所かまわず本を見て歩きましたがそのうちだんだんと探すこつを覚えてきます。
先ず本屋の主人と仲良くなる事が大切でした。
顔見知りになって親しくなる事!
そうしますと主人のほうから、あれがある!これがある!と言ってくれるようになります。
そのうち、その本がどのような経歴をたどってここに来たのか!
何年位前の書籍で虫食いなどがなく頁が欠落していないとか!
火事に会って水にぬれていない本!
何部くらい摺られたもので何回目の刷りで修復されていないとか!色々な情報を提供してくれるようになります。
火曜日の午前中は本屋の主人も暇で、よく話し相手になってくれたものです。
話しが終わると店頭に並べる前の蔵(倉庫)に案内してくれるようになります。
ここまで信用されるようになったらしめたもの・・・
主人は蔵の中まで付き合ってはくれませんから一人でじっくり本を読みあさります。
そうすると主人の知らない(価値を認識しない!)古本が見つかることがあります。
市場に出れば高価な本も安価で譲ってもらったこともありました。
親しくなれば表示価格より安く譲ってくれます。

古本を買い求めるこつ!

@、本屋の主人をよく知った人(師匠)から紹介してもらう!
A、主人と親しくなる!
B、何度も通って粘る!
C、情熱と執念を示す!
D、倉庫(出荷前の書庫)に入れてもらう!
E、適当に値切る!



欲しい本を求めるには努力を惜しんではいけません。
江戸時代の書籍は台木(ホオノキ)に一頁分の活字を彫って摺りあげた版木本(凸版)です。
紙は薄手や厚手があり薄手には竹の繊維を使った竹紙が主流で厚手はコウゾやミツマタなどの繊維を使っているようです。
紙に使う糊はデンプン糊やトロロアオイだったのでしょう、虫食いが目だちます。
いずれにしても天然物で出来ていますので虫害や湿気に弱く傷んでいるものが多いようです。
中には虫が嫌うクチナシ汁を染ませた黄色紙を見ることもあります。
数冊(シリーズ本)ものでは巻が抜けたものがあるので注意しなければいけません。
火事に会った本は水をかけられて紙同士がくっついたり歪んだりします。
出来のよいものは背表紙を絹で縫うだけでなく紙縒り(こより)で閉めているものがあります。
そのほか、当時のしおり処方箋カタログ、新しいものでは私の家族写真などが見つかります。
大切に保護された表紙には江戸時代の浮世絵柿渋で防水されてものもあります。
落書き書き込み珍品掘り出し物本屋の価格票、持ち主の名前@AB落款数々・・・と内容以外にも様々な発見があります。
写本の中には当時の人物などを連想させてくれる箇所も見られます。


筆写された珍本  吉家とは吉益家か? 大年とは村井大年(琴山)のことか?


版本で在るのにわざわざ時間をかけて写本しているもの、門外不出の家伝を筆写した専門書処方集宣伝書き込み2訳のわからない記号大塚医院時代のメモ、古本は色々な事を想像させてくれますね。


久し振りの神保町に飽きない時を過ごしました。
店先に積まれた300円の本を買いました。
著者は民俗学者・宮本常一氏との交流が有ると書いています。
定価は800円、時が値段を左右するようです。
御茶ノ水学生街、35年前、確かこの辺りに回転寿司の原形である10円寿司の店がありました。
水餃子を売る小料理屋など・・35〜36年前妻と二人で食べ歩いたものです。
コンピューター世界の現在でも古本屋街・神保町は健在でしたね。
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