薬王堂気まぐれ通信使bS96  2008・10・19
Yakuoudo Capricious Communications Satellite

10月19日、私は久し振りにヒコビア(植物観察)会に参加することにしました。
今回で第472回目、場所は大野町の自然観察の森から歩いて1時間半ほどのところにある権現山(700m)に至る山道でした。

ベニマンサク湖 左の山が権現山

ここはマルバノキ(ベニマンサク)が生育し今花が咲きはじめています。
マルバノキはマンサク科のマルバノキ属に属す一種のみ、別名ベニマンサクとして知られていますが日本でも限られた地域にしか見当たらず珍しい樹木です。
久し振りに万年青年(今年で米寿!)に電話をしてみました。

気まぐれ広島人:「久し振り、元気!ところで広島のベニマンサクのことを教えてよ!最初に誰が見つけたか知っとる?」

かつて越智氏(故人)から、戦前にクリーニング店を営む植物愛好家によって見つけられた!というような事を聞いた事があります。
今まで見たことの無い丸い葉の樹木ということだけで名前が分からなかった!というような内容でした。

万年青年:「発見者は説が色々でわからんでの〜、牧野富太郎先生が戦前に大野のベニマンサクを見に行ったらしく、その時に確認しとるんじゃ。牧野先生は広島大学理学部の臨時講師を勤めたことがあって広島をあちこちを歩いとるんじゃ!牧野先生の日記に大野町のベニマンサクのことが詳しく書かれとる。堀川教授(故人)の若い時によく広島に来たらしい・・・」

古い話しです。
万年青年も昔の人の名前を思い起こし懐かしそうでした。

マルバノキ

人造湖(ベニマンサク湖)の側にはたくさんのマルバノキが見られます。
花を少し大きくしてみましょう。
めしべの柱頭は2本あるようです。
おしべも一緒の花にあり一種類の花だけですので雌雄同株なんでしょう。
花被片は元でくっついている合弁花に見えますがもう一度、よ〜く見ると離れています。
そこに蜜でしょうか?水滴のようなものが付いていました。
おしべも5本、1本に2個の葯があります。
丸まった花びら(花被片)が伸びきると、おしべが花粉を放出する準備をします。
2つの葯ははじけるように同時に割れポリネーターに付着するようです。
微妙ですが柱頭より僅かに下で開裂するのは自家受粉をしないように考えられているからでしょうか?
また日光に充分当りたいためか、花の多くは二つの花弁が重ならないように出来ています。
蕾のうちからちぐはぐに付いているものが多いようです。
匂いはドクダミの香り!虫を呼び寄せているのでしょう。

ベニマンサクと言われる花!


湖の奥から権現山に至る山道に入ります。
けっこうきつい山道でしたね。
このあたりの林には松が健全に育っていました。
松は日光と風通し(適当な寒冷!)を好む樹木です。
松の下には冬に葉を落とすシロモジが多く風通しもよく日光に当りやすいとのこと、常緑のソヨゴやヤブツバキなどが無いことで松の木を食い荒らすカミキリムシが繁殖しにくいと豊原指導員から教わります。
途中、樹皮を線状に切られた痕のある老松がありました。
戦時中、動力源に使うため樹脂を採集した痕跡です。
松は生きていましたからこの山の環境がよほどよいのでしょう。
その他には、カマツカキクバヤマボクチミヤジマママコナコウヤボウキナガバノコウヤボウキリンドウミズニラジュンサイシラヤマギクヤマウルシウリカエデウラジロノキサワフタギなどが目に付きます。
珍しいものではオオバウマノスズクサがありました。
画像の無いものでは、ナツハゼ、カスミザクラ、シロダモ、アクシバ、ミヤマシキミなどがありました。
ヤマシロギク(イナカギク)かと思われたものは参加していた人からシロヨメナだと教えてもらいます。
外見上、ほとんど区別がつきませんが図鑑によると葉が少し茎を巻くのがヤマシロギク、巻かないのがシロヨメナとありました。
分かりませんですね。

シロヨメナ


権現山(699,5m)頂上に着きました
東にのうが高原を見る佐伯町に入る峠が見渡せます。
南は遠く宮島、宮島海峡が霞んで見られ手前は大野の自然林が広がっていました。
ここからの眺めは格別でした。
人工物が全くありません。
ただ、ベニマンサク湖に有る自然観察をする小屋の屋根が見えるだけ!
しばらく岩の上から見とれていましたね。


遠く宮島 宮島海峡があり大野の自然の森 ベニマンサク湖に小さく観察小屋の屋根が見えるだけ



頂上を後にして渡ノ瀬ダム湖〜三倉岳〜弥栄ダム湖へと向かいます。
三倉岳を見る栗谷の集落では稲刈りの真っ最中でした↓。



弥栄ダム湖は山口県と境を接する地域です。
友人の情報から水晶がある洞窟があるという!
一人車で向かいます。
ありましたね!
岩肌に無造作に掘られた洞窟が・・・
入ってみました
掘られて数年が経っているようです。
わ〜!コウモリだ!
頭上で羽の音が・・・
それにゲジゲジと思われる多足類の虫が壁一面を這いずり回っています。
最も深い場所は少し掘り込まれて水が溜まっています。
暗くて見えませんが懐中電灯を持参して何とか見えます。
何でしょう?昆虫がいますね。
ネットで紹介して調べてもらいましたらカマドウマ(便所コオロギ)だと、ゲジゲジはオオゲジとの返事をもらいました。
肝心の水晶、掘りつくされて形のよい物は無いようでした。
弥栄村のあった場所を通って笑点を見るために家路を急ぎました。
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