薬王堂気まぐれ通信使bS93  2008・9・28
Yakuoudo Capricious Communications Satellite

9月28日・日曜日、朝から一人ヒガンバナを見に芸備線沿線を上ってみました。
三次からの3両連結列車が鉄橋を渡ります。

ヒガンバナは今が盛りでした。
三篠川を上り川の側にもたくさん咲いています。
支流の川底にはオイカワが群れを作って泳いでいました。
向原〜有福辺りでは稲の刈り取り作業をしています。


鷹巣山に車を走らせます。
今日はトリカブトを見てみましょう。
家から一番近いトリカブト(タンナトリカブト)の自生地です。
花は綺麗に咲いていましたが葉はほとんど無いようでした。
猛毒のトリカブトを食べる虫(毛虫)がいるようです。
タンナトリカブトの植物名は、Aconitium japonicum thum ex 云々
日本にも各所に種類の違ったトリカブトがあるので分類も大変なのでしょう。
広島県にはタンナトリカブトの仲間にサンヨウブシとレイジンソウがあると言われています。
この花は烏帽子のような頂上花がある為にトリのカブトのようだということで名前が付いたようです。
雅楽の奏者や神主さんがかぶる帽子もとりかぶと(鳥兜)と呼んでいるそうです。
花の構造を見てみましょう。

花びらに見える部分はがく片が変化しているそうです。
烏帽子のような頂上花は上がく片、
その下に両側からおしべをはさみ込むようにして側がく片、
下部には訪れる虫が停まれるように下がく片があります。
この花ではめしべの柱頭がおしべをかき分けるようにして出ています。
受粉を済ませた花のようです。
花弁は烏帽子の中に隠れるようにあります。
普通、ここまで見る人はいませんね。
受粉が終わり、がく片や花弁、おしべが落下したあとには3つに分かれた子房が残ります。
子房の下には花柄がありここに毛があるか?無いか?毛があればどんな毛なのか?などによって分類するという・・・
タンナトリカブトでは先の曲がった細い毛があります。



花を分解してみましょう。

頂上の部分は上がく片↑
二枚ずつの側がく片と下がく片↑
真ん中には下部にタク葉らしきものを付けた花柄↑
中央には花弁の柄から伸びた多数のおしべが見えます。
おしべから伸びる二つの巴形↑(花柄を分割)のものが花弁だそうです。
正面を向いているのですが分解したために横向きになっています。
花弁を近くから見てみました。
上がく片の中に収まる二つの花弁
花弁を横から見たもの
花弁だけを引っ張り出してみましょう。
正面から見たもの
横から見たもの
二つあるのが分かります。
曲がった袋状になった部分をカミソリで割ってみました↓

光る粘液が見えます。
少量でしたがなめてみます。
甘い!これは蜜でしょう。
おしべの花粉をお腹に付けた虫は両側の側がく片を広げながら花弁にある蜜を吸うようです。
側がく片には毛が密集していました。
かなり大きな昆虫で、お腹に花粉をつけること、力ずくで前に進み、少し長い舌で花弁の中にある蜜を吸うことができる・・・
次の花に飛んでいって下腹に付けた花粉をめしべにつけることができる昆虫と言ったらなんという虫でしょうか?
来訪する虫を待つほどの時間はありませんでした。
おしべの中には3本に分かれた子房があります。
ネットで調べると「多くのおしべに囲まれてめしべがある!」とあります。
じゃあ、おしべの数は何本あるのでしょうか?
一つの画像を元におしべの数を数えてみました。
39本、中途半端な数でした。
但し3の倍数です。


トリカブトのおしべの数


多くの花を対象に、おしべを一本ずつ肉眼で取り去って数えることが一番いいのでしょうが老眼が邪魔をします。
今回は一つの花の数ですが次回は数個の花で試しましょう。
撮影していて気が付いたことがあります。
成熟する前の花では、おしべがめしべを覆い隠しているということです。
おしべが順番に成熟し葯から花粉を出す間、めしべはおしべの柱に包まれて隠れているということです。
おしべは外側から順番に成熟し花粉を出す状態になっています。
最後にめしべに近いおしべが成熟します。
この時も未だめしべは包まれて受粉が出来ない状態です。
全てのおしべが成熟し葯がはじけて柱が反り返ると、めしべの柱頭が現れます。
自家受粉を避けるために巧妙に考えたトリカブトの手段なのでしょうか?
自然はよく出来ています。
トリカブトの脳みそはどこにあるんでしょうね〜?
次回は更にトリカブトの不思議に迫ってみましょうね。
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