薬王堂気まぐれ通信使bS92   2008・9・23
Yakuoudo Capricious Communications Satellite

今日・秋分の日は年に一度の「薬草に親しむ会」が開催されます。
私はもう何年、この会に協力しているでしょう。
主催は広島県と広島県薬剤師会、協力組織として広島漢方研究会が講師派遣や場所などの選定に係わっています。
薬草の効用を説明する講師として30年近く参加しています。
今回は北広島市の加計高校芸北分校周辺で開催されました。
午前10時集合でしたが広島市からは遠くギリギリの時間に到着することができました。
会場では芸北地区の特産品でしょうか!トウガラシやリンゴ、トマトなどの農産物を販売していました。
今回の講師は9名、その中の一人として20人くらいの県民参加者を引率します。
薬草を説明するのは難しいですね。
実際に活用しなければ意味が無いし、活用にはいろいろ工夫しないといけないし使い方を間違うと弊害が起こります。
植物の正確な同定も必要です。
ですから講師も薬学専門の先生、植物を正確に分類する教育関係者、私のように実際に薬草を扱う立場の人間と様々です。
さあ〜観察会に出発です。
一般参加者は植物を取ることは禁止されていますが説明するには掘ったり説明部分を分解したりすることがあります。
直ぐに引き抜けそうなギシギシも根を掘ってみると意外と取れにくく塊根状をしています。
タデ科のこの仲間にはノダイオウとかキブネダイオウといった漢方薬の「大黄」の代用にしたと思われる名前が付いています。
大黄にはセンノシドという瀉下成分やアントラキノン類の抗菌・抗炎症作用のある成分が含まれています。
ギシギシにも類似成分が含まれていますが日本で大黄の自生が無いため昔から代用品として用いられてきたのでしょう。
20年前でしたか焼き鳥屋の主人が漢方薬を買いに来たことがありました。
その人は水場の立ち仕事の為に長靴を履いていたそうです。
そのため足が蒸れてひどい水虫に悩まされていると言います。
年に一度、山に行ってギシギシの根を採って来て、切って小さくつぶし足の裏に塗りつけてビニールで覆って長靴のまま仕事をすると言いました。
数日で足の形をした皮がすっぽりと取れるそうです。
水虫の痒みから逃れることが出来るんだとギシギシの効用を私に話してくれたことがあります。
まあなんと荒治療ですね!
同じタデ科ではミゾソバが咲いていました。
ミゾソバには薬効はありません。
山道にアラゲナツハゼが実をつけていました。
ツツジの仲間でブルーベリーに近い種類です。
食べてみて御覧なさい!と薦めます。
ブルーベリーの味にそっくりなので皆びっくりしています。
後続の参加者には気の毒でしたが・・・
スイカズラ科のミヤマガマズミが赤い実をつけていました。


ミヤマガマズミ


そばにガマズミがありました。
ホワイトリカーに漬けて服用する方があるようですが赤い色は綺麗でも味は今ひとつだと思います。
効用は特にありません。
鳥も好んで食べるわけでもないのでしょう、冬近くまでこの実は残っている事が多い!
キク科ではヒヨドリバナ、何ヒヨドリバナかな?
サワヒヨドリとかサケバヒヨドリの名前が出てましたね。
ノコンギクが咲いています。
ヤマシロギク(イナカギク)が咲いていましたがシラヤマギクと思う人もいたようです。
キク科ではその他、キセルアザミアキノキリンソウがありました。
シソ科のアキチョウジ、夏枯草として利尿薬やルイレキに用いられるウツボグサ
キキョウ科のサワギキョウ
サワギキョウは雄性期が過ぎてもう雌しべが飛び出ていました。
虫によって受粉される仕組みがよく分かる構造になっています。
ミルクの雫が飛び上がったような花はシラヒゲソウです。


ユキノシタ科 シラヒゲソウ


ユキノシタ科の植物です。
リンドウ科のアケボノソウもきれいでしたね。
花びらにある緑色の点は蜜腺です。
黒点を散らせたような花が普通に見られますがこの個体には黒点が見られませんでした。


リンドウ科 アケボノソウ


ユリ科のシュロソウもありましたね。
ツリフネソウ科・ツリフネソウの可愛い花など・・・
2時間の山歩きのあと私の話しを聴いて下さった参加者数名と記念撮影
その後、芸北文化ホールで参加者を対象に薬草の話しがありました。
私は薬剤師でありながら薬草以外の話しをしたのが悔やまれました!


観察会に歩いた山道

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