薬王堂気まぐれ通信使bS87  2008・7・19〜20〜21
Yakuoudo Capricious Communications Satellite

スイス旅行記・最終回
今日はマッターホルンの見える丘に登ります。
19日朝、登山電車に乗ってツェルマットからゴルナーグラート(3130m)まで一気に上ります。


ゴルナーグラートからの眺めは素晴らしかったですね。
360度、パノラマ映像(北西北東)を見ているかのようにスイスの山並みが続きます。
マッターホルン(南西)の左にリスカムの頂を仰ぎ、ゴルナー氷河の源であり峯の最高峰=モンテローザ↓(4634m)の勇姿を目の前に見ることが出来ます。


左がモンテローザ、ゴルナー氷河をはさんでリスカムの頂

晴れてよかった!
モンテローザをバックに妻は上機嫌でした。
1時間ほどアルプスの風景を堪能しゴルナグラート駅から一つ下の駅=ローテンボーデンまで電車に乗ります。
そこで下車し、もう一つ下の駅=リュッヘルベルクまで山岳ガイドと共に歩きました。
途中、リュッヘル湖に映る逆さマッターホルンが綺麗でしたね。


映し出された逆さマッターホルン

ゆっくりと下山しました。
こんなところにも自転車愛好家がいる!
山岳ガイドはローテンボーデンからリュヘルベルクまでの一駅区間だけでした。
ここからは登山電車の乗って下山して下さいとのこと・・・
せっかくここまで来たのに電車に乗って下山するのはもったい!妻とリュヘルアルプの駅まで歩いて降りることにします。
この判断は正解でした。
アステル・アルピニス(キク科)の咲く丘↓を歩きます。


アルプス・アスターとも呼ばれる赤紫色の菊=アステル・アルピニスとマッターホルンの見える丘

気のついた植物を紹介しましょう。

先ず目に入ったのはリンドウ科植物の青でした。
アルペンローゼ、エーデルワイス、エンチアンはスイスの三大名花ですが、エンチアンとはドイツ語でリンドウ科の青い花の総称と言われます。
小さなものから大きく開いたものまで見ることができました。
高地のリンドウ科で花の小さなもの高地でまとまって咲くもの立ち上がるものリュヘンアルプの近くで咲いていたもの、トウヤクリンドウに似たものなど、、

ベンケイソウ科の植物もありましたが初めてみるものばかりです。
数種類のセンペルビブムの中で下の画像はモンタヌムだと思います。


ベンケイソウ科  センペルビブム・モンタヌム

同じセンペルビブムでも種類が多く、日当たりのよい岩場に生え根元の葉の先が白い綿毛で覆われるセンペルビブム・アラクノイデウム。同属のセンペルビブム・テクトルムは花弁がやや狭く背丈が高い種類です。

分かりにくいのがユキノシタ科の植物でした。
苔ユキノシタとも呼ばれるサクシフラガ・ブリュオイデスサクシフラガ・オポジティフォリアサクシフラガ・ブリオイデスは岩の割れ目に這うように花を咲かせます。

ゴマノハグサ科のベロニカ・フルティカンスは高地性のクワガタソウで、紫色のヒキヨモギに似たバルトシア・アルピナ、高地性のシオガマギクに似たペティクラリス・ケルネリ?、やや低地にあるタカネシオガマに似たペディクラリス・ベルティキラタなど。

ナデシコ科ではディアントゥス・カルトウシアノルムと思われるもの、それに全く何科に属すのか分からなかったリクニス・アルピナ、もしかしてシレネ・エクスカパか?アルピナよく似た植物にシレネ・アカウリウス?という植物があるけれども私には同定は無理のようです。


ナデシコ科 リクニス・アルピナ

マメ科のミヤコグサにそっくりなもの、レンゲによく似たもの、イワオウギに似た黄色い花、

キンポウゲ科のオキナグサに似たもの、

キキョウ科のイワギキョウそっくりのもの、

バラ科と思われる黄色い花

アブラナ科と思われるもの

キク科の植物も分からないものばかりでしたが、高地性の背の低いもの、黄色の花で葉に白い毛の有るもの(真正ヨモギと呼ばれるものか?)、マーガレットに似るもの、高山性でノコギリソウに似るもの、少し湿り気のある所にあるもの、水気が多い湿った岩場にあるドロニクム・クルシイと思われるもの、アズマギクに似たエリゲロン・アルピヌス、アルプス・アザミことキルシウム・スピノシスシムム、日本のノアザミそっくりのもの。


キク科のエゾコウゾリナによく似た、クレピス・アルピストリス



タデ科のハルトラノオに似たもの、ヒメスイバに似たもの、

セリ科の植物その2

ラン科の植物ではトンボソウに似たもの、日本には同属のものがないニグリテラ・ニグラという真赤なラン。

トウダイグサ科のエウフォルビア・キパリスシアス

フウロソウ科の青いゲンノショウコ

イグサ科の植物か?

高地性のヤナギ科の植物でしょうか?白い花を咲かせていました。

ここで一休み、昼寝をするのにはもってこいの場所でした。
この丘には教会があり各所に通ずるわき道もあります。
ミヤマキンポウゲの咲く山道を下りました。
見慣れぬ蝶はシンシアヒョウモンモドキだと教えてもらいます。
キク科エゾノチチコグサに似るアンテンナリア・ディオイカ↓のお花畑に大きな息を吸い込みます。



キク科 アンテンナリア・ディオイカの咲く道

リュヘルアルプの近くまで降りて来ました。
この道はなんとよい道でしたでしょう。
何時か、もう一度、この辺りで時を過ごしてみたい。
そんな気持ちにさせてくれる行程でした。
リュヘルアルプの近くにはエーデルワイスを育てるホテルがあり軌道が通っています。
リュヘルアルプから登山電車に乗りツェルマットまで帰ることにします。
午後からは自由時間、今夜のツェルマットはダウンタウンパーティが開催されていました。
日本から持ち込んだインスタントラーメンを食べて今夜は寝ることにしましょう。

マッターホルンには圧倒されましたね。
20日早朝、月のあるマッターホルン、しばらくして朝日に燃え上がるマッターホルンを眺めながら別れを告げます。

さようなら・・・マッターホルン、そしてスイス




(追記)
20日朝、ツェルマットから氷河特急に乗り二駅目でバスに乗り換えます。そこから西に移動してテーシュというところで休憩、直後にバス左側にぶつけられるという交通事故にあいました。事故処理の後、セントバーナードで知られる現地の発音=サンベルナール峠を越えてイタリア領に入ります。サンベルナール峠の山道では多くの犠牲者が出たと言われます。イタリアのクールマイヨールでパスタをいただきながら昼食にしました。ここからロープウエイに乗ってモンブランの山並みを見ながらフランスに入る予定でしたが嵐の為にトンネルを通ってフランス領に入ります。保養地シャモニーも生憎の曇り空、モンブランの見える所まで電車で上りましたがやはり雨に遭います。シャモニーからフランスを通ってスイスのジュネーブに夕方に入りました。旅行ツアーの仲間に誕生日を祝ってもらい次の日の21日、フランス経由で日本に向かいました。

※植物の同定には現地で買ったローマン写真出版社発行の「アルプスの花」と日本で買った小島潔著の「スイスアルプスの花を訪ねて」を参考にさせて頂きました。
ホーム   一覧に戻る