薬王堂気まぐれ通信使bS85 2008・7・17
Yakuoudo Capricious Communications Satellite
7月17日・スイス旅行3日目
今日は宿泊地・グリンデルワルトを出発し、グルントからロープウェイでメンリッヘンに移動し、クライネシャイデックという登山電車の中継駅まで植物観察をしながら歩き、クライネシャイデック駅から登山電車に乗ってユングフラウヨッホ(3454m)駅まで行ったという、そこから折り返してラウターブルンネンの駅まで登山電車で下り、バスに乗り換え、シュタウフバッハの滝とトリュンメルバッハの滝を見てグリンデルワルトに帰ってきたという一日を紹介してみましょう。
午前8時過ぎ、グリンデルワルト駅から電車に乗って二駅目のグルントに到着します。ここから4人乗りのロープウェイ・ゴンドラに揺られてメンリッヘンまで登ります。
メンリッヘンからクライネシャイデックの駅までラウベルホーンを頂とする山麓を植物を見ながら歩きました。
先ず目につきましたのはスミレ科のビオラ・カルカラタ、観賞用三色スミレの原種と聞きました。
ここにも紫色の「悪魔の爪」と呼ばれているキキョウ科・ビュテウマ・オルビクラレ? or ヘミスファエリクム?があります。
あちこちに群生するのはフウロソウ科のハクサンフウロやゲンノショウコに似たゲラニウム・シバティクム。
キキョウ科ではユリ科のツルボによく似たフィテウマ・スピカツムという花、カンパヌラ・バルバタという花の内側や茎に毛の多い植物がありました。
ナデシコ科のクキナシマンテマ(シレネ・アカウリス)、同じ科のシレネ・ブイルガリス、赤いナデシコ・マンテマに似たシレネ・ディオイカが咲いています。
マメ科では黄色い花でミヤコグサによく似たロトゥス・アルピヌス、黄色いシロツメクサに似たアンティリス・ブルネラリア、赤いレンゲに似たトリフォリウム・アルピヌム、イワオウギに似た赤い花など・・・
キク科クレピス・アルペストリスと思われる花、苦しい思いでドロニクム・クルシイと同定した黄色の花の植物、あちこちにあるフキとメタカラコウの中間型=アデノスティレス・アリアリアエ。
リンドウ科ではトウヤクリンドウに似たもの、やはり苦しい思いで同定したゲンチアナ・クルシイ?画像が本当?であればスイスを代表する三大名花に挙げられているエンチアンという植物でしょう。
但し、エンチアンとはドイツ語でリンドウ科の呼称で一種類だけのリンドウではないとのことを専門家の方から教わりました。
珍しいものにタヌキモ科の白花ムシトリスミレ=ピングイクラ・ブルガリスがありました。
この植物の葉は粘着性があって小昆虫を動けなくして栄養を摂取しているとのこと・・恐ろしい!
ラン科では日本に同属の無いPseudorchis albida(掲示板で教えてもらいました!)の白い花、赤い花のハクサンチドリに似たもの。
ユキノシタ科のサクシフラガ・パニクラタは葉に小さな鋸歯があることでサクシフラガ・エグザラタと区別されているようです。
バラ科のダイコンソウに近いゲウム・モンタウム、日本のチングルマによく似た種類、バラ科の赤い花でテリハノイバラに似たロザ・カニナ。
キンポウゲ科の黄色の花や白い花の数々1・2・3、オキナグサに似た植物など名前のわからないものばかり。
ゴマノハグサ科の黄色いシオガマ=ペディクラリス・ツベロサ、紫色のヒキヨモギに似たパルトシア・アルビナ、初めは全く名前の分からなかったリナリア・アルピナ。
タデ科のイブキトラノオに似たポリゴヌム・ピストルタ。
シソ科イブキジャコウソウに似たティムス・ポリトリクス。
オオバコ科?の植物。
セリ科のこれも同定不可能な植物。
花びらが4枚のようだからアブラナ科のカルダミネ・プラテンシスだろうか?
イチヤクソウ科のピロラ・ロトゥンディフォリアは日本にあるイチヤクソウにそっくりです。
オミナエシ科のバレリアナ・トリプテリスだろうか?ツルカノコソウに似てバレリアナ・モンタナやバレリアナ・ディオイカとどのように違うのだろう?
ここで綺麗だったのはアルペンローゼことツツジ科のロードデンドロン・フェルジネウム、エンチアン・エーデルワイスと共にスイスの三大名花の一つです。
スイス三大名花の一つアルペンローゼ。ツツジ科のシャクナゲの種類。
イワウメ科のイワカガミにそっくりですが実はサクラソウ科のアルプスイワカガミダマシことソルダネラ・アルピナ↓も綺麗で興味深い植物でした。
ソルダネラ・アルピナ(イワカガミダマシ)の花
ユングフラウの雪渓を背景に咲くキキョウ科のイワギキョウそっくりの花は、葉の形態からカンパヌラ・スケウクゼリと思われます。
全ての植物が始めて目にするものばかりでした。
もう一度来てみたい!そうゆう衝動にかられます。
2時間をかけてゆっくりと山道を横切りメンヒ・ユングフラウを見上げアイガー北壁を左に仰ぐクライネシャイデックの駅(2061m)に到着します。
中央にユングフラウヨッホの駅頂上部・スフィンクスが見えます。
駅からはアイガーの横、中央にそびえるユングフラウヨッホ駅が見て取れました↑
アイガー北壁は反り返る岩肌で登坂困難なことで知られています。
それでも1938年の初登頂者からの各人登坂ルートが看板に示されていました。
クライネシャイデックからはアブト式の登山電車に乗ってヨーロッパ鉄道最高地点(3454m)のユングフラウヨッホ駅に向かいます。
途中、アイガー山に掘られたトンネルを通りますがよくもまあ、高度差1000メートル以上も長い長いトンネルを掘ったものだと・・あきれるばかり!
私は風邪をひいていたこともあり上昇するごとに心臓の鼓動が激しくなって大丈夫かな?という心細い気分になりました。
いわゆる高山病です。
アイガー北壁に開けられた窓のある二つの駅からはグルントの村がはっきりと見えました。
暗闇を登ること約30分、ユングフラウヨッホ駅に到着です。
そこから大きなエレバーターに乗って頂上部に出ました。
先ほどの透明感はなく辺りは霧と雲で何も見えませんでした。
風の具合で何とか見えたのは北側に落ち込む氷河の表面だけでした。
こんなところにもカラスのような口ばしの黄色い鳥が住んでいるようです。
ヨッホ駅にこの地で採れる水晶を売っていました。
いいものはスイスフランで50フランから98フラン(約6000円から11000円)します。
日本円で700円相当の6フランの水晶を一つ買います。
大満足でした。
スイス国鉄の最高地点トイレを撮影し、1時間ほど休息してヨッホ駅をあとにします。
途中、私たち夫婦の前の座席に座ったのは南フランスからの夫婦でした。
英語で少し話しをします。
フランスの夫婦:「私たちは結婚44年目を祝う旅行をしてるの・・」
気まぐれ夫婦:「それじゃあ、私たちは34年目・・」
フランスの夫婦:「窓の外に白い花が咲いてるでしょう、私の名前もマーガレット。主人はジョン?(ここらは忘れる!)歌いましょうか。」
その後、マーガレットを主題にした有名な歌を披露してくれました。
車中の夫婦はずっと手を握り締めていましたね!
午後3時頃、ラウターブルンネン駅に到着します。
ここには教会を配すシュタウフバッハの滝があります。
その後バスに乗り換えもう一つの滝、トリュンメルバッハの滝に行きました。
トリュンメルバッハの滝はユングフラウからの氷河の水が岩を侵食し地中の滝を作り出しています。
水は何万年、何億年と岩を削り独特な風景を作り出しています。
ここにも特有の植物がありましたので紹介してみます。
ラン科のカキランの仲間、エピパクティス・アトゥロプルプレアと思われる植物。
バラ科フユイチゴに似たイチゴの種類。
ユリ科ギボウシに似た植物。
ナデシコ科の白いマンテマに似たもの。
フウロウソウ科に似た分からない植物。
木本の全く分からない樹木。
キキョウ科ソバナに似た植物などが振り出した雨に濡れていました。
今日は長い一日でした。
6時にグリンデルワルトのホテルに帰り着くと先ずはビールで咽の渇きを潤します。
これがまたまた咳風邪に悪かった!
次回はグリムゼル峠とフルカ峠を通りアンデルマット駅からアルプス鉄道に乗ってマッターホルンへ向かう旅を綴ってみましょう。
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