薬王堂気まぐれ通信使bS75   2008・5・11
Yakuoudo Capricious Communications Satellite

5月11日・第二日曜日、
午後から友人と芸北地区にドライブに出かけました。
芸北・・・
かつて牧野富太郎先生は一日がかりで広島駅からバスに揺られて来たと言う。
今では1時間と少しでこの地区に入ることが出来ます。
まず温井ダム周辺で植物を観ることにします。
半日陰の林床には、チゴユリミヤマガマズミヒメハギの紫色の花、またナツアサドリも咲いていました。

ナツアサドリ
図鑑によるとナツアサドリは中国地方(兵庫〜広島地区)にしか見られないグミ科の植物とされています。
かつて、なにかの本で知ったのですが夏に取れるグミ(えぐい実)という意味から転化した名前だとのこと、
一枝、活かして帰ります。
家でじっくり観察してみました。

ナツアサドリの花
花に2種類あるようです。
少し色白で花と思われる4枚のガク片が開ききっているもの、
もう一つは、少し黄色でがく片が開きかけているもの、
二つの花を比較すると枝から出る花柄の長さが違います。
図鑑から判断すると、白い方は雄の花、黄色味がかかっている花は両性花と判断出来ます。
四枚に切れ込んだがく片の基部に4本の雄しべが付いているのが雄花
同様の構造ながら1本の雌しべが見えるのが両性花という訳です。
両性花の基部、がくの続き部分とされている所に子房があります。
其の部分を切ってみました。
半割りのがく筒には雌しべがあり少し膨らんだ部分に蜜を溜めています。
この蜜を吸うには花の奥まで届く長い舌のようなものが必要になります。
蝶か蛾の仲間を呼び寄せているのでしょう。
実が熟した頃にまた観察してみたいですね。

温井ダム
温井ダムはずいぶん大きな構造をしています。
2001年に完成した国内では黒部ダムに継ぐ高さのアーチ式ダムだそうです。
30年前、水の底になっているところを通って島根県によく行ったものです。
貯水域の切れる部分にかつての滝山峡谷を思い出します。
目の前では青々と新緑が風になびき、頂上付近では芽が出たばかりの広葉樹が天空に伸びていました。

滝山峡よりみる稜線付近
大泊ダムを過ぎて芸北地区に入りました。
下界とは一月以上の差があるようです。
赤味の強いコバノミツバツツジニシキゴロモハンカイソウウスギヨウラクオオイワカガミなど、
昔、車で通った木の吊り橋が残っています。
道路特定財源で造られた立派な道からの眺めです。
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