薬王堂気まぐれ通信使bS72   2008・4・20
Yakuoudo Capricious Communications Satellite
満月を 背中に負いて 春の海     (詠み人=気まぐれ広島人)
気まぐれ広島人は日曜日が近づくと元気になります。
19日、土曜日も仕事の後で海に出ました。
瀬戸内海でアナゴを釣りながらカキ筏で一夜を過ごします。
カモメの声で起されて、風の中メバルを釣って(そんなの逃がせ・・・の意見あり!)
食糧難が来ると言う!気まぐれ広島人は自給自足の練習中です。
という訳で早朝までに夕食の準備をして帰宅します。
昼までには魚をさばいて・・・午後からは豊栄(とよさか)町辺りに春を感じに行ってきました。
今、何を見るのかって?
コバノミツバツツジです。
山一面を紫色に染める春の使者です。
コバノミツバツツジ
いいですね〜
芸備線・向原から板鍋山のある福富町・豊栄町辺りに入ります。
友人から安宿(あすか)という地名を聞いたのを頼りにその周辺をうろついてみました。
おばさんがいます。

気まぐれ広島人:「林道に入るのは何処からですか?」

おばさん:「その先のイノシシ除けの板を外してから進むんよ!入ったら元どうりにしておいてね。」

板を元どうりにして林道を進みます。
20分くらい登ったところに池がありました。
車ではここが最終地点のようです。
ここからは徒歩で散策してみましょう。

天神岳のすそ野に広がる湿地とため池

標識に天神嶽方面とありました。
天神嶽?聞いたことがありません。
とにかく登ってみる事にしました。
時間は午後の3時半過ぎ、大丈夫でしょうか!
道にある植物を楽しみながらの登山です。
ショウジョウバカマウグイスカグラヒガンマムシグサシュンランアセビなど・・・
特にコバノミツバツツジは見事でした。
ここで一つ、一大発見があります。
ウスバサイシンです。
場所はネットで特定できませんがこの辺りで自生していたということにしておきましょう。
私はここを含めて広島県で3箇所、自生地を確認していますが一箇所は一年後に行きますと全ての株が持ち去られていた!という経験があります。
そんなにまでして持ち去る植物ではないのですが漢方薬では「細辛」として漢方生薬に当てられています。
葉は薄く、花に見えるガク片は三裂し先はつまんだように細く湾曲し、メシベの柱頭が6個、オシベが12個、・・当にウスバサイシンです。

ウスバサイシンの花

広島県北にはよく似た、メシベの柱頭が3個、オシベが6個のクロフネサイシンも自生しています。
ウマノスズクサ科のこの植物は生育地を拡大するのが苦手のようで広範囲にはありません。
さあ〜山を登りだしてそろそろ5時近くになりました。
もう帰ろう、と思ったところに標識が目に入ります。
左は中天神嶽、右は東天神嶽!
どちらに行こうか?どちらも行くには時間がありません。
中天神嶽に登ることにします。
タムシバの咲く山道を約10分歩いたでしょうか!
中天神岳(757,5メートル)初めて立つ山頂です。
正面左に東天神岳、右手下方に安宿(あすか)の集落が見えます。
後方下は神村の集落でしょう。
いい眺めでした
頂上の岩にはゲンカイツツジがあります。

ゲンカイツツジ

コバノミツバツツジは上3枚の花びらが細くめくれたようですがゲンカイツツジは一様に幅広く、花の時期に葉が出ません。
またコバノミツバツツジの子房には薄い毛が多いのに対して、ゲンカイツツジの子房には毛がありません
玄界灘周辺にあるツツジという意味でしょうが韓国にもあり、かつて日本と大陸が陸続きであった証拠植物にも挙げられていると言われます。
それにしても身近にこんなにたくさん植物がある。
季節を違えればまた違う植物も見ることが出来るでしょう。
初夏にもう一度、訪れてみたくなりました。
今度は東の天神嶽にも挑戦してみましょうね。
夕の世羅大地をあとにして帰路についたのは午後6時過ぎでした。
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