薬王堂気まぐれ通信使bS68  2008・3・17
Yakuoudo Capricious Communications Satellite

2月10日(日曜日)の早朝にオウレン(Coptis japonica)の画像を撮影しに行きましたが、3月17日(月曜日)の早朝にはバイカオウレン(Coptis quinquefolia)の画像を撮影に行きました。
朝も早くから、9時から仕事があるというのにご苦労なことです。
午前5時、家を出ます。
辺りは真っ暗、6時過ぎに杉林の現地付近に到着しますがやはり林床内は暗闇です。
しばらく休んで車から出ます。
林に入ると足もとに白い花がちらほら!
まだ早いようですが気の早い花は開花していました。
花を見てみましょう

オウレンはキンポウゲ科の植物です。
普通、オウレンと呼んでいますのはキクバオウレンの事で、この仲間にはセリバオウレン・コセリバオウレン・ウスギオウレンなどがあります。
今回、撮影しましたバイカオウレンはガク片が白く大きな杯状で花びらのように見える種類です。
仲間にミツバノバイカオウレン・オオゴカヨウオウレン・ミツバオウレンがあり日本で見られます。
バイカオウレンの特徴は匍匐枝を出して群生することです。
ここの場所も一面群生状態で広さはテニスコートくらいあります。
環境保護の為に場所は公表しないことにしましょう。
3輪5輪・その他色々な状況で花が咲いていました
暗闇の中でシャッターを切りました。
デジタルですのでいくら撮影しようが費用はかかりませんが2時間くらいの滞在で300枚は撮影したでしょう。
もう少し花の構造を説明しておきましょうね。
先ずはオウレンから↓・・・

オウレンの構造
オウレンの白い花びらに見えるのは5枚のガク片が変化したもので先が少しピンク色をしています。
花弁は10本近くあり白い杯状で表側に密を蓄えているようです。
オシベの数は多く画像はメシベを持たない雄性花ですがメシベもある両性花もあります。
受粉することでオウレンは雄性花が少し早く咲くのでしょうか?
この時期(2月10日)、メシベのある両性花はまだ蕾の状態でした。

バイカオウレンの構造
上の画像でもわかりますようにバイカオウレンはガク片が大きく花びらのようです。
花弁は先端が黄色で蜜を溜めていますが、その様子が梅の花のようなのでバイカ=梅花のようなオウレン=黄連と名がついています。
黄色いシャモジのようなものが花弁だなんて信じられませんね。
私は蜜をなめたことがあります。
確かに甘かったことを記憶していますが何しろ小さなものなので舌につけるのが大変でした。
バイカオウレンの場合はオシベだけある雄性花は見当たりませんでした。
メシベを持った両性花ばかりが同時(3月17日)に咲いていました。
メシベはイカの足(げそ)状で花粉のつく面は反り返り、子房は胚珠に包まれない原始的な構造((被子植物))をしているとされます。
その為に成熟した花実の先端には穴が開いており、振動で種子がこぼれる構造になっています。
ガク片は5枚、花弁も5枚、メシベは7本から11本確認しました。
オシベの数は数株の花から38本有ることを確認しました。
フ〜・・・

バイカオウレン(花柄の上部に托葉のようなものが見えます・オウレンにはありません)
一花で柄が長く立ち上がり花柄の上部にオウレンでは見られない托葉?が一枚見られます。
日が差してきました
すでに8時前!帰らなければ・・・
それにしても綺麗な花です。
群生するバイカオウレンに後ろ髪を引かれる思いで現地を後にしました。
ちゃんと9時からの仕事もしましたのでご安心を・・・

薬用知識:オウレン(黄連)は中国で古くから(2千年以上前)薬用にされてきました。
日本にも黄連が伝わってきますがよく似た植物の日本産・黄連が代用として用いられるようになります。
成分はベルベリンというアルカロイドです。根茎は黄色で根を掘った後に水で洗いますと成分が流れ出ます。
その為に掘った根は洗わず天日で乾かし、ひげ根を焼いてムシロの中でこすって落とします。
味は苦く、主として興奮状態を鎮める目的で用います。
胃潰瘍などで出血する時、目が充血したり鼻血が出たり血圧が上がった時、けんかをして興奮した時、刀傷で出血する時などに用いられてきました。
「良薬口に苦し」という諺の語源植物で現在の漢方薬でもよく用います。
日本産のオウレン(全国に野生し新潟県や広島県・鳥取県智頭町周辺が生産地)が珍重されますが人件費などの問題で中国・四川省や雲南省辺りのオウレンが市場で多く用いられています。
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