薬王堂気まぐれ通信使bS64   2008・2・17
Yakuoudo Capricious Communications Satellite

今週、薬局にこんなお客がきました。
丁度、私が不在の時で妻が応対します。
その方は80歳近いご婦人で10年前から我家の煎じ薬を服用されています。
煎じ薬を注文して妻が調剤していますと・・・こんな事を言ったそうです。


客:『奥さん、私は死ぬ前に一度子供の時に見た水晶のある場所に行ってみたい!

妻:『何処?』

客:『・・・能美島!

幼少時は能美島で育ったようです。
妻は17日の日曜日に私が能美島に水晶を探しに行ったことを知っていました。
それでもう一度、場所を聞いたそうです。

客:『能美島のかれこれ・・・』

私が行った所とはすこし離れていました。
客は続けてこんな事を言ったそうです。

客:『お宮を上がった険しい道を登ると周り一面が水晶でキラキラする場所に着いた!この世とは思えんくらい一面が水晶で、そこにもう一度行ってみたいんじゃ。

客は続けました。

それは綺麗でしばらく居たんじゃが、帰りに水晶を数個採って帰ったんじゃ、親からはそこの石を持って帰ったらいけんということを言われていたんで箱に隠していたんじゃ!

どうも水晶のあることは知られていて地域の人は社と共に代々守り続けていたようです。

客:『結局、隠し持っていた水晶はわからんようになったけれど、奥さん!もう一度そこを見て私は死にたい!

話しの続きで二度目に行った時にはすっかり水晶は無かったこと、人によって採り尽くされていたのでしょう。
介護と生活の重圧で気力と体力の失せた今、若い頃、心ときめいた思い出の場所にどうしても行ってみたいと老婦人は言ったとか!


というわけで私は17日の日曜日、友人と弟を伴って水晶を探しに行ってきました。
島の道に車を放置し、わずかな人家と別荘を見ながら山道を登ります。
此の辺りは花崗岩土質に加え、何度も山火事が起きていて松等の針葉樹がすこしと、ヒサカキやシャシャンボなど日照に強い広葉樹が生えています。
松にはマツグミ(実のアップ)が寄生していました。
150メートルくらい登ったでしょうか!
一仕事する前に昼食にしましょう。
辺りは広々として眼下の瀬戸には船がゆっくりと進みます。

右手には遠く大島が見え、前の海には端島・黒島の小群島が浮かびます↓


何処までも数億年前に造山活動をして造られた花崗岩地域が続きます。
気まぐれ広島人はここと思える場所を掘ることにしました。
場所は山の急斜面で穴の角に手を添えて・・・手を離すとずるずると落ちてしまうような危険な場所でした。

手を離すと谷に一直線!

この歳にもなってよくやりますね。
結局、めぼしい水晶には出くわしませんでした。
友人から過去に採取したお宝をもらいました。

2〜3個(@AB)、掘り出した小さな水晶を撮影してみましたので載せてみます。
帰り、島で一番高い山に登り瀬戸の景色を堪能しました。

大黒神島の手前は沖野島、その左に小さな長島が見えます↑
大黒神島の長い半島がある海域は波が静かで魚の多い好漁場です。
何度も言うようですがこの景色が代々続いてくれるよう・・
子孫達が何時までも夢を追える世の中であるよう祈って今日の薬王堂気まぐれ通信使といたしましょう。
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