薬王堂気まぐれ通信使bS40   2007・9・2
Yakuoudo Capricious Communications Satellite

9月2日の日曜日はびっくりしましたね〜
30歳の時から海に出ていますが忘れられない一日になりました。

日曜日は今東さんと海に行くことになりました。
そして海で捕った獲物を味わいながら夕から麻雀をしようじゃあないかと、久し振りのゆっくりした休日を楽しむ予定だったんです。


午前8時、私と今東さんはおだやかな広島の海に出かけます。
しかしながら台風の接近があり不安定な天候でした。
今東さんは潜る準備をしています。
年齢は70歳に近いというのにやる気満々です。
魚場に到着します。
私は彼の素潜りを見ながら魚釣りです。
魚の一部を一日干しにしました。

前は開けた広い海原、無人島の岩場に素もぐりをする!

場所は宮島に近い広島湾、宇品から約20キロ離れた無人島の岩場でした。
それにしてもよく潜りますね。
僕なんか、サメでも出はしないかと心配で水中に入るのが嫌ですけど・・・・
潜っては20秒に一度は頭をもたげる今東さん
なかなかいい獲物はいないようです。
海は次第に波が強くなってきました。
西からの風も強くなってきてサブエンジンのスロットルを全開にして船を操作しないと岩に叩きつけられそうです。
それでも平然と潜る彼!
どんな神経をしてるんでしょうか?
30分も過ぎた頃です。
ワカメはこの時期ありませんがサザエやタコがいるはずです。
なかなか捕れないんでしょう。
潜った今東さんが浮かんできません

30秒・・・

40秒・・・

ありゃ?こりゃ〜変だな??

50秒・・・

1分・・・

ありゃりゃりゃりゃ・・・どうなったんだ!こりゃあ〜!

1分20秒・・・

こりゃあ〜いけませんわ!バタバタバタ!

2分・・・

だめじゃあ〜こりゃあ〜引っ掛かってるわ〜!

大きな波が押し寄せてますから岩に頭を打ちつけることもあります。
岩の隙間に足や手を挟まれてしまうこともあります。
先ほど一度船に近づいた時に話したことは潮の流がひどくて岩にしがみつかないと泳げないとか!
場所は切り立った岩場で水面下に岩礁がある深場です。

2分30秒・・・

何とかしないと!
船を寄せますが波と風が強いのと潮流で操作が難しくどうにもなりません。
海底で挟まれたままなのか?意識を失って漂ってるのか??
私は潜れる状態ではありません。
いかんいかん!
じっとしている場合じゃあない!直ぐに潜れる人に連絡を!
海上保安庁には潜水部隊がいるはずだ!
それにしても時間がない!
でも今はそうしか出来はしない!
親しい友人に電話をします。

『もしもし、今東さんが潜ったまま浮いてこないんだ!もう3分くらい経ってる!このままでは死んでしまう!』

丁度、帰省していた長男にも電話します。

『おい、友人が沈んだままだ!早く海上保安庁に連絡してくれ!場所は奈佐美島の西の端!』

私の携帯電話に海上保安庁は登録していたんですが118という電話番号を忘れてしまっています。
今の私に出来ることは関係者にこの一大事を早く知らせること!それしかありませんでした。
電話で其の他の友人にも連絡します。
早く海上保安庁の潜水できる人間を派遣してもらいたい・・・
やっと海上保安庁と連絡が付きます。
その時には10分は経過していました。

気まぐれ広島人:『直ぐにここに来てもらいたい!場所はこうこう、こうだ!』

海上保安庁:『ナビをつけてますか?』

そんなもんつけてる訳ないでしょう。
とにかく、あんたらは海の隅々まで知ってるんだろうから、こちらの言うとおりに来ればいいんだ・・・
私が焦っていたのか、彼らはのんびりしてるように思えます。

海上保安庁:『今、現地に向かっています。』

どうでもいいから早く来い!
あきらめましたね〜!
僕は今日、えらいことに出くわしてしまった!
船で連れてきた責任も感じます。
もっと波の少ない風下で潜るよう言うべきでなかったのか?
後悔しきりの15分でした。
そして・・・・落胆し、あきらめていたその時!
玉川のタマちゃんではありませんが少し毛のある丸い頭が、いるはずもない先ほどの場所にプカリ!

私の心配を知ってか知らぬかプカリと出現!

気まぐれ広島人:『おお〜!どうしとったん?早よう!早よう!こっちに来んさい・・・』

風波に聞こえるわけはありませんが、とにかく手招きをしながら叫びます。
3メートルの引っ掛け棒を近づいてきた彼に差し出しますが流石に弱っているように見受けられました。
この時は嬉しかったですね。
死んだはずの彼が今ここに居る!
もうそれだけで、他の事はどうなってもいいという感じでした。
どうしてたのか?と聞くと『岩の陰でツブ=(小さな巻貝)を探しとった!』と言います。
友人や長男、それに今東さんの奥さんには浮いてこない!と連絡をしていましたので直ぐ連絡しないといけません。
それに海上保安庁がこちらに向かっています。
携帯電話で直ぐに連絡をとりました。

気まぐれ広島人:『浮かんできましたよ〜生きてますよ〜』

海上保安庁もこの知らせに喜んでくれました。
ほんとうに遅いと思いましたが保安庁の名前だけ「あさかぜ」はその後、到着します。
海上で隣船し今東さんは調書を取られます。
私も船免許から船権査証の提示を求められました。
友人が生きて帰ってきたんだからどうでもして下さいと、嬉しい心境です。
君があ〜世は〜♪・・・とならなくて済んだのです。
ああ、今日は私の人生の中でも長い一日だったな〜!
夕方からの麻雀が通夜になっていたかも知れないと思うと発見時の感激は忘れることが出来ません。
後から聞いたところによりますと携帯電話をしまくった時、今東さん本人にも電話をしてたそうで履歴が残っていたと言います。
『なんでか?』と聞かれ『もしかして出てくるんじゃあ〜ないかと思った!』と答えておきました。

一件落着し帰航する海上保安庁のあさかぜ号

よ〜し、今夜は思い切り、振り込もう
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