薬王堂気まぐれ通信使bS35   2007・7・22
Yakuoudo Capricious Communications Satellite

「石川の植物」というホームページがあります。
いつも感心しながら読んでいますがその中にオニユリとコオニユリの違いを扱ったページがあります。
こんな記述が見られましたので引用させてもらいます。

オニユリとコオニユリの誰にでも分かる区別点は珠芽(ムカゴ)ができる(オニユリ)か、できないか(コオニユリ)だ。

私も葉の付け根にムカゴのあるなしで二つの百合を区別しています。
しかし二つの百合は類似点も多く簡単に区別するのは困難とも書かれてありました。
先日から瀬戸内海に釣りをしに行きますと無人島にコオニユリらしき群生を見ることが出来ます。
果たしてこれが本当のコオニユリだろうか?との疑問が生じ、ついには船を出して自生している無人島に上陸することになりました。

奈佐美島の海岸

先週からの台風の影響で海水は濁っています。
浜辺にはコオニユリらしい花が咲いています。
誰も見てはくれないのに美しく咲いています。

砂浜に自生するコオニユリの花

葉は細く切れ込み付け根にはムカゴはありませんでした。
観察用に2〜3株を掘って根を見てみます
鱗茎の上にある根と鱗茎の下に付いた二種類の根がありました。
オニユリは3倍体の植物ですので種子は出来ず葉の付け根のムカゴで増えるとあります。
コオニユリはムカゴはありませんがムカゴに似た木子というクローン体(無性芽)を根茎(地中茎)に付けるとあります。
木子はオニユリの根茎にもあると言われます。
という事は種子で子孫を残せるコオニユリも無性芽を持ちムカゴに似た増殖法が出来るわけです。
木子を探してみました。
何とか上根の辺りに木子らしい無性芽を見つけました。
そのほかにはないでしょうか?
もう一つ木子らしきものがありました。
但しかなり大きくなりまして本体の茎から栄養根が伸びその先に鱗茎状の木子が付いています。
右隣には花を付けた若い鱗茎がありますので茎を伸ばさない木子との区別が出来ると思います。
主茎に張り付いていた木子が何故?栄養根を伸ばして次第に大きくなっていくのか?分かりませんがその他にも上根の先に膨れているものがないか探してみます。
根の先にあったのは小さな巻貝で詳しく観察出来ませんでした。
ここらは次回の宿題にしましょう。
コオニユリの花は萼(ガク)の変化した3枚の外花被片と花びらに相当する3枚の内花被片で構成されています。
花は6枚の花弁で構成されているようですが萼片と花弁が合わさったこのような全体を花被と言うそうです。
花被には赤黒い斑点があり付け根には奥に蜜を蓄える溝が掘り込まれています。
なかなか興味深いですね。

私は芸北地区(2001年7月29日)と庄原地区(2003年7月)でコオニユリを撮影していました。
2001年の芸北ではオニユリも撮影しています。
その時に珍しい「八重の天蓋」という二重の花被を持つオニユリも撮影しています。

八重の天蓋こと二重花のオニユリ  2001年7月29日・芸北町にて 

よく似た百合を外見だけで判断することは難しいようです。
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