薬王堂気まぐれ通信使bR59   2006・8・14〜16
Yakuoudo Capricious Communications Satellite

お盆休みの間、気まぐれ広島人夫婦は平生の罪滅ぼしを兼ね熊野詣に行ってきました。

早朝、広島を出発し新幹線で新大阪まで、そこからJR紀伊本線に乗り換え特急くろしお号で白浜に向かいます。
正午頃に白浜に到着してレンタカーを借ります。
そこから熊野本宮大社までの中辺路を1時間と少しで通り過ぎました。
熊野三山とは熊野川の中流にある熊野本宮大社、そして河口にある熊野速玉大社、南紀にある那智大社を指します。
私は信心は無いのですが愛妻が是非にもというものですから各神社を訪れました。
かなりの昔から熊野詣は行われたらしく多くの人が訪れ熊野古道を歩いたようです。
本宮周辺を散策し熊野川を遡上してみました。

熊野川と奥熊野の山並み
大きな川ですね〜!
それに稲刈りをしている田もありました。
午後3時頃には湯ノ峰温泉地区に入ります。
今夜(14日)はここで宿泊します。
民宿は小さな部屋でしたが風呂は温泉掛け流しでゆっくりと入ることが出来ました
湯ノ峰温泉は古い温泉のようです。
室町時代(1400年代)に小栗判官という人が湯治をした『つぼ湯』が残っていることで知られています。

次の朝、朝食をおにぎりにしてもらって宿を後にします。
車の中で食事して熊野川流域の植物を見ることにしました。
詳しいことまでは解りませんでしたが見たことのある植物がありました。
紹介してみましょう。

ナツエビネ
ランの仲間でナツエビネがきれいに咲いていました。
同じくラン科のユウコクラン、もう花が終わって立派な実が出来ていました。

トンボソウに似た小さなラン

上↑のラン科の植物は名前が解らず帰宅してから植物に詳しい方の掲示板を訪れて質問してみました。
ランに詳しい方から返事がありましたので、その時のやり取りを掲載させてもらいましょう。(一部プライベートな部分は変更しています)


気まぐれ広島人

8月15日、紀伊半島の南(和歌山県)でこんなランを見ました。杉林の中でしたが名前がわかりません。トンボソウかな?とも思いましたがよくわかりません。背丈は花株5〜6センチと小さなものです。誰かわかる方がいれば教えてください。
アップも載せてみます。

花柄アップ画像
返事をくれた方

やや細長く光沢があまりない葉が2枚、かなり地際にやや接してつき、ミズゴケが生えるような非常にしめった林に、比較的群生して生え、夏に咲く−以上のような特徴を持つこの手のランは普通はトンボソウです。しかし、花茎の高さは通常20センチはあります。この葉姿で高さがわずか5−6センチとなると該当するランが思いつきません。トンボソウの矮性変異というのが一番妥当に思えます。あと、資料が不十分でよく分からないランでソハヤキトンボソウというのもあり、それの可能性もあるかもしれません。いずれにしても、種類を断定するには花の写真が横向きで、しかも開花初期のため、特徴がはっきりと分かりません。再度、咲ききったとき正面から撮影することは可能でしょうか? 

気まぐれ広島人

早速ご意見ありがとうございました。トンボソウは私も近くの湿地でハッチョウトンボとよく見ますので背丈が高いのを知っています。しかしこのランは短いのが特徴のようでアップで這い蹲って正面から撮影しました。今頃上の花も開いていると思いますが小さなのに苦労させられました。正面からはこの画像だけしかございません。載せてみましょう!生憎、広島在住ですので再度撮影に行くことは無理だと思っています。
同定、宜しくお願いいたします。

正面から写したもの
返事をくれた方

さっそくありがとうございます。正面から唇弁と蘂柱付近が見えますので、トンボソウの可能性が高まりました。唇弁がT字型になっているのが、トンボソウとその近縁種の特徴です。ほかのキソチドリ属(トンボソウもプラタンテラ属とする説を採りました)では唇弁がI字型となります。大きさ以外の特徴はまったくトンボソウそのもので、今のところトンボソウの矮性タイプとするのが妥当かと思われます。ただ、そうだとしても、これほど小さいタイプのトンボソウは私は見たことがありません。あるいは未記載の新変種くらいの扱いになるのかもしれません。この属はまだまだ研究され尽くしていないので、よく調べると面白い分野です。

気まぐれ広島人

丁寧に教えていただきましてありがとうございました。
トンボソウの特徴を持ったランに旅先で出会えたということ!嬉しく思っています。
ご意見を頂きました、この掲示板にも感謝しています。
・・・と、こんな感じです。
意外と珍しいランに遭遇しまして今回の大収穫と言ってもいいでしょうね。
読者の中でこの植物に関してご意見がありましたら連絡してください

それ以外の植物も紹介しましょう。
カギカズラハスノハカズラホウロクイチゴの花アマチャズルフウトウカズライワタバコハグロソウイズセンリョウツルコウジマツカゼソウナツフジの花ヤブミョウガハナミョウガと種・多分そうだと思うのですがシソバウリクサダイモンジソウ?それに岩に付いたギボウシの仲間、シダではハコネシダクリハランを確認しました。
岩壁にへばりつくようにイワナンテン↓があり花が咲いています。

イワナンテン

この花もはじめて見ました。
下から覗いてみます
オシベの様子がアセビの花の中と似ています。
虫を媒介とした受粉と関係がありそうです。

気まぐれ広島人夫婦は其の後も旅を続けます。
二日目は植物観察の後、小口渓谷というところまで車で行ってみます。
バイカアマチャの花が咲いていました。
そこから細い路を通って那智大滝に向かおうと思いましたがレンタカーに傷でもつけたら大変なので止めました。
ひとまず休憩して泳いでみましょう
新宮市まで出て那智大滝に行ってみます。
その日(15日)は同じ道を引き帰して雲取温泉に宿泊します。
高田グリーンランドという国民宿舎でした。
お湯はよいのですが少々俗化された温泉でしたね。
16日の朝、下流の桑ノ木滝に行ってみます。
来る人も無いようで途中、イワナンテンを見ることができました。
そこから新宮市に出て熊野速玉大社に参り海浜路、太地町〜串本市を経由して白浜に向かいます。
台風10号の接近で海は荒れていました。
そのせいか盆の水泳客も少なく無理なく運転できました。

熊野街道・大辺路 すさみ辺りの海岸 太平洋の荒波

白浜半島先端の南方熊楠記念館に到着したのが12時過ぎ、暫らく会館内を見せてもらって田辺在住であった熊楠先生を偲びます。
記念館屋上から見える太平洋は綺麗でしたよ!
2時53分の白浜発=くろしお号で帰路についたという気まぐれ広島人夫婦のゆったりとした旅でした。
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