薬王堂気まぐれ通信使bQ14   2003・7・28
Yakuoudo Capricious Communications Satellite

薬王堂気まぐれ通信使は毎週、月曜日に書くように心がけています。
文章は30分くらいで書きあがりますが画像編集などで1〜2時間 OutlookExpressと
にらめっこすることもあります。
日曜日に撮影した画像を縮小し、何枚かを組み合わせて物語りにしてゆきます。
そんな行程を経て今日も作成してみました。

昨日は万年青年を引き連れて島根県まで車を飛ばしました。
目的は友人のお見舞い、それに友人の住む地域周辺の植物観察でした。
芸備線を北上し、
三次市〜君田村〜高野町〜島根県仁多町〜横田町と車で約3時間のドライブです。
横田町の友人は元気そうで安心しました。
島根の山間地域はどこも過疎化が進み若い者が少なくなっているそうです。
昼時訪問でしたのでスーパーの食堂で刺身定食をご馳走になったんです。
日本海が近いせいでしょうね!
刺身のブリとタイは一口では食べ切れないほどの大きさです。
万年青年は久しぶりの刺身だったのでかぶりついて食べていました。
見舞いを済ませて県境・吾妻山の麓を通過して広島県に戻ってきました。
比和町の川原にはネムノキ(合歓)が花盛りです。
それに珍しいキク科のヒゴタイが咲いていました。
真ん丸い形をしたアザミの仲間です。


ヒゴタイの花↑

高野町に入る峠に王居神社があります。
そこの社を訪れた時、一人の老人が大きな杉の根元で写真を撮影しています。

『何を写しておられますか?』

モウタケです!』

『どれどれ・・・』

確かに大きなキノコが生えています。
老人は私たち二人に話しかけてきました。

『すみませんが、私の解説を聞いてくれませんでしょうか?』

『いいですよ、お話してください!』

老人は92歳だと言います。
万年青年が82歳ですと言うと『未だ若い!』と言われて照れていました。
老人の住まいは神社の隣の一軒屋。
代々社を守ってきた家系だと言います。
以下はその老人の解説を思い出しながらまとめてみたものです。

●私は戦争に二度招集されました。
出征する時にはこの神社の荒神さんに手を合わせてこう言いました。
私は戦争で敵を殺すこともあるでしょうが殺されることもあるかもしれません。
荒神さん!どうぞ、生きて帰れと仰るなら私を活かしてください。
死ねと仰るなら死にます。
全ての運命を荒神さんにお任せしますと・・・

なんと欲気の無いことでしょう!
こうして92年間を過ごしてこられた方なんだな、と思いましたね。


左から 92歳 54歳 82歳 ↑

社叢にはトチバニンジン(竹節人参)が紅い実をつけています。
この地域では昔、この根を煎じて胃薬にしたそうです。
92歳になっても珍しい植物やキノコの写真を撮影しようとするその意気込み!
万年青年も老人の姿を見て一言、
『若いと言われて、なんと言っていいのか!参ったな〜』

帰り道、道から外れた湿地でオグラセンノウが咲いていました。
若き日に信州・蓼科高原で見た深紅のエンビセンノウによく似ています。
ああ、あの時の彼女は今、どうしているのでしょう・・・・


オグラセンノウ↑

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