薬王堂気まぐれ通信使bQ07  2003・6・9
Yakuoudo Capricious Communications Satellite

私の家には二枚の色紙があります。
一枚は私の漢方の師匠、大塚敬節先生が77歳の時に書かれたもの!
もう一枚は日本画家、奥田元宋画伯が68歳の時に書かれたものです。
どちらも『寿』という一字です。

大塚敬節先生の『寿』

奥田元宋画伯の『寿』

大塚敬節先生は80歳でこの世を去られました。
奥田元宋画伯は91歳で今年(1912〜2003)お亡くなりになりました。
この二枚の色紙はいずれも私の目の前で墨をすり筆書きしていただいたものです。
大塚敬節先生に関しましては薬王堂気まぐれ通信使bQ03で紹介しましたね!
奥田先生について少しお話いたしましょう。

奥田元宋画伯は児玉希望という有名な日本画家の内弟子となり才能を発揮して戦前から日本画壇で注目されるようになりました。
しかし時代が戦争の影響を受け戦後もしばらく出身地の広島(吉舎町)で絵を描いておられたと聞きます。
しかしその後、奥田先生は日本画壇に認められ1984年には文化勲章を受章されるほどの有名画家になられます。
昭和54年の秋、奥田先生は広島で展覧会をする為に帰郷されました。
その時、私の治療院に来られたのです。
既に超有名人でありましたから当院に乗りつけたお抱え乗用車は黒の大きなセダン。
私は東京での修行を終え広島で漢方薬局・鍼灸指圧治療院を開業したばかりのときでしたのでびっくりしましたね〜!
誰かの紹介で来られたと聞きました。
実は私も若かりし頃、画家になりたいと思ったことがあるんです。
そんなことから治療を終えた奥田先生に是非色紙に何か書いていただけませんか!と
お願いしたわけです。
快く承諾していただき床に座り込んで書いていただいたのがこの色紙なんです。
その時、私に一言、こう言われました。
『絵は描けませんよ!』
当然ですよね!
墨筆であれ絵であれば作品というわけですからお宝鑑定団に出せば何百万の価値が付くはずでした。
残念!
とは言ってもこの色紙は私にとりまして大切なお宝です。
大塚敬節先生に書いて頂いた色紙にしても同じこと!
たまたま、尊敬する二人の人生の先達が書いた字が『寿』だったこと、
広辞林で引いてみましたら『よろこび・命の長いこと・長命』とありました。


広島漢方研究会月例会の様子

私は昨日の日曜日、広島漢方研究会のお世話で一日を過ごしました。
漢方医学界で活躍される山ア正寿先生の講義を聴きながら色紙のことを思い出したという訳です。

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