薬王堂気まぐれ通信使№771  2017-6-25
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広島自然観察会の6月観察会に参加してきました。


今月は御調(みつき)八幡宮の周辺地域の観察、および御調八幡宮拝殿内の天井絵を拝観させていただきました。
今回は自然観察会の指導員の方々と三原野鳥の会、及び三原市歴史的建造物調査研究会で活躍される三好邦範先生にお世話になりました。
三好先生のお話により今回の概略をまとめてみます。

御調八幡宮の前進は西暦777年に社殿を創建したと伝えられ広島県下では最古の八幡宮とされています。
1185年には源頼朝(下分=くだしふみ)により八幡宮寺領(当時は神仏混交制度)として守護され足利氏~徳川氏~現在と継承されてきました。
御調八幡宮の特徴として諸国一宮に匹敵されるほどの大きな社殿、多くの立派な建造物(楼門拝殿本殿神庫神楽殿・その他種々)、特に本殿が大きいということらしいです。
三好先生の案内で拝殿内の天井絵を見せていただきます。
お参りの作法として手水舎で心身を清め、神殿に向かう階段の端に沿って上り、拝殿前に置かれた賽銭箱に妻との二人分の志を投入して、鈴を鳴らし、二礼二拍手一礼を済ませて拝殿内に入室し正座します。
天井には約三寸四方に区切られた花鳥画が所狭しとはめ込まれていました。
その数252面、節目のない良質の一枚杉板に岩絵の具で彩色されています。


※天井絵に関しましては三好邦範先生の許可を得て掲載しております。


丁寧に削られた縦目杉板に描かれ良質の岩絵の具を使用したのでしょう奇麗な状態で保存されていました。
描かれたのは江戸時代末期(1800年ころ)、広島藩を統治していた浅野本藩のお抱え絵師達がその主役だったようです。
それが分る絵として鷹狩りの様子を描いたものが二枚あり、いずれも鷹の足にも高級武士の印である飾り紐が結わえてあること!


鷹の足に飾り紐があるのが分ります。


本職が描いたと思われるのは描かれる動物の体形・姿などがいずれもしっかりしているということでしょう。
その他にもいろいろなものが描かれています。
室内で飼われた犬
カニやナスビ
インコと思われる珍しい鳥
タコやアナゴ
子犬や丹頂鶴
などなど

丹念に特徴をとらえて描かれてはいるのですが当時は生物学が充実しておらず種の同定が曖昧なものが多く、必要以上に美しく表現したり比喩や想像上の生き物なども出てきます。
中には伊藤若冲も顔負けの鶏の絵なども含まれているようで見ているだけで楽しいのですが首が痛い!
雨漏りなどで絵が破損しているものも数枚ありました。
全252面、そのうち植物が描かれているものが190面、121種。鳥は118面、63種。昆虫は10面、10種17図。魚介類は14面、15種23図。その他の動物が21面に16種、32図。その他の図柄が33面と変化に富んでいます。
はっきり判るものとして
植物=菊・朝顔・おみなえし・かきつばた・桔梗・ざくろ・水仙・すすき・すみれ・竹・なでしこ・牡丹・松・むくげ・百合・・
鳥=ツバメ・カワセミ・ドバト・ウズラ・シジュウカラ・タンチョウ・ホトトギス類インコ・・
想像上=天女・鳳凰・比翼連理の鳥・件・鬼・怪獣の件(くだん)・
動物では鹿や犬・猫・蟹・猿・蛸・アナゴといったところ・・
貴重なものを見せていただきました。

拝礼を済ませ御調八幡宮を後にします。
近くには多くの植物がみられます。


御調八幡宮の鎮守の森


ヒメガマ
マルバマンネングサ
ヨツバムグラ(ヒメヨツバムグラ?)
キツネノボタン
イリノイヌスビトハギ
ヌスビトハギ
オカトラノオ
ナデシコ(園芸逸出)
セイヨウノコギリソウ

クララ
イワガラミ
ネムノキ
サカキ
ヤマイバラ
ザクロ
ムクロジ
コウヤマキ
カナクギノキ
ダンコウバイ
エゴノキ (エゴノネコアシ)
・・・

近くにブッポウソウがいるという!
その場所まで出かけてみます。
いました。


フィールドスコープにデジカメのレンズ部を当てて撮影


紅いくちばしに黒い頭、蒼い羽根の鳥をフィールドスコープで何とか確認しました。
手持ちのデジカメで撮影を試みます。
やっとこれくらいの画像が得れましたので紹介してみましょう。


ブッポウソウ(仏法僧)


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