薬王堂気まぐれ通信使№770  2017-6-18
Yakuoudo Capricious Communications Satellite

毎年のことですが地域の薬剤師会が主催します「薬草と親しむ会」に講師として出向きました。
10年以上、この企画に協力参加しております。
今年は海田町の住民の方々を対象にお話しさせていただきました。
場所は海田総合公園運動広場のキャンプ場で行いました。


朝10時に集合です。
私は下見を兼ねて少し早めに行きました。
20分前くらいになると地域の方々が少しづつ集まってこられました。
年配の方もおられますのでコース順をどのようにするか?是非見ていただきたい植物もありますので道順を検討いたします。
安全を第一にコース取りを決めました。
特に珍しい植物があるわけではありませんでしたが作成図↑のようなものが見られました。


ウツボグサ


先ず、ウツボグサがたくさん見られました
今の時期は青色の花が咲いていますが夏になりますと花穂だけが残り、その形が弓矢を収納する「靭=うつぼ」に似るところから命名されたと言われています。
夏には枯れたようになるので夏枯草といわれ、利尿剤として用いられるほか瘰癧などによいとされ民間薬として用いられてきました。
乳腺炎の腫れ、甲状腺腫、リンパ腺腫、眼の充血など幅広く使われています。
ノアザミとヨモギがそばに咲いています。
キク科のノアザミは同じ科のヨモギと同様に止血作用があり出血性の病気に用いられます。
鼻血、痔出血、不正出血など特に炎症性の出血によく効くようです。
韓国ドラマのチャングムのドラマでヨモギを煎じて薬用にする場面が出てきます。
この時には女性の皮膚の荒れを良くするのに使っていたような気がします。
ドクダミが花を咲かせています。
白く花びらに見えるのは総苞片という部分で花弁はなくオシベとメシベの集まりが小指の先ほどに伸びています。
採集時期は今ですが梅雨時期には乾燥するのが難しく天気の良い日に刈って半日許り太陽光に当てて水分を飛ばしたほうがいいようです。
薬効はいろいろですがドクダミという名前から想像して毒を追い出す草と考えればいいでしょう。
十薬(じゅうやく)=蕺薬(じゅうやく)=魚腥草(ぎょせいそう)とも表現されます。
大塚敬節先生はヨモギ(艾葉)・ウツボグサ(夏枯草)・ドクダミ(魚腥草)をよく使っておられました。
図の中で★印をしているのが薬として利用されているものです。
全部のものを説明はできませんが主なものを解説しました。
ゲンノショウコの若い葉がありました。
ここらの花は赤いものが咲くはずです。
イタドリは痛みを取る!という効能からの命名され茎が大きくなると立派な杖の代用になることから中国では虎杖(こじょう)と表現されます。


ビワ


野生化したビワがありました。
実は小ぶりですが美味しそうです。
葉を民間薬として漢方生薬として利用します。
民間療法は焼酎に漬けて少しずつ服用することが流行っていました。
利用方法は様々ですが、のどの炎症、声枯れ、歯槽膿漏、齲歯などなど・・葉を炙って腹にのせて腹水を治したり腹に出来た腫瘤を小さくするといったことなどにも挑戦したようです。
漢方薬では甘露飲という処方に配剤されています。
大塚先生は頑固な口内炎に用いておられたのを思い出します。


イヌビワが実をつけていました。
イヌビワの花の構造はなかなか難しようです。
イヌビワはクワ科のイチジク属に分類されていますが一つの実(果嚢)の中に雄花・雌花・虫えい花があるとされます。
果嚢にも微妙に形態がちがうものがあり雌雄果がるのでしょうか?
イチジクの実を想像しましょう。
一つの実の中にいろいろな形態があるようです。
イヌビワの実は美味しく熟れるものもあればスカスカでよく見ると実の中でうごめく幼虫やハチの姿のようなものを見ることがあります。
安易に食べると自分の頭の中に寄生するハチがいるかも?
オオバコは車前草といい民間では風邪の諸症状(のどいた・咳など)に用います。
実は車前子と呼んで膀胱炎や尿道炎に用います。
八味丸にイノコヅチ(牛膝)の根と車前子を入れた処方があって老人性の泌尿器疾患や老化防止に応用します。
ヤマフジとミツバアケビがセンダンの幹に巻き付いていました。
ヤマフジは右ネジ巻き、ミツバアケビは左ネジ巻きと説明します
ちなみにフジ(ノダフジ)はミツバアケビと同様、左ネジ巻きであることも付け足します。
その他にもいろいろな植物が見られました。


コウゾの実


コウゾの実が赤く熟れ、オヘビイチゴも花を咲かせています。
ヤブヘビイチゴも実になっています。
フェイジョワの花が咲きクリは雌花をつけていました。
来年はどこの地域に行くことになるでしょうか?
世話役の上原氏と写って(画像は2日前の下見!)今日の会を終了した次第です。


棚田の稲の生育状況、山からの冷水が流れ込んでいました。


一つ解らない植物がありました。解る方がおられましたらご一報ください。
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