薬王堂気まぐれ通信使№753 2016-6-19
Yakuoudo Capricious Communications Satellite

6月19日・日曜日、「薬草に親しむ会」がやってきました。
なんで私がしなければ?と、思ったりもするんですが地区保健対策協議会と地元の薬剤師会の協力で恒例となっており、10年以上指導者として活動しています。
低気圧の影響で朝から大雨、雷を伴っていましたので大丈夫か心配でしたが集合時間の10時前には雨も上がり問題なさそうです。
約35名の参加者がみくまり峡管理棟に集合してくださいました。


簡単に挨拶をして駐車場南口からスタートします。
地区の参加者ということで3~4人顔見知りの方がおられました。
川沿いに説明を始めました
そもそも薬草というものは、はっきりとした根拠があって効能効果があるものではなく、民間伝承的に語り継がれた経験から作り出されたもの!と理解された方がいいでしょう。
例えばドクダミを例にとれば、炎症を伴う疾患にかかった時に煎じて服用したらなんとなく効果があった!化膿しかけた部位に揉んで貼り付けたらよくなった!さ~皆さんやってごらんなさい!という感じで語り継がれてきた植物です。
ドクダミはベトナムや中国南部では食用にもしますから薬食同源植物とも言えます。
ハトムギなども同じです。
外来植物のキキョウソウが咲いています。
エゴノキは白い花の時期が終わり実が垂れさがっていました。
枝先に奇妙な握りこぶしのような物がついていました。
これはエゴノネコアシアブラムシが宿る虫癭だということを示します。
一つ取って割ってみました。
半割の虫癭にはたくさんのうごめく虫(エゴノネコアシアブラムシ)がいました。
エゴノネコアシアブラムシの虫癭を割った動画
川筋荷沿って遡上しました。
薬に利用される植物はそんなに多くはありません。
薬に利用されない植物の方が圧倒的に多く、区別をする意味でも一般植物に目を向ける必要性があります。
アオツヅラフジは中国の古い医学文献に木防己として登場しますが私の恩師=大塚敬節先生はこの植物が入る漢方処方を使うと吐き気を催す人が出てきましたので使用を止めた経緯があります。
サンヨウアオイはウマノスズクサ科の植物、ギフチョウの食草で食べられた葉には痕跡が残ります。
ここのサンヨウアオイは健全でした。
花は地中に下向きに咲きます。
すでに実となっており子房が膨らみかけていました。
半割にしてみました。
メシベは6本、オシベの花糸が12本あります。


サンヨウアオイの花を半割にします。


種子ができると地中に住む虫によって運ばれ生育地を増やすと聞いていますが何という虫が運ぶんでしょう?また受粉はどうやって行われているのでしょうか?
100年で数メートルしか生育場所を増やさないことから地域性が強く現われるカンアオイの仲間です。
クロモジが出てきました。
最近では養命酒の配薬原料として有名になってきました。
小枝を羊羹の爪楊枝に使うことでも知られています。
サルトリイバラの根は江戸時代、もっとも多く流通した生薬と聞きます。
江戸期、町では淋病や梅毒にかかる人が多くサルトリイバラの根を煎じて服用することが流行ります。
別名=山帰来とか、土茯苓と呼ばれますが中国では近縁の植物の根を菝葜(ばっかつ)と称し同じような病気に用いてきました。
ヤマフジが出てきます。


ヤマフジの巻き方を説明します。


ヤマフジの蔓は右巻きか?左巻きか?という問いに答えは様々でした。
牧野富太郎先生は左巻きと定義していますが最近の国際法基準の回転法では右巻きの植物です。
ドリルの刃やネジクギの回転が右巻きです。
花が長く垂れさがるノダフジ(フジ)は左巻きです。
大薊(たいけい)はノアザミの根、止血剤として利用されます。


セセリのとまるノアザミ


イヌザンショウは実を薬用とします。
オオバコは民間薬でも有名で風邪をひいたときに煎じて飲んだり、咽喉の痛む時に根茎の汁を服用すると楽になると言われています。
中国では実を車前子(しゃぜんし)と呼んで主に目の疾患に用いてきました。
モウセンゴケは薬用とはしませんが食虫植物として有名です。
小学生がいたので説明してみますが食いつきがいまいち、名前だけでも覚えてもらえばと思い解説します。
ヤマウルシヤマハゼ、海岸に近い暖地では江戸時代にハゼノキが栽培されたことがあります。
ハゼロウから和ロウソクを作っていたのです。
ネズはネズミサシとも呼ばれネズミの通り道に押し込んで通りをふさいだとか!そこでネズミは卵の殻をかぶって通ったとか!嘘のような本当のような??
秋にはリンドウ科のアケボノソウの花が咲きます。
タケニグサの茎を折ると黄色い汁が出ますがたむしや水虫にぬって治療したとか・・
ネムノキの花や樹皮は合歓花(ごうかんか)・合歓皮(ごうかんひ)と呼んで安眠(睡眠)・精神安定に用いるという、
アセビは毒樹で煮汁を葉野菜にかけてアブラムシを駆除したり、ため込み便所のうじ殺しに利用したとか・・
カキの蔕(へた)は生姜と丁字(クローブ)を入れて煎じて服用するとしゃっくりによく効きます!と説明します。
話は大方の参加者に受け入れられたようです。
2時間のフィールド観察会は終了しました。
小動物や昆虫が何点か見られました。ヤマミミズムカデマイマイ・クモ・・・
挨拶をしてお別れしました。
日当をいただいて来年もすることになりました。
ホーム   一覧に戻る