薬王堂気まぐれ通信使№719  2014-9-23
Yakuoudo Capricious Communications Satellite

9月には広島県薬剤師会と広島県薬務課が主催する「薬草に親しむ会」が開催されます。
今回は第49回、半世紀も存続している広島県のイベントです。
私は30年近く講師として引っ張り出されています。
今年は山県郡安芸太田町戸河内で行われました。
午前中は野辺に生える植物を観察し午後からは戸河内ふれあいセンターで薬草について講演しました

戸河内町


この地域は過疎が進んでいるようでした。
それでも近隣諸町村から約120名の参加者が集まりました。
私は協力団体の広島漢方研究会から講師として選出されています。
広島漢方研究会の負谷さんは腰を痛めて今年は杖をついて参加、歩行困難のため講師は辞退されました。
6番目の講師として20名の参加者とともに出発、前後の講師の進行状況を見ながら解説を始めます。


センダン  (苦楝皮・川楝子)
実のなる大きな樹木ですが樹皮を苦楝皮(くれんぴ)として虫下しに用いられてきました。
実を川楝子(せんれんし)といい、中国では平肝理気剤として用いられるようですが寄生虫に対する作用もあるようです。
参加者の大半は初対面の方ですが知人も随行します。
あまりバカなことも言えません
秋晴れの山村周辺をゆっくりと歩きました。

ヨモギ  (艾葉・蓬葉)
キク科 ヨモギ属で末尾にヨモギと名のつく植物は日本で30近くありますが葉の裏に毛のない種類はイヌヨモギだけかと認識しています。
ヨモギの葉の裏には密生した微毛が生え艾(もぐさ)の原料として用いられます。
ヨモギを乾燥させ叩いて風で微毛を集めるのですが20分の一以下の収量と聞いています。

オトコエシ  (敗醤)
オミナエシ科の植物で黄色の花の咲くオミナエシとは近縁で中間種のオトコオミナエシが時々観察されます
オカマオミナエシとも言えるでしょうか?
オミナエシを花瓶に入れておくと変な匂いがしてきます。
中国ではこの植物を敗醤(醤油が腐敗の意味か?)と名づけます。

タラノキ  (タラ根皮)
ウコギ科の樹木で樹皮や根皮を糖尿病治療に利用しています。
樹皮は刺が多いので剥ぎにくいのですが根皮には刺もなく肥厚しているので採取しやすく薬として用いられます。

ナガイモ  (山薬・薯蕷)
本来は野生のヤマノイモを山薬として用いるのでしょうが採集が難しいのでナガイモを乾燥させて用います。
ヤマノイモはアクが強く、すると直ぐに茶色に変色します。
ナガイモはそんなこともなく乾燥すると純白(山薬)になります。
いすれも体力増強・滋養・胃腸の働きを活発にする重要な生薬として用いられています。
八味丸・参苓白朮散などに配剤されます。

オオバコ  (車前子)
オオバコ科の植物で大きな葉、中国名の薬用部植物名=車前子からオオバコという名前がついたのでしょうか?
日本の民間薬としても風邪薬として広く用いられてきました。
私に漢方を教えてくださいました大塚敬節氏も生のオオバコをすりおろして喉の痛みに服用していました。

サンショウ  (蜀椒・山椒)
ミカン科の樹木、実は赤く熟し果皮にはミカンと同じく油室が目立ちます。
漢字では蜀椒・山椒と表し黒い実を椒目として薬用とします。
消化管の蠕動運動を調整させますので山椒の配剤された大建中湯は手術後の回復に頻用されています。
と言いながら、、、、歩きます。
身近な植物がいろいろな用途に利用されてきました。

解説はさらに続き・・・

アオツヅラフジ  (木防已)
オオツヅラフジ  (漢防己)
キバナアキギリ(被大根)  (近縁の薬用のサルビアを丹参)
ドクダミ  (十薬・魚腥草)
キンミズヒキ  (狼牙・仙鶴草)
レンセンソウ  (連銭草)
シソ  (紫蘇)
ギシギシ  (羊蹄)
タケニグサ  (博落回)
ヨウシュヤマゴボウ  (美商陸)
ヒガンバナ  (彼岸根)
ニラ  (韮子)
コブシ  (辛夷)
ガガイモ  (蘿摩)
ヒカゲイノコヅチ
ヒナタイノコヅチ  (牛膝)
ヌルデ  (五倍子)
ボタンズル  (威霊仙)
センニンソウ
ゲンノショウコ  (現之証拠)


ゲンノショウコ


アカメガシワ  (赤芽柏)
イタドリ  (虎杖根)
ナンテン  (南天実)
カキ  (柿蔕)
セイヨウタンポポ  (蒲公英)
シラン  (白芨)
シマカンギク  (野菊花・漢菊花)
チャノキ  (茶)
カエデドコロ  (萆薢)
オニグルミ  (胡桃)
ヤマフジ  (藤瘤)
サルトリイバラ  (和山帰来・菝葜・土茯苓)
シシウド  (独活)
クズ  (葛根)
クワ  (桑白皮)
ウラジロガシ  (裏白柏)
・・・
と目についた順に説明してゆきます。

薬用とされない植物もありました。
イナカギク


イナカギク(ヤマシロギク)


アメリカイヌホオズキ
ヤマハッカ  (山薄荷)


ヤマハッカ


ヤマブキ
ミズヒキ
ヒヨドリバナ
コウゾ
ダンコウバイ
ツリフネソウ


ツリフネソウ


ヨシノアザミ
ツリバナ
ツルキケマン
クサソテツ  (こごみ)
メドハギ  (目ど萩)
マツバボタン
メナモミ


メナモミ


ノブドウ
ムシトリナデシコ
ノコンギク
ツリバナにカメムシシオデの葉をルリタテハの幼虫が食べていました。


※()内は薬用名
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