薬王堂気まぐれ通信使№718  2014-9-7
Yakuoudo Capricious Communications Satellite

1982年夏、三原の仏通寺山中で見かけないシダを見つけ本堂前まで下りてきたところ竹田孝雄先生にばったり会いました。
当時、竹田孝雄先生は植物分類地理学会名誉会員でもあり日本シダ学界会員として広島県に生育するシダを調査されていました。
早速、手に持っていたシダを見せたところ「これはどこにあったのですか?」と逆に質問され、当時、広島県では一箇所しか自生地が確認されていない貴重なカミガモシダであることを教わります。
竹田先生は1987年に「広島県のシダ植物」という本を著し発刊されます。
約300種類の広島県に自生するシダ植物を収載した本の巻頭に過去の調査で名前が上がっているにもかかわらず竹田先生が確認できなかったシダを「まぼろしのシダ植物」と題した頁で著しておられます。
その中に越智謐武氏の「広島県羊歯植物目録」が有り、コハナヤスリが載っていました。
越智先生は私の高校時代の恩師であり卒業後、広島県各所を植物観察し色々と教授していただいた先生です。
その他の先生方の調査結果も紹介されていますが三上幸三氏をはじめ大半の方との面識が有り懐かしく思いました。
ハナヤスリ科のコハナヤスリに似たコヒロハハナヤスリは三上幸三氏が牛田町の墓地で採集したと広島県では特だ一箇所だけでしか見られないことが同本の中で示されています。
コヒロハハナヤスリは葉の付け根が巻いて短い柄をつくりますが、柄のないハマハナヤスリと思しきシダ植物が近所に有りました。


ハマハナヤスリ


いつも歩いている路に見かけない植物があるな!と見入ったところ胞子嚢を見るのにハナヤスリの仲間のようです。
画像を友人(松村氏)に問い合わせたところハマハナヤスリであろうとの示唆を受けました。
竹田孝雄先生は1990年、81歳でこの世を去られましたが晩年の闘病生活に漢方薬のご相談に見えられます。
お力になれなかったことを悔やみ残念に思っています。
現在は竹田孝雄先生(左)と師弟関係にあった松村雅文氏(中央)が熱心に広島県のシダ植物を調査されています(1979年撮影)。

同日(9月7日)、その他に見られた自然も紹介してみましょう。

動物
ニホンアマガエル
ハナムグリ
ジャノメチョウの仲間(クロヒカゲ雌   ヒカゲチョウ)←区別は微妙につき専門家に同定していただきました。
ジョウロウグモ
ハシリグモ
虫の息のツクツクボウシ
か弱いイトトンボ
触覚の折れたゴマダラカミキリ

植物
ヌルデシロアブラムシ(五倍子)の虫癭
ゴンズイ
ベニバナボロギク
ボロギク
アメリカネナシカズラ
ミツバアケビ

ミツバアケビ

ムベ
ヤマハゼ
クサギ

ヒガンバナが咲き始めました。


ヒガンバナ

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