薬王堂気まぐれ通信使bU79  2013−3−7
Yakuoudo Capricious Communications Satellite

3月7日、午後からカギカズラを見に行きます。
アカネ科(RUBIACEAE) カギカズラ属(Uncaria) Uncaria rhynchophylla
日本での自生種です。


カギカズラ


広島県では宮島で大繁殖を確認できます。
弥山に上がるロープウェイから谷を眺めるとカギカズラの群落が木々を覆っているのがわかります。
松や照葉樹に、まとわりついているのでしょう。
結果、まとわりつかれた樹木は日光を十分に受けることができなくなって枯れてしまうことがほとんどです。
宮島では伐採や採集が禁止され、自然のままの姿を維持していますのでカギカズラが増えていると思われます。
宮島以外でも確認できますが単独で生育する株はそんなに多くはありません。
根元を切られると簡単に消滅しますし、風や鳥によって種が運ばれ繁殖している様子も見られません。


鉤状の突起は2対1対2と交互につきます。


カギカズラの薬効について記してみましょう。


中薬大辞典から


カギカズラは鉤の部分を含む茎を薬として用います。
中国ではトウカギカズラを使用すると有りますが日本で生育するカギカズラも広東地方をはじめ多くの地方で生育していますので薬として混用されています。
成分的にはリンコフィリン・イソリンコフィリンといったアルカロイドが主な成分です。
薬効は動物実験ながら神経や筋肉の緊張を緩め痙攣を和らげます。
血圧を下降させる作用もあるようです。
動脈硬化や高血圧から起こる頭痛やめまい、ふらつきに有効とされ応用されています。
11の生薬で構成される釣藤散は早朝の頭痛によく用いられますが、同時に胃腸疾患や心臓疾患のある人にも適用されます。
釣藤・陳皮・半夏・茯苓・(竹節)人参・菊花・防風・石膏・甘草・麦門冬・乾姜と頻用された処方として暗記しています。
そのほか抑肝散は、当帰・釣藤・川キュウ・白朮・茯苓・三島柴胡・甘草の七つの生薬が配剤され、痙攣が強い疾患やパーキンソン症状がある場合は芍薬を加えた抑肝散加芍薬という処方がよく用いられます。
神経質な子供(肝気の高揚した!)に大塚先生は抑肝散をよく処方されていましたが連れて来た母親にも同じ処方を出していたことを思い出します。
最近ではアルツファイマー病の治療に抑肝散が有効(興奮や痙攣などを多少和らげるとの報告があるだけで治癒はしません!)とされ用いられています。
もうひとつ、七物降下湯という処方は私の恩師、大塚敬節先生が創方された有名な処方ですが、地黄・当帰・芍薬・川キュウ・黄耆・釣藤・黄柏の七味で構成されています。
常習性の高血圧治療薬として応用されますがいずれの処方も釣藤を長く煎じないほうがいいとされ、他の生薬は先に煎じ、釣藤は後に入れ約20分ほど煎じてもらうよう指示します。
後から入れるこの方法を後下法といいますが、面倒なので一緒に煎じるように一般ではしているようです。
釣藤の入る処方は大塚医院時代から頻繁に調剤してきました。
調剤するにしても人参を竹節人参にしたり、苦味のあるシマカンギクに近い菊花を用いたり、地黄を使い分けたり、或いは他の生薬を加味するなど微妙な工夫が必要となります。
最近は漢方薬が人気を得てたくさんの方が服用される時代になりました。
私がこの道を意識し志したのは50年も昔、現在とは隔世の感のある昭和中期の頃でした。

その他、会えました春の植物を紹介しましょう。


オウレンの花 (芹葉黄連=セリバオウレン)



オウレン(芹葉黄連=セリバオウレン)↑
バイカオウレン(梅花黄連)
アオキ
ジロボウエンゴサク

ホソバナコバイモ

ホソバナコバイモ↑
オオイヌノフグリ
イヌノフグリ
オランダガラシ
ユキワリイチゲ
キジムシロ↓


キジムシロ


といった早春の植物との出会いが有りましたがくしゃみと鼻水が止まりませんでした。
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