薬王堂気まぐれ通信使bU59  2012・5・20
Yakuoudo Capricious Communications Satellite

20日の日曜日、私の住む府中町「みくまりの森サポートクラブ」の依頼を受けて水分峡におき薬草の話をすることになりました。
午前9時:会長の挨拶をすませ早速観察会に入ります。
眼に付いた順にお話してゆきましょう。

エゴノキ(エゴノキ科)
「この植物の実はサポニンを多く含み、昔から実をたたいて汁を出し、川上から流して魚を獲っていました。人々の間で相当昔から行われていたのでしょう。」

「わしもしっとるで、わしはゲランを使ったけどな!」

「わしはバッテリーを使った!」

ゲランとは終戦後に使われた外国製の農薬(田んぼの殺虫剤)のことで小動物の体内に入ると麻酔作用で動けなくなります。
ウナギやコイを捕獲していたことを思い出しますがエゴノキにはエゴサポニンが含まれ、同じような効果があります。
車のバッテリー端子を水中に沈めて穴に潜むウナギやナマズを感電させ浮かせていましたが自分も感電しないようにゴムずぼんを着用しなければいけませんでした。

イタドリ(タデ科)
「イタドリの根には体内に入ると下痢を起こす成分が含まれています。同科の植物に大黄という漢方薬があり同じ成分があって下剤や消炎剤に用います。」

「漢方薬の下剤は知っとるで、タケダ漢方便秘薬ゆうんがあるよの〜!」

「よう知っとられますね、大黄が入っとるんです!」

皆さん、少しずつうちとけてきました。

キンミズヒキ(バラ科)
「夏になると黄色の花が穂状に咲きます。仙鶴草と呼んで止血や胃薬に内服しますがあまり使われていません。湿疹などのかゆみに煎じた汁で湿布する方法があります。」

「ミズヒキは赤い花ですね〜〜」
タデ科のミズヒキとの違いを知っている方がいました。

ヒメコウゾ(クワ科)
「この植物は紙の原料になります。特に1万円札や5千円札の材料になります。」

薬には関係ないけれどお金になると聞いたら皆の目の色が違ってきました。

ヨウシュヤマゴボウ(ヤマゴボウ科)
「ヤマゴボウというのは日本にも昔から有ったのですが外国から入ってきたということでこれをヨウシュヤマゴボウ【洋種山牛蒡】といいます。ヤマゴボウは漢方で商陸と呼び利尿剤として用いられましたが毒性があるために用心して用いなければいけません。もちろんヨウシュヤマゴボウにも毒性があり食べることはしないほうがいいでしょう。秋に赤く熟れた実は一時、ワインの色付けに用いられましたがこれも微毒があるため今では中止されています。」

気軽に参加した参加者は色々なことを聞かされざわついてきました。

ヤブジラミ(セリ科)
「この実は小さくて衣服に引っ付くので藪のシラミと名付けられました。漢方では蛇床子と呼んで煎汁で湿布すると痒み止めになります。特に陰部の掻痒には昔からよく使われてきました。」

股間に手をやる人がいます。

ツルニンジン(キキョウ科)
「漢方薬ではひじょうに重要な薬の一つで党参と呼びます。中国では薬用人参の変わりに服用するほどです。韓国でも貴重な薬草として用いられ大きくなった根を焼酎に漬けて服用します。糖尿病の改善に用いられているようです。効能は補益作用、体力の改善や精力の増進、胃腸の機能を盛んにする働きがあります。」

「わしも飲んでいいですか?」・・・勝手にせい!

「何処にあるんですか?」・・・ここにある!

「焼酎は何度ですか?」・・・ ・・・!

カメがいました。

カメ(イシガメ科)
「カメの背中の甲羅は鼈甲【別甲】と呼び、腹側を亀板と呼びます。肉は食用ですが甲羅に含まれる成分にはゼラチン質が多く含まれ貧血などの治療に用いられます。日本にはイシガメ、クサガメ、スッポンが住んでいました。ところが最近、祭りの夜店でゼニガメとかミドリガメと称してミシシッピーアカミミガメをふ化させて売っています。これは冷蔵庫に卵を入れておき祭りに合わせて温度を上げると簡単に産まれてきますので便利です。買ってきたカメを放したら大きくなります。池のカメの首には赤い部分があるので判ると思います。」

とうとうカメの説明もしてしまいました。
ついでに池で泳ぐ錦鯉についても産後に煮付けて食べればヒダチ【回復】がいい!という中国や日本の民間療法に触れます。広島周辺ではチヌを食べるといい!とも言われています。

「先生、何で色のついたコイは食べんのでしょうか?」

そんなことは知りません!気持ちが悪いからではないからでしょうか!味はそんなに変わらないと思います!としか返答が出来ませんでした。

そのほかにも、色々なお話をさせてもらいました。


コガクウツギ


白い花はコガクウツギ、ガクウツギをコンテリギの別名としているがコガクウツギの葉は照り返しがあって混同しているようだとか、クサギは繁茂しすぎて刈られるようだが若い葉を食べる人もいるだとか、シリアゲムシ?がイヌザンショウにとまっていたとか!アカメガシワは昔胃薬で服用されていたとか!マルバハギだと思うが木本ではなく草本だとか、モウセンゴケはアリや小さなアブを捕らえて栄養分にしているとか、ヤマウルシヤマハゼはよく似ていてかぶれるので注意とか!話せばいたるところに話題が転がっていました。
特にカンアオイはウマノスズクサ科の植物で花を土中に咲かせて結実した実は遠くに運ばれることも無く生育範囲を広げることが難しい貴重な植物だということを強調しておきました。
葉が蝕まれていたらギフチョウが食べた痕跡だから府中町は貴重なギフチョウの繁殖地だということもお話しました。
水分峡は下草が刈られ随分きれいになりましたが色々貴重な動植物の見られる自然環境でもあります。
チェーン鋸や動力鎌を扱うサポートクラブの方々にも多少とも植物の知識を知ってもらえたようです。


最後に全員で滝の前で記念撮影をしました。


前列左が気まぐれ広島人


タブノキが小さな花を咲かせています。
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