薬王堂気まぐれ通信使bU52  2012・2・26
Yakuoudo Capricious Communications Satellite

日曜日、新大阪での学会を済ませ東京に向かいます。


東京は広島と比べると一寸感覚が違うような気がします。
地下鉄乗り継いで行くところは本郷あたり古本屋通りです。
今まで何冊も本を買いましたが死ぬまでに読みきれるかと問われれば、ノー!
これ以上本を増やすのは止めにしよう!と思いながら陳列棚に見入ります。
そして店内〜〜〜
40年前、買いたくとも高価で手の届かなかった本がありました。
ところが店の経営者が変わると本の価値がわからず安くなることがあります。
無造作に積まれた本の中で、それらを見つけることがあります。
大方の人には価値の無い本でも、特定の人にとっては大きな価値を有することがあります。
懐かしい本がありました。


(左) 長塩容伸 大塚敬節 共著        (右) 大塚恭男 著


一冊は二名の共著、もう一冊は数年前に故人になられた方の著述、三名とも大変にお世話になった方々です。

民間薬療法と薬草の知識』 大塚敬節長塩容伸 共著 昭和32年刊 定価260円
この本は確か持っているはずなのですが懐かしくって今回買いました。
大塚敬節先生(1975年当時)は私の師匠に当たる人、私が23歳から27歳まで師事した漢方界で高名な医師です。
随分しかられた記憶がありますが終には仲人まで引き受けてくださいました大恩人です。
長塩容伸先生とは、何度か妻とご自宅を訪れたこともある薬草の知識を教えてくれた方(1975年当時)でした。

もう一冊、

漢方と薬のはなし』 大塚恭男著 平成6年刊
恭男先生は大塚敬節先生の長男にあたる方で未熟な私を支えてくれた恩人です。
当時、私からの一方的な相談ばかりでしたが自宅に招いてくださりご夫婦で励ましてくれました。
私の修業・展望・結婚といった人生の一大事に深く係わって導いてくれた三名です。
二冊の本は私にとって価値のある本、インパクトのある本となりました。
この本に出会った時、過去の恩人に面会したような錯覚に陥りました。
本の意味、将来にわたって一冊の本が様々な影響を人々に与え続ける!
読者が内容に感銘し、心打たれ、勇気を与えられ、開眼し共感する・・・
これらが書籍(本)の本質なのでしょう。


本郷 赤門


帰路、新幹線車中、『漢方と薬のはなし』を読みふけります。
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