薬王堂気まぐれ通信使bU49  2012・1・29
Yakuoudo Capricious Communications Satellite

1月29日、以前から気になっていましたヤドリギの根を確認したくて中国山地に赴きました
前回は1月2日でした。
今年になって二回目の山行きです。



前回には実の色が琥珀色のヤドリギ(Viscum album L . var. lutescens)と、赤い実の品種=アカミヤドリギ(Viscum album L . var. aurantiacum)を紹介しました。

Viscumとはとりもちという意味、
albumとは白いという意味、
L は、スウェーデンの植物分類学者、Carl von Linne の略語、
var. lutescensとは淡黄色の種という意味、
var. aurantiacumとは赤褐色、橙黄色の種という意味、

と「牧野日本植物図鑑」には説明があります。

今回は名前の由来、『宿る木』である証拠を探してみることにしました。
リュックの中にはデジカメとカッター、のこぎりを入れます。
妻のスキー袋の中には4メートル伸びる枝きりバサミを忍ばせます。
結局、枝きりバサミは使用しませんでしたがスキー袋が何時になく重かったと妻はぼやきます。
スキー場に着いて午前中は視察を兼ねての直滑降・・・
あちらこちらヤドリギは着生していました。
午後からは人目を避けて手の届きやすい場所のヤドリギを探します。
ありました。
ミズナラの横枝に伸びた中間にヤドリギが着生しています。
ギ〜コ♪ ギ〜コ♪
最初は調子よくのこ刃がミズナラの枝を切ってくれていましたがヤドリギの根あたりに達すると粘りが出て切れにくくなりました。
20分も雪の中で格闘したでしょう!
切り口を紹介してみます。


ミズナラの枝木には15年の年輪が刻まれています。
その年輪にある道管を突き破るようにヤドリギの根が中心に向かっていました
すざましい勢いを感じます。


宿主のミズナラから養分を吸い取ってヤドリギは大きくなります。
雌雄異株のヤドリギは美味しい果実を実らせ、鳥に食べてもらい排泄物を介して他の樹上に張り付きます。
種子は粘液に包まれており樹肌に引っ付く仕組みになっています。
誰が考えたんでしょう?
鳥の出現が先か?ヤドリギのほうが先だったんでしょうか?

枝に食い込むヤドリギの根を観察してみました。
樹肌(木部)にはヤドリギの根が細く匍匐していました。
ヤドリギの根には年輪は観察できませんが繊維状の白い部分を見ることが出来ます。
芽生えてはいないけれども何時か芽吹こうと根だけを伸ばしている株も見られます。
恐ろしきかな!この世界!

中国では「桑寄生」と称して薬木にしています。
粘着力が強く、強靭な繊維性を有していることから筋骨を強くする作用があるとされます。
午後から辺りは吹雪いてきました。


ツルアジサイの花の痕が吹雪の中で


ツルアジサイの枯れた花の痕、
ツルウメモドキ赤い実


ツルウメモドキ


ノリウツギの花の痕跡もありました。
トチノキらしい冬芽など・・・
冬、山は静かに明日を見据えています。
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