薬王堂気まぐれ通信使№843  2023-1-22
Yakuoudo Capricious Communications Satellite

1月22日、広島大学理学部が主催する植物観察会に参加してきました。
場所は呉市天応町にある天狗城山(標高293m)でした。


左の山が天狗城山

戦後より昭和30年まで父親は呉にあるオーストラリア進駐軍基地に勤務していました。
父の運転するオートバイの後部座席からおむすび状の天狗城山を見た記憶が蘇ります。
岩が落ちて来ないかと心配するほどの山だったことを思い出します。

午前10時に天応駅に集合し山頂を目指しました。


フウセントウワタ

高速道路野切り面にフウセントウワタの樹がありました。
庭木から種が飛んできたものと思われます。
フウセントウワタの樹皮や果実を傷つけると白い乳液が出てきます。
ガガイモ科の植物はこのようなことが起こると認識していましたが現在、ガガイモ科はキョウチクトウ科(APG分類)に統合されています。
登山口から急な坂道が続きます。
途中、気が付いた植物を記録してみましょう。

アカマツ
ネジキ
カクレミノ
ナワシログミ
アベマキ
ヒサカキ
ヒメユズリハ
ヒトツバ


ヒトツバ

トラノオシダ
クロキ
コナラ
ヤブツバキ
ソヨゴ
コバノミツバツツジ
アラカシ
テイカカズラ
ヤブコウジ
コウヤボウキ
サカキ
モッコク


岩の多い山道


コシダ
タムシバ
ウラジロノキ
アセビ
ネズミサシ
タンキリマメ
ランタナ(園芸逸出)
センニンソウ(狂い咲き)
アオツヅラフジ
シロノセンダングサ
コシロノセンダングサ
などなど



アカマツにマツグミが寄生していました。
果実を割ってみました。
マツグミの果実を集めて突くとガム状の粘着物が出来るのでメジロやウグイスなどがとまる小枝に貼り付け捕獲に利用します。

この山は大きな岩が積み重なって出来ており設置されたロープ無しでは登れない危険な場所もありました。
花崗岩で出来ているようですが鬼の大根刷りのような岩があります。
頂上近くの岩場から瀬戸内海が奇麗に見えました。


正面が江田島、左は呉湾、右に広島湾


山頂は平地でしたが雑木が茂り見晴らしはよくありません。
北側にある岩上からは似島が見えます。
東側には数年前に起きた土砂崩れで多くの犠牲者が出た天応町が見えます。
南側には江田島の切串地区、遠くに宮島が見えます。


正面が江田島・小用地区 (※ 1945年、呉を出航した戦艦大和はここを通って沖縄に向かいました。)


仁方瀬戸


キカラスウリ

急斜面を下り呉線沿線をとおり前々から気になっていたキカラスウリの根を掘ってみることにします。
島しょ部には所々にキカラスウリの果実が見られます。
キカラスウリの根は栝楼根(栝蔞根)として薬用に使います。
汗疹(あせも)などに使う天花粉はこの根から取れるデンプンを使用したと言われます。
果実はあるのですがどれがキカラスウリの地上茎なのか?蔓を伝って探しますが他の樹木にさえぎられて難儀しました。
やっと一株、これが地下に通じる茎だと定め掘ってみます
広島の方言で困難なことを「やねこい!」と言いますが当にその通り、掘っても掘っても肥大した地下根に到達しませんでした。
約60㎝掘り進んだところでやっと肥大した部分が出てきます。
肥大根はそこから更に深い場所まで直立しているようです。
1メートルくらい掘ったでしょうか?それでも根は中途で折れてしまいます
30分の格闘の末、何とか30㎝くらいの栝楼根を確保します。
折れた白い部分をかじってみます。
苦みもなく粘りの無いヤマノイモをかじっているような感覚です。
寒空の下でよくやります!
近くにはスイセンキダチアロエの花が咲いていました。
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