8月9日・中国新聞文化センター講義内容
                              
担当 勝谷英夫
 8月9日()の講義は聴講生の要望で、ジャコウ、クマノイ、ゴオウでした。
まず、ジャコウ(麝香)ですが、ジャコウジカのオスにある匂い袋---麝香腺分泌物
ジャコウジカのオスを殺して採集するために数が減り、今ではワシントン条約で捕獲禁止になっているだけでなく輸入、輸出も禁止です。写真のものはワシントン条約以前のもの


麝香1

主な成分はmuscone(ムスコン) この匂いは香水のムスコンの原料なのです。だからムスコンを使った香水は高いのです。でも、麝香をそのまま嗅ぐと匂いが強すぎました。 
 開竅作用(かいきょうさよう)といって、塞がっているものを広げる作用があります。
ゴオウと一緒に使い、心臓病に効きます。昔は芸者さんが和ダンスに和紙でくるみ、着物に匂いをつけていました。その匂いでおとこは興奮したそうです。

麝香2
クマノイ(熊の胆) 熊の胃と勘違いする人がいますが熊の胆嚢です。
これは日本のものです。



熊の胃(胆嚢)

昔から胃痙攣によく使いました。胃痙攣は胆石の痛みのことが多くありましたが、昔はそのことがわかりませんでした。季節によって中の色が違います。夏から秋にかけて捕ったものが琥珀色で良品とされました。冬眠中は黒っぽい。春のものは青っぽいと一般的に言われています。偽者が多いので、安い物、鑑定書のないものは手を出さないようにしましょう。
 熊も、熊の胆を取るために殺していましたが、今は、熊を折に入れて動けないようにして、注射針で胆汁だけを取り出す方法があります。
 胃腸、肝臓、胆嚢、心臓などに効きます。

ゴオウ(牛黄) 牛の胆石
 牛1千頭〜1万頭に1頭あるかないかのため、昔から金より高価といわれてきましたが実際に金より高価です。

牛黄
お殿様の印籠にはゴオウが入っていました。
 心臓病の特効薬です。救心、六神丸の主成分です。牛の胆石は人間の胆石とは違い、胆汁の塊です。人間のはコレステロールの塊です。これを服用することにより、内臓全体が活性化され、元気になります。じっさいに心臓が苦しくてハアハア肩で息をしていた人がゴオウの服用で良くなり、自分でゴオウを買いに来られた例があります。また、鎮静作用がありますから、赤ちゃんの夜鳴き、疳の虫にも使います。(救命丸)など。
最近ではB型、C型肝炎につかいます。中国の慢性肝炎の薬で片仔廣というのがありますが、これが、ゴオウと田三七人参が主な成分です。慢性肝炎が肝硬変、肝臓ガンと移行するのが遅くなります。
とにかくゴオウはとても便利な薬です。疲労回復、解熱にも効きます。元気にする薬だからゴオウを飲んで「寝られなかった。」と言う方が時々おられますが、それは違います。鎮静作用がありますから良く寝れます。体が活性化するので元気になりますが、興奮するのとは違います。
 最後にジャコウ、クマノイ、ゴオウを混ぜて合剤を作りました。「疲れたら飲んで下さい。」
こんな感じの講義でした。 
ホーム