中国新聞文化センター・健康講座 広島県の薬用植物と漢方

平成18年7月26日・水曜日 午後6時半からの講義内容

講師:吉本悟先生
講師: 先ずこの実↓は何か知っている人はいますか?

誰もいないみたいですね。
これはチョウセンアサガオの実なんです。

生徒: ええっ!

幕末に華岡青洲が麻酔薬=痛仙散を創方しましたが、この処方の中にチョウセンアサガオの葉を入れました。
当時はこの植物のことをキチガイナスビとか蔓陀羅華と言ったんですね。
痛仙散はその他にもトリカブトの根(烏頭・附子)、ヨロイグサの根茎(白止)、センキュウの根(川弓)、トウキ(当帰)の根、マムシグサの根(天南星)、カラスビシャクの根(半夏)などを入れ、煎じて服用したと言われています。
チョウセンアサガオの葉を八分使ったと言いますから約3グラムくらいでしょうか!
(注:一両=一匁=十分=3.75グラム)
その他の生薬は各々二分とありますから約1グラムずつ使われたことになります。
トリカブトの根は痛みを和らげる半面、毒性も強く神経麻痺や呼吸困難が起こる可能性があります。
痛仙散の処方は少ない量にも関わらず煎じて服用しますと2〜3時間で効果が出るとされています。
しかし副作用も多く幻覚作用や瞳孔散大・吐気などの症状が現れ、強すぎると呼吸麻痺や昏睡状態が現れて生命の危険を伴うものでした。
華岡青洲がこの痛仙散を使って世界で始めて乳癌の手術を成功させたのが1804年、44歳の時だとされています。
このあとしばらくして長崎にシーボルトが来日(1823年)しています。
多くの日本人医師が西洋医術を習うために彼の弟子となりますが外科を標榜する華岡青洲と外科医・シーボルトとの接点がないことに不思議を感じます。
それにしても奥さんが実験台になったり、お母さんを患者にしてみたり大変でしたね。
これがチョウセンアサガオの花です。

夏、日が沈んでから白い花が咲きますが怪しい美しさですね。
花の辺は5つになっていますね。
夕方にこのを見ますが30分もしないうちに完全に開きます。
一日で受粉を終えるんでしょうね!
次の日には花がしぼんでしまいます。
其の実を持って来ました。
痛仙散では葉を使いますが実の種にもアトロピンやスコポラミン、ヒヨスチアミンなどのアルカロイド成分が含まれ毒性が強い植物です。
中枢神経系機能を最初は興奮させますが次に麻痺させてしまいます。
結果、局所知覚神経麻痺や睡眠作用を起こします。
私は35年くらい前、薬科大学を卒業して東京の四谷にあります大塚医院で働いていたんですが休日はよく神田や本郷の古本屋を歩いていました。
漢方薬のことが書かれた古本を探していました。
其の中に「瘍科方筌」という筆記本がありました。
確か本郷でしたでしょう。
店先の陳列に出される前、蔵に保管されていたものを私が見つけ買いました。
本屋の主人も本の価値を知りませんから安く手に入れました。
この本の内容は華岡青洲が弟子達に口述で伝えたものを書き写しています。
華岡青洲の医局と薬局の名を春林軒と言います。
目録を見てみますと今で言う外科的な病名がずらりと並んでいるのが分かると思います。
最初の四つはオデキの種類によって分けています。
徽瘡というのは梅毒で出来たオデキのことですね。
痔や脱肛、乳疾患、打撲のことも書いてあります。
最初のページには十味敗毒湯という処方のことが書いてあります。
私もよく使わせてもらっている漢方薬です。
桔梗は分かりますね。
痰を排出したり排膿作用があります。
瓔ジョというのは桜の皮のことで消炎効果があります。
枳実は夏みかんなどの未熟な柑橘類を指し、硬くなったもの柔らかくする作用があります。
ですから化膿しかけた疾患とか、すでに化膿している状態、炎症を起こしているもの、過敏症状を和らげたりするんですね。
華岡青洲は臨床を積み重ねて有効な処方を後世に残してくれたんです。


まあ、こんなことがこの実から分かりました。
皆さんはこの他に身近なナス科の植物を知っていますか?

生徒: カボチャ

講師: 残念でしたね!カボチャはウリの仲間ですね。

生徒: ウゥ〜ン??

講師: ナスはナス科ですね。その他にクコやトマトがあります。ジャガイモのナス科ですよ!ジャガイモの実はトマトのような実がなるんですよ。其のほかにはピーマンもそうなんです。不思議な気がしますね。


次は植物の接写の方法を説明し、パソコンに取り入れる方法を話してみましょう。
難しいことではないんですよ!
先ず皆さんが普通に使用していますコンパクトデジカメから接写する方法を説明しましょう。
コンパクトデジカメは接写が非常に得意だということを知ってください。
大抵のデジカメには接写モードが付いていますからそれを働かせましょう。
3倍ズームですので一番の望遠域にして接写モードを使うと下のような画像が出来上がります。
これはオカトラノオの実を写してみました。

コンパクトデジカメの接写モードで撮影したオカトラノオの実

↑これでも十分に近接画像と分かりますが、今の状態でレンズの先に100円ショップで買える虫眼鏡を当ててみて下さい
はい、下のように写りました。

接写モード・望遠域+虫眼鏡かルーペを装着して撮影したオカトラノオの実

ずいぶん大きく写るでしょう!
次に最近販売されています一眼レフタイプのデジカメを使ってみましょう。
お金がありましたら接写レンズを買って近接撮影されればいいんですが私はお金もありませんから30年位前に使われました105ミリの接写レンズを使ってみます
それにやはり20年位前によく使われたフラッシュを装着してみます。
最新式の一眼レフデジカメに古いレンズとフラッシュの組み合わせは誰が見てもミスマッチに思えます。
しかしこれをマニュアル撮影しますとこんな画像が得られるんです。

一眼レフデジカメに古いレンズと接写レンズを装着し旧式フラッシュを強制発光したマニュアル画像、絞り22、シャッター速度500分の一、

露出と絞りは勘ですがデジカメは後ろの表示板に撮影した画像が直ぐに現れますから良し悪しが分かるんです。
何枚も撮影していますとだいたいこのくらいの絞りで写せばいいだろう!という事が分かってきます。
光源量は一定にしておきましょう。
それで得られた画像をパソコンに取り込んでホームページなどに使う画像として縮小したりトリミングをしてみましょう。
どうですか!

生徒A: へ〜!私にも出来そうだ!

生徒B: 私はこの原理を自分のゴルフの解析に使ってみよう!結構いいね〜!

そうなんです!
デジカメを上手く利用して色々と活用してみようではありませんか!

(注=パワーポイントの資料画像は全て気まぐれ広島人が作成したものです!)
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