10月11日(水)・勝谷先生の講義

センブリの花

  8日に三次に行きましたので、そこで採集しましたセンブリとオケラについて話をしました。
センブリ↑はリンドウの仲間です。日本の代表的な民間薬です。
薬の煎じ方は普通に煎じだす方法と、熱湯の中に入れて振り出す方法とがありますが、センブリはどちらかと言えば振り出す方法をとります。1000回振り出してもまだ苦いので、センブリの名前がつきました。
 振り出した液体ではないのですが、そのままかじってみましょう。タモリの番組で罰ゲームとして飲むのが、このセンブリです。
初めはそれほどでもないが、だんだん苦くなっていきました。(一人はあまり感じない)
 この苦味で、唾液が出ます。唾液が出ると胃液が出ます。
それでセンブリは苦味健胃薬として胃の働きが悪いときに使いますが、日頃、胃酸過多の人が飲むと苦味で胃液が出すぎて胸焼けを起こすことがあります。
 胃薬には基本的に苦味健胃薬と、いい香のする芳香性健胃薬があります。
ですからセンブリがなんでも胃にいいとは言えません。少し冷やす働きもありますから、胃が日頃から冷えている人、胃下垂で胃液のたまっている人などは胃液が出すぎて反って合わないことがあります。
 その他では毛はえ薬として使われましたがどうなんでしょう。
 センブリは日当たりの良い、少し荒れた土壌によく生えます。
道路工事とかで、日当たりが良くなった崖に良く見られます。
日が当たると花が開くので、朝は咲いていなかったのに日が良く当たった昼ころ、見逃した場所で帰りに見つけることもあります。
よく似た花でもっと大きいのが、アケボノソウです。

オケラの花
 次はオケラ↑です。キク科です。
「ベニバナみたいな感じですね。」
「そう、どちらもキク科ですから、色は違ってもなんとなく似ています。」
京都の八坂神社でお正月に行われるオケラ祭りはこの植物です。この茎に火をつけてぐるぐる回しながら、家に帰り、家のかまどの火種にしました。
 三次のある場所で一本だけ切ってきましたが、出るときに看板を見たら、植物、昆虫、動物を取ってはいけません。と書いてありましたが入るときには見ていませんでした。
漢方的には湿気を取る薬です。
体の湿気ですから利尿効果があります。
おしっこを出すことによって体の余分な水分を出します。
ホソバオケラの塊根のことを蒼朮と言いますが、表面に白い粉というか、カビのようなものがありますが、結晶です。
これが古立蒼朮といっていい品物です。
煎じ薬を渡すときに説明をしておかないと、あとから「薬にカビが生えとる。」とクレームをつけられることがあります。
 オケラは白朮といいます。こちらは白い結晶はありません。
やはり湿気を取る利尿効果があります。白朮のほうは主に胃の水はけをよくするときに使います。
蒼朮は関節炎などの痛みのあるときにつかいます。
 あとは止汗作用、抗アレルギー作用などがあります。
代表的な処方としては五苓散というのがあります。
茯苓、白朮、沢瀉、猪苓、桂皮からできていますが、漢方の代表的な利尿剤です。
不妊症とか女性の冷え症につかう薬で当帰芍薬散がありますがこの中にも入っています。
胃下垂傾向の人に使う六君子湯にも入っています。


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