6月13日(水)講義   勝谷先生の話し
 10日(日)に加計の手前にある田之尻(たのじり)にアジサイを観に行きました。

そこから筒賀に抜ける間に、棚田100選に選ばれたところがありますが、ちょうど田植えが済んだところできれいな景色でした。


次に戸河内に行きましたが、山々が所々白くなっていました。これはマタタビの葉っぱです。


マタタビの実は今までに何度も見ましたが、葉っぱは初めてでしょう。今の時期が一番はっきりして分かりやすいです。
もうじきすると白色が薄くなってきます。
マタタビは実を強精強壮剤にしたり、神経痛に使ったりします。
使い方としては焼酎に漬けて薬用酒にするのが一般的です。
むかし、旅人が疲れて体が痛くて困っている時にマタタビを服用して又、旅ができるようになったことからこの名前がきています。
 実に虫が入り、コブコブになったものを虫?(ちゅうえい)といい、これを蒸して乾かしたものが木天蓼(もくてんりょう)という生薬です。
また、この中に含まれるマタタビラククトンはネコ科動物にとって、元気を出す働きとともに使いすぎると酔ったように中毒を起こします。
 つぎにあったのがアザミです。


 キク科の植物ですが、今の時期に咲くのはノアザミです。
これも神経痛とか、利尿剤とかにします。
よく信州のほうで「ヤマゴボウの漬物」として売っているのはこのアザミの根です。
もし本当のヤマゴボウの根を使ったら大変なことになります。
というのはヤマゴボウの根は商陸(しょうりく)という生薬で、非常に激しく下痢をさせたり、尿を出させたりする作用があります。
 アザミの根は漢方名を大薊(たいけい)といいますが、あまり処方の中には出てきません。

ということで、今日は神経痛の薬を作ってみましょう。
神経痛の薬といってもたくさんあるのですが代表的な処方の苡仁湯をつくります。
《たまたま生徒さん二人が肘が痛いそうです。》
苡仁湯は苡仁、麻黄、蒼朮、当帰、桂枝、芍薬、甘草で出来ています。
急性と慢性の中間、つまり亜急性の時期に使う薬です。
体力も中程度、胃腸の具合もほどほどといったところでしょうか。
湿気が原因で悪くなった時の薬です。
ですから主薬は利尿作用のある?苡仁と蒼朮です。
発汗、鎮痛の麻黄、血行をよくする当帰、巡りをよくする桂皮、鎮痛鎮痙の芍薬、甘草です。
1日分に対して水3合で煎じてください。
沸騰後弱火で15分くらいです。
かすを捨てて、1日2〜3回に分けて、空腹時に服用してください。
治るといいですね。

(注=という字の上に草冠をつけてヨクと読みます。ヨクイニン(苡仁)と読んでください。ハトムギのことです。)
今日はこんなところで終わります。
広島県の薬用植物と漢方