5月9日講義   勝谷先生の話し

 5月13日(日)に広島漢方研究会で目について話をするのですが、そのなかでこんなものがあります。


これが何かわかりますか?これは木賊と書いて、「モクゾク」あるいは「トクサ」と読みます。
シダ類のトクサ科です。このなかまで有名なのはツクシです。
ですからなんとなく似ています。
むかしは侍の家には植えてありました。
なぜでしょうか?研ぐ草(とぐくさ)、つまり、刀を研いでいたのです。
あるいは工芸品を磨く時に使います。言ってみればサンドぺ−パーです。
 これが、結膜炎、角膜炎、ブドウ膜炎などの目の炎症に使います。
局方品ではありませんので、有効成分などわかりませんが、漢方処方にもよく入っています。


また、最近では目にいいと言ってブルーベリーが有名になりました。
アントシアニンという色素が効くのだといわれています。
インターネットで調べてみると実にたくさんのメーカーから製品が出ていました。
ブルーベリーはツツジのなかまです。
花もよく似ています。


戦時中、ブルーベリーのジャムが好きで、大量に食べていたあるパイロットが不思議なほど目が良かったそうです。
日本でも、メグスリノキをお茶にして飲んでいる地方ではみんな視力がいいと言われていることから、一時期メグスリノキがブームになりました。


次に、今よく咲いている花にテッセン、クレマチス、ハンショウズルがあります。
キンポウゲ科の植物ですが、自然界にあるのが、カザグルマです。

                     タカネハンショウズル



あるいは、センニンソウボタンズルなどの植物を同じように使いますが、漢方では威霊仙といい、神経痛の薬です。
特に処方で言えば疎経活血湯(そけいかっけつとう)の中に入ります。

                            センニンソウ
             
                        威霊仙の説明図・中薬大辞典

この疎経活血湯を使うコツは、「主に左が痛む、昼より夜が痛む。」ということです。
漢方では左は血に属すといわれています。ですから疎経活血湯の中には血行をよくする四物湯が入ります。
ちなみに右は水とか気に属します。
このようにただ神経痛の薬というのではなく、その人に体力があるかないか、冷え症か、内蔵の具合はどうか、どのように痛むかなど、いろいろと聞いて処方するのが漢方なのです。

今日はこんなところで終わります。
広島県の薬用植物と漢方