4月11日講義   勝谷先生の講義

 今日は午前中、西区にある広島学院中学高校の裏山に登ってみました。春なのでなにか出ているだろろうと思いました。
ところが、あるものはアラカシ、カクレミノ、ウツギ、モウソウチク、ヤダケなど薬草らしきものは見つかりませんでした。
ようやく、ありきたりですが、サルトリイバラの花が咲いていました。
サルトリイバラの花

サルトリイバラの実

サルトリイバラの葉を巻いたカシワモチ
この根を土茯苓(どぶくりょう)あるいは山帰来(さんきらい)といいます。
化膿性疾患、皮膚病、最近ではアトピーに効果があるといわれています。
むかし、化膿性疾患、皮膚病、つまり梅毒やライ病(ハンセン病)になった人がこの根を飲んで治り、里に帰ることが出来たので山帰来の名前がついたといわれています。
ちなみに梅毒は西インド諸島の風土病だったのですが、1492年コロンブスが持ち帰り、1495年から1496年にかけてヨーロッパで流行しています。
日本には1543年鉄砲伝来、1549年キリスト教伝来とともに入ってきました。
コロンブスもザビエルもろくな人間じゃないです。
 仕方なく山を降りたところにイタドリがありました。

イタドリの新芽
新芽をわたしたちは子どもの頃、かじっていました。いわゆるスカンポです。
生薬名を虎杖根(こじょうこん)といいます。
神経痛に使うので、痛みをとるのでイタドリというそうですが、ほとんど使いません。
薬局に帰り、棚を見ているとこんなものがありました。
  


では次に行きましょう。
食べてみてください。おいしいです。何かわかりますか?↓

生徒:「竜眼肉ですか。」

リュウガンの実


すごい。よくわかりました。これは竜眼肉(りゅうがんにく)ムクロジ科です。
簡単にいうと、楊貴妃が好きだったといわれているライチ、レイチです。
薬効としては鎮静、滋養強壮、健忘症、不眠に使います。頭がよくなる薬として、小さい頃、食べさせられましたが、今の私をみれば、効果はなかったと思います。
時々、親が、「子どもの頭のよくなる薬はないか?」と買いに来ますので、竜眼肉を渡します。
この生薬は加味帰脾湯(かみきひとう)という処方に入っています。
この処方は自律神経失調症、健忘症、不眠症、B型、C型のウイルス性肝炎で血小板が少なくなった時、再生不良性貧血などに使います。
 漢方でも甘い、おいしいものもあります。
では、甘いと言えば、何でしょう?飴です。

膠飴


カンロ飴のようでしょう。皆さんに食べてもらいましたが歯に引っかかり、私もしゃべれなくなりました。
漢方名を膠飴(こうい)といいます。
滋養強壮、健胃薬にします。
小建中湯(しょうけんちゅうとう)という、子どもの代表的な薬の中に入っています。
子どもはお腹が丈夫であれば元気です。
すぐにお腹が痛くなる。
学校に行こうと思えば、お腹や頭が痛くなる。
日頃から元気がない。
おねしょが治らない。
鼻血をよく出す。
などが虚弱児の特徴ですが、このような子どもに日頃から服用させると、丈夫になります。
ただ、甘いので日頃から、吐き気のある人にはむきません。
ということで今日はこれくらいにしておきます。
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