平成19年 3月28日

吉本先生の話し

こんばんわ!
今夜は生徒さんが少ないようですね。
皆さん、忙しいのでしょう。

さて今夜は早春の草花についてお話しましょうね。
今朝、6時に起きまして芸備線を北上してきました。
ですから朝ごはんはコンビニで買って食べました
芸備線・向原の周辺をうろついてきました。
薬用に用いられる植物ではありませんがコショウノキの花を見つけててびっくりしました。
広島県では稀なジンチョウゲ科の植物です。


五分咲きのヒガンザクラ
先ず、桜が綺麗でしたね。
この桜はシダレザクラ系のエドヒガンです。
神社の前ですが、この辺りでは家の庭にも植えられることがあり満開になると見事です。
サクラは咲くとパッと散る!虫がつき易い!などから庭木には不向きとされますが中国地方の山間部では長寿のエドヒガンを植えることがあります。
幕末、植木職人によってオオシマザクラとエドヒガンとを掛け合わせソメイヨシノという新種の桜が造られます。
オオシマザクラの花は大きくて白い!
エドヒガンの花は小さいが赤味が強い!
双方の花の特徴を持ち合わせたのがソメイヨシノという桜です。
花が早くから咲く!花びらが大きくて赤味があり見栄えがする!という利点がありました。
ところが双方の親は長生きなのにソメイヨシノの樹齢は60年から70年しかありません。
樹が弱ってきますと枝ばかり出て花のつかない天狗巣病が発生しやすくなります。
桜は品種が多いのですが野生の桜も含め樹皮を薬用として使ってきました。
世界に先駆けて乳癌の手術をした華岡青洲は十味敗毒湯という漢方薬に桜の皮を配合し頻用しています。
桜皮エキスには咳止め、皮膚病、魚の中毒など清熱作用、消炎作用、解毒作用があります。
葉にもクマリン配糖体があり桜餅に使われるオオシマザクラの葉には特に多く含まれます。
伊豆地方ではオオシマザクラの葉を漬けて発酵させ独特のクマリン臭を出して菓子などに用いています。


キランソウ
その次にはキランソウが目に入りました。
キランソウはシソ科の植物で最近でも薬用に採集する人がいます。
広島の熊野や焼山あたりではキランソウを胸焼けなどを治す胃薬にすると言います。
別名をジコクノカマノフタ・イシャダオシなどと呼びますので薬として用いられてきたことがうかがえます。
咳止め、痰切り、胆のう結石や腎臓結石を排出する薬草として利用されてきました。

アセビの花
次に有りましたのはアセビ、
これは馬酔木とも言われ牛や馬が誤って食べますと中毒を起こして動けなくなります。
牛や馬はアセビを食べませんが飼料に混じっていると食べることがあります。
この樹を鍋で炊いて汁を噴霧し菜っ葉の除虫に使ったと言われます。
便所に枝葉を入れるとウジが湧かなかったそうです。


薬局の前にあるセキショウ
清流にセキショウがありました。
私は採集してきたものを店先で繁殖させています。
サトイモ科のこの植物は根に独特の臭いがあります。
今の時期は白い房状の花が咲きます。
ミズバショウやショウブ、サトイモやカラスビシャク、コンニャクも同じサトイモ科ですね。
ミズバショウは葉が白く変化した苞が花を包んでいます。
薬効は開窮(穴のとおりをよくする!)作用、鎮静作用、健胃作用があり耳鳴りや健忘、うつ病などに使われることがあります。
私は車の運転が出来にくくなった健忘気味の人に勧めて喜ばれたことが有ります。


屋根の上にあるツメレンゲ

岩の上にツメレンゲがありました。
ベンケイソウ科のツメレンゲの花穂は中国や韓国で昔から薬として使われてきました。
チャングムの誓いという番組を見ておりますと済州島に流されたチャングムが屋根の上のツメレンゲを採る場面が出てきます。
あの番組は忠実に植物を再現していますね。
実に興味深く見ました。
ドラマでは腫瘍を治す薬として出てきますが清熱解毒作用があって腫れを取る作用があると中葯大辞典には紹介されています。
私の知人で江蘇省の中国人がいますが昔から瓦の上に生える薬草として熱を加えて粉末にし胃腸薬にしていたと教えてくれました。


ミツマタ
最後にミツマタが花を咲かせていました。
鈴木洋先生の「くすりの事典」には薬草として掲載されています。
蜜蒙花として目の薬として利用されてきたと記載されています。
結膜炎や混濁、視力低下に花を煎じて飲んだと書いてあります。
日本では樹皮をお札などの紙の原料にすることで有名ですね。
先にあげましたコショウノキなどと同じくジンチョウゲ科の植物で早春の今、花を咲かせます。

今夜はこれくらいにしておきましょうね。
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