11月9日(水)・勝谷先生の講義

 この花は何でしょうか。

これはヤマラッキョウです。紫ととありますが、かわいい花です。
今の時期、鳥取砂丘に行くとあたり一面、紫のラッキョの花が咲いています。この鱗茎をラッキョとして酢につけて食べますが
じつはのこのラッキョは胸痺(きょうひ)といって胸が痛いときに使う薬です。
漢方名を薤白(がいはく)といいます。
胸の痛みは狭心症、肋間神経痛などがありますが、とくに心臓の痛みに使います。
昔の人はラッキョが心臓の形に似ているので心臓の薬にしたそうです。
狭心症はどちらかと言えば、左のお乳の下あたりが痛みますが心筋梗塞はみぞおちが痛みます。
もし、心臓の悪い人で痛みが出た時、この位置である程度判断できます。
漢方の処方でいえば、瓜呂薤白白酒湯(かろがいはくはくしゅとう)というのがあるんですが、瓜呂仁(かろにん)というのは、キカラスウリの種です。キカラスウリの根っこは瓜呂根といいますが、分かりやすくいえば天花粉です。 
それと薤白と白酒です。
白酒は日本酒です。
ですから、胸が痛くなったら日本酒を飲みながらラッキョを食べたら瓜呂薤白白酒湯の2/3服用したことになるんです。
「ほんまかいな?」しかし、根本的な治療と言うわけには行きません。治療としては私はゴオウを勧めます。


次の木ですが、蔓のことをなんといいますか。
徳島のなんとか橋というのがあるでしょう?

生徒:「かずら橋ですか?」

そうです。そして葉っぱの付け根に何かありますね。

生徒:「かぎですか?」

そうです。ですからこれはカギカズラといいます。
この生薬の主成分はリンコフィリンといい、脳の血管の血流をよくする、血圧を下げる、鎮静作用などががあります。
生薬名を釣藤鉤(ちょうとうこう)といいます。
この生薬が入っている処方で有名なのはて釣藤散(ちょうとうさん)、抑肝散加半夏陳皮(よっかんさんかはんげちんぴ)、七物降下湯(しちもつこうかとう)があります。
釣藤散は高血圧、脳梗塞などの病気で、特に朝頭痛がするという症状につかいます。
抑肝散加半夏陳皮はいらいらする、子どもで癇が強い、夜鳴きをするなどの時に使います。
七物降下湯は高血圧でも、下の血圧が高い時につかいます。
特に腎臓の機能が悪くておこす腎性高血圧などです。
これに最近はやりの杜仲を加えたものが八物降下湯という処方です。

  
勝谷英夫


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