11月22日 吉本先生のお話し

は〜い!寒くなりましたね〜
今夜はこのようなものを持ってきました。
さてなんでしょうか?

生徒:カラスウリでしょう。

そのとおりです。
カラスウリですね。この実は薬にはしないのですが昔の中国の本にはカラスウリの根を薬に使った例が記載されています。
土瓜根(どかこん)といいます。
今では薬として使うことはありません。
カラスウリの実(種子)は面白い形をしていますので割って見て下さい。

生徒A:どれどれ・・・あれ〜カマキリの顔みたいです。

生徒B:大黒様のようだと、この実で遊んだことを思い出しました。

面白い形でしょう。オトシブミ(落とし文)に似ていると言う方もいます。
花も綺麗で夜の9時ごろが満開です。
ここにおられる女性方と同じですね。

それに比べましてキカラスウリの花は朝方でも開いています。
流石に昼ころには萎んでしまいますが実や根にはデンプンが多く含まれています。
その為に滋養剤として漢方薬に使われます。
キカラスウリの根には上質なデンプンが含まれ晒して乾燥し集めたものを天花粉と言います。
寝汗や皮膚病には大変によく効きます。
その実の違いを見てみましょう。
カラスウリの種子は先ほど見ましたように歪な形をしていますがキカラスウリの実(種子)はスイカの種のように黒くて丸くなっています。

アオツヅラフジの実

次にこんな実↑がありました。
ここに来る時に蟹屋町で見つけました。
傍によく似た蔓でヘクソカズラがありました。
これは勝谷先生が虫さされの時に使うとかゆみが止まると言われたでしょう。
この実はアオツヅラフジ↑です。
漢方薬では木防己と言うんですが実際に痛みに使う処方に組み込まれています。
ところがこのアオツヅラフジを使いますと吐き気をもよおす人が多いんです。
ですから今では日本におきましてアオツヅラフジの代わりにオオツヅラフジを使います。
このオオツヅラフジは漢防己と呼ばれて民間でも神経痛やリウマチの痛みを軽減する薬として使われます。
中国では防己と言う漢方薬に近縁のシマハスノハカズラを当てています。
ハスノハカズラは広島では島でよく見ます。
特に宮島では鹿が食べないために多く生育しています。
葉が蓮の葉に似ているためです。
いずれもツヅラフジ科のつる性植物です。
オオツヅラフジの実も見てください。
葉の形が違いますがほとんど同じように見えますね。
オオツヅラフジにはシノメニンと言う鎮痛・消炎作用のある成分が含まれています。

はい、この実はなんでしょうね?
分からないでしょうね!
これはキハダの実です。
キハダとは漢方薬で黄柏(オウバク)と言いまして充血を鎮める作用のベルベリンが入っています。
Phellodendron amurenseと言うミカン科の植物です。
phelloとは、ラテン語で黄色を指す言葉と言われています。
キハダは昔から薬に使われていました。
煮詰めて固めた樹液を胃薬や下痢止めに使いました。
薬屋で扱っています大師・陀羅尼錠や陀羅尼助、百草丸に入っています。
軽い胃炎やそれが元で起きます胸焼け、食欲不振、口内炎、ゲップ、口臭などがある時によく効きます。

まあそんなところですかね!
それにしましても今の時期、花が終わりまして実になっているものが多いですね。
こんな実もありました。

これは↑スイカズラの実、忍冬蔓とも言いますね。
皮膚病などの消炎や毒出しに使います。
これは薬にはしませんがクサギヤブムラサキの実です。
綺麗ですね。

今夜はこれくらいにしましょう。
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