類聚方広義・第二木曜会 2015・5・13
未試十八方
雄黄薫 頭風摩散 皂莢丸 葦茎湯 当帰生姜羊肉湯 蒲灰散 滑石白魚散 猪膏髪煎百四十七頁 裏
涎沫止まず、咽燥して渇するを治すと。按ずるに、生姜甘草湯症も、亦た爾りと云うは、疑うべし。今之を病者に験するに、此の方勝れりと為す。 | 大逆上気、咽喉不利、逆止まず下気する者は、 為則按ずるに、当に心下痞の證有るべし。 雄黄薫 雄黄 右一味、末と為し、筒瓦二枚之合わせ、焼きて肛に向け之を薫ず。肛の蝕する者は、 頭風摩散 大附子一枚 鹽等分 右二味、散と為し、沐し了わり、方寸ヒを以って、疾上に摩り、薬力を行らせしむ。 |
雄黄(オオウ・ユウオウ)=硫化ヒ素鉱、鶏冠石、熱すると猛毒の三酸化ヒ素になる 筒瓦(トウガ)=丸い形の瓦 肛(コウ)=肛門 薫(クン)ず=くすべる、いぶす、あぶって乾かす 鹽(エン)=塩、岩塩 沐(モク)=髪を洗うこと 摩(ス)り=摩りこむ |
此の謂う所の肺痿症なり。皂莢は猪牙と称するものに非ずんば、効無し。又た兼用方と為すも佳なり。唾は、吐なり。濁は、濁痰なり。 当に膿血臭痰を吐すを以って目的と為すべし。然れども多日多服するに非ず。其の効見え難し。且つ七日八日毎に白散或いは梅肉丸を三五分を用い、吐下を取るを佳しと為す。 瓜瓣、今は冬瓜子を用う。 |
皂莢丸 皂莢 八両 十六銭 右一味、之を末とし、蜜にて梧子大に丸め、棗膏を以って湯に和し、三丸を服す。今皂莢棗肉等分を、蜜丸と為し、白湯を以って、一銭を送下す。日に三、夜一服。 咳逆上気、時時唾濁、但座し眠るを得られざるは、 葦茎湯 葦茎 二升 一銭二分 薏苡仁 半升 九分 桃仁 五十枚 三分八厘 瓜瓣 半升 六分 右四味、水一斗を以って、先ず葦茎を煮て五升を得る。滓を去り、諸薬を内れ、煮て二升を取り、一升を服す。水三合を以って、葦茎を煮て、一合五勺を取る。 |
皂莢(ソウキョウ)=マメ科サイカチの果実(莢)でサポニンを多く含む、樹肌の刺を皂角刺という 猪牙(チョガ)=サイカチの莢部で猪の牙のように曲がったもの |
皂莢(ソウキョウ)=サイカチの果実(莢)、サポニンを多く含む 梧子大(ゴシダイ)=アオギリの実の大きさ 葦茎(イケイ)=ヨシの根、芦根(ロコン)とも表記する 瓜瓣(カベン)=中薬大辞典によるとトウガンの種子=冬瓜子 |
胸中甲錯は、胸膈肌膚枯腊し、血液の滋無きなり。桂枝加黄耆湯、薏苡附子敗醤散、両標を参考すべし。 羊肉は、得難し。朝鮮産乾牛肉を代用すべし。加味法は取るに足らず。 老人疝痛、婦人血気痛、血燥液枯に属す者は、此の方に宜し。烏附剤の之く所と、判然として別有り。診處の際、宜しく意を著すべし。 |
滓を去り、諸薬を内れ、煮て六勺を取る。 再服す。当に膿の如きを吐すべし。 欬し微熱有り、煩満、胸中甲錯す、是れ肺廱と為す。 当帰生姜羊肉湯 当帰 三両 四分五厘 生姜 五両 七分五厘 羊肉 一斤 二銭四分 右三味、水八升を以って、煮て三升を取り、七合を温服す。 水一合六勺を以って、煮て六勺を取る。 日に三服、若し寒多き者は、生姜を加うに、一斤。痛み多くして嘔する者は、橘皮ニ両、朮一両を加う。生姜を加うに、亦た水五升を加へ、煮て三升二合を取り、之を服す。○ |
血気痛(ケッキツウ)=月経に関わる痛み 著(アラワ)す=はっきりさせる |
甲錯(コウサク)=皮膚が乾燥し、しわがよったり荒れること 肺廱(ハイヨウ)=結核性の肺化膿症で息が臭い 羊肉(ヨウニク)=羊の肉 |
寒仙、腹中痛み、及び脇痛、裏急する者、 ○産後、腹中コウ痛、当帰生姜羊肉湯之を主どる。併せ腹中寒仙、虚労不足を治す。 蒲灰散 蒲灰 七分 三銭五分 滑石 二分 一銭 右二味、杵き散と為し、方寸ヒを飲服す。日に三服、 小便不利、蒲灰散之を主どる。滑石白魚散、茯苓戎塩湯も併せ之を主どる。 ○厥して皮水の者、 滑石白魚散 滑石 乱髪 白魚 各二分 一銭 |
寒疝(カンセン)=疝気(センキ)=神経痛、冷えて痛むこと 蒲灰(ホカイ)=ガマ、ヒメガマなどの花穂、或いは全草を焼いたもの 乱髪(ランパツ)=血余(ケツヨ)=人の頭髪、出血を伴う疾患に用いる 白魚(ハクギョ)=シミ |
右三味、杵きて散と為し、方寸ヒを飲服す。日に三服す。 小便不利、蒲灰散之を主どる。滑石白魚散、茯苓戎塩湯も併せ之を主どる。 猪膏髪煎 猪膏半斤 十六銭 乱髪鶏子大三枚の如し 三枚 右二味、膏中に和し之を煎ず。髪消え薬と成る。分かち再服す。病小便従り出ず。 諸黄○胃気下泄、陰吹して正に喧、此れ穀気之 |
戎塩(ジュウエン)=岩塩 猪膏(チョコウ)=豚の脂 乱髪(ランパツ)=血余(ケツヨ)=人の頭髪、出血を伴う疾患に用いる 陰吹(スイ)して正に喧(ケン)=一説に女性の陰道から空気が排出され音がすること? |
實なり。 |