類聚方広義・第二木曜会  2015・3・12

未試十八方
竹葉石膏湯 麦門冬湯

百四十六頁 裏
標注                                       類聚方
未試方は、十有八首にて、余の試験する所は、僅か十首、今其の説を欄外に掲ぐ。

千金方に、生姜四両を用う。此の方気逆して吐せんと欲す者を治する。当に生姜有るべし。按ずるに、陶弘景の曰く、竹葉一は、ニ両正しきと為すと。
傷寒にて餘熱退かず、煩寃咳嗽し、渇して心下痞硬し、或いは嘔し或いはする者を治す。麻疹痘瘡も、亦た同じ。
骨蒸労熱、咳して上気し、衄血唾血燥渇煩悶し、眠る能わざる者を治す。
消渇し、貪飲止まず、口舌
未試十八方

竹葉石膏湯

竹葉 二把 
三分 石膏 一斤 一銭二分 半夏 半升 四分 人参 三両 二分 甘草 ニ両 一分五厘 粳米 半升 七分 麦門冬 一升 八分五厘 右七味、水一斗を以って、煮て六升を取り、滓を去り、粳米を内れ、米を煮て熟せしめ、湯と成して米を去り、一升を温服す。水二合を以って、六味を煮て、一合二勺を取る。滓を去り、粳米を内れ、煮て六勺を取りて、米を去り服す。日に三服す。

百四十六頁 裏 解説
標注                                            類聚方
把(ハ)=片手でひとにぎり
餘熱(ヨネツ)=あまった熱・余分な熱
煩寃(ハンエン)=苦しい気持ちの悪い、冤とは異字体で恨むの意味
噦(エツ)=しゃっくり、吐く
麻疹(マシン)=はしか、皮膚に発疹が出たり目が充血する伝染病
痘瘡(トウソウ)=天然痘、ほうそう
唾血(ダケツ)=つばに血が混じる、喀血
燥渇(ソウカツ)=イライラするほどののどの乾き
貪飲(ドンイン)=むさぼるように飲む
未試(ミシ)=(吉益東洞先生が)使ったことのない

百四十七頁 表
標注                                       類聚方
乾燥し、身熱して食せず、多夢寝汗し、身體枯槁する者を治す。若し大便通ぜず、腹微満し、舌上黒胎の者は、調胃承気湯を兼用す。


千金に、麦門冬ニ升に作る。今之に従う。
消渇し、身熱し、喘して咽喉利せざる者を治す。天瓜粉を加う。大便燥結し、腹微満する者は、調胃承気湯を兼用す。
久咳労嗽し、喘満して短気す、咽喉不利し、時に悪心嘔吐する者を治す。
肘后方に曰く、肺痿、咳唾
傷寒解した後、虚羸少気、気逆して吐せんと欲す者、
為則按ずるに、当に枯燥の證有るべし。又た按ずるに、條辨には、竹葉三両に作る。今之に従う。

麦門冬湯
麦門冬 七升 
一銭七分 半夏 一升 八分五厘 人参 ニ両 甘草 ニ両 各一分五厘 粳米 三合 四分二厘 大棗 十二枚 二分
右六味、水一斗二升を以って、煮て六升を取り、一升を温服す。
水一合二勺を以って、煮て六勺を取る。日に三服し、夜一服す。

百四十七頁 表 解説
標注                                            類聚方
枯槁(ココウ)=やせて水分がなくなる
黒胎(コクタイ)=黒いこけ、黒い舌苔
天瓜粉(テンカフン)=中国では栝楼(トウカラスウリ)を天瓜としたが後世に天花となる。栝楼根は天花粉、日本ではキカラウリ
久咳(キュウガイ)=長びく咳
労嗽(ロウソウ)=疲れを伴う咳き込み
肘后方(チュウゴホウ)=肘后備急方・葛洪編著、東晋(340年頃)
《葛洪(カッコウ)=抱朴子・肘后方を編集し著す、東晋の人》
虚羸(キョルイ)=体力が落ちて瘠せた状態

百四十七頁 裏
標注                                       類聚方
涎沫止まず、咽燥して渇するを治すと。按ずるに、生姜甘草湯症も、亦た爾りと云うは、疑うべし。今之を病者に験するに、此の方勝れりと為す。 大逆上気、咽喉不利、逆止まず下気する者は、
為則按ずるに、当に心下痞の證有るべし。

雄黄薫
雄黄
右一味、末と為し、筒瓦二枚之合わせ、焼きて肛二向け之を薫ず。肛の蝕する者は、

頭風摩散
大附子一枚 鹽等分
右二味、散と為し、沐し了わり、方寸ヒを以って、疾上に摩り、薬力を行らせしむ。

百四十七頁 裏 解説
標注                                            類聚方


薬用にはハチクの葉を用います。
ハチク イネ科
効能:清熱、利水



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