類聚方広義・第二木曜会  2014・5・8

枳朮湯 枳実芍薬散 排膿散


百三十二頁 裏
標注                                       類聚方
を佳しと為す。伯州、応鐘、七宝等を兼用す。凡そ附骨疽、久しく治せず、或いは治して復発す者は、毒の根蔕除かざるを以ってなり。若しくは此の者、宜しく瘡口を開し、抉剔し以って病根を除盡すべし。治せざる者無し。


ナン(ゼン)は、而エン切、音は軟、ナン ナン ナン ナンと同じ。柔と同じ。
○正字通に曰く、盤は、物を盛るの器、或いは木、或いは錫銅の之を為し、大小浅深方円は一ならず。難経五十六難に曰く、痞気胃脘に在り、覆して大きさ盤の如しと。
「風湿、」脈浮、身重く、汗出で悪風する者、風湿は一つに風水に作る。
○「風水、脈浮は裏に在ると為す。」其の人或いは頭汗出で、表に他病無し、病者但下重く、腰従り以上、和すと為す。腰以下は当に腫れて陰に及び、以って屈伸し難きべし。
為則按ずるに、金匱要略の、分量煎法は古に非ず。今外臺秘要に従う。


枳朮湯
心下
堅満、小便不利の者を治す。
枳実 七枚 
二銭一分 朮 ニ両 六分

百三十二頁 裏 解説
標注                                            類聚方
錫銅(シャクドウ)=スズやドウ
胃脘(イカン)=みぞおち、心下部

百三十三頁 表
標注                                       類聚方
按ずるに、旋杯は、覆杯の誤りとす。金匱五蔵風寒積聚篇に曰く、脾の死蔵、之浮くに大いに堅く、之を按ずるに覆杯の如しと。史倉公伝に曰く、斉王云云、痺根の右脇下に在り、覆杯の如しと。霊樞邪気蔵府病形篇に曰く、肥気脇下に在り、覆杯の如しと。難経五十六難に曰く、肥気左脇下に在り、覆杯の如しと。以って旋杯を覆杯の誤りと為すに見るべし。且つ巳に盤の如しと云い、又覆杯の如しと云うは、心下堅大盤の如く、其の形状は中高く辺低く、之を按ずるに外堅きと雖も、内に物無きが如気を言う。故に覆杯の如しと曰う。是れ水飲為る所以なり。此の條、及び木防 右二味、水五升を以って、煮て三升を取り、分温三服す。水一合を以って、煮て六勺を取る。「腹中ナンなれば、即ち当に散ずべし。」
心下堅く、大きさ盤の如し、邊施杯の如し。「水飲の作す所、」
為則按ずるに、当に小便不利の證有るべし。

枳実芍薬散
腹満拘攣、或いは痛む者を治す。
枳実 芍薬 各等分
右二味、杵きて散と為し、方寸ヒを服す。日に三服す。併せ癰膿を主どる。麦粥を以って之を下す。
大麦粥を以って、一銭を送下す。

百三十三頁 表 解説
標注                                            類聚方


百三十三頁 裏
標注                                       類聚方
己湯の痞堅、十棗湯の痞硬満、甘遂半夏湯の堅満、大陥胸湯の石硬、其の形状同じからざると雖も、均しく水飲に属す。但其の緩急劇易、兼症の異なりとを以って、主方の各(各々)同じからざるのみ。又按ずるに、五十六難に、覆し大きさ盤の如しと、疑うに大きさ覆盤の如しの誤りならん。

此の方、分量疑うべし。今東洞先生考定に従う。
○東洞先生、此の方に排膿散を合し、排膿散及湯と名づく。諸瘡廱を治す。応鐘、再造、伯州、七宝を兼用す。各其の症に随う。
骨槽風、膿潰の後、口収まらざる者は、毒の根
「産後」腹痛、煩満して臥するを得られず、
○「師の曰く、産婦」腹痛、「法当に」枳実芍薬散を以って、假令癒えざらん者は、「此れ腹中に乾血有りて臍下に著し、」下血湯宜しく之を主どる。亦経水不利を主どる。

排膿散
瘡家、胸腹硬満、或いは粘痰を吐し、或いは便膿血の者を治す。
枳実 十六枚 芍薬 六分 
各一銭二分 桔梗 二分 四分

百三十三頁 裏 解説
標注                                            類聚方
骨槽風(コッソウフウ)=歯槽膿漏

百三十四頁 表
標注                                       類聚方
蔕、必ず歯根に著く。故に其の歯を抜去するに非ざれば、決して全治を得られざるなり。後に此の方を与えば、必ず効有り。兼用に伯州散。時に梅肉を以って之を下す。
○産後悪露壅滞し、小腹癰、臀癰等を発し、腹拘満して痛み、大便泄利、心下痞塞、飲食を欲せずして、嘔有り、咳有る者も、亦此の方に宜し。伯州散を兼用す。
○咽喉結毒、腐爛疼痛、頚項に結核を生ず者は、宜しくエン丸を兼用するべし。エン鼠丸を用うれば即ち咽喉更に腐爛するが如く、而して後漸漸と平に復し、結核随って消却す。
右三味、杵きて散と為し、鶏子黄一枚を取り、薬散を以って鶏黄と相等しくし、揉和し相得せしめ、飲和し之を服す。薬末一銭を以って、鶏黄一枚に和し、白湯にて送下す。日に一服す。
為則按ずるに、瘡廱有りて、胸腹拘満の者之を主どる。

桂枝生姜枳実湯
胸満上衝、或いは嘔す者を治す。
桂枝 生姜 各三両 七分五厘 枳実 五枚 一銭二分五厘
右三味、水六升を以って、煮て三升を取り、分温三服す。水一合二勺を以って、煮て六勺を取る。

百三十四頁 表 解説
標注                                            類聚方
著(ツ)く=付着する、固定される
エン鼠(エンソ)=もぐら、鼠はねずみのこと




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