類聚方広義・第二木曜会  2014・3・13


三物黄ゴン湯 白頭翁湯 白頭翁加甘草阿膠湯 


百二十八頁 表
標注                                       類聚方








千金に、黄ゴンニ両に作る。今之に従う。
骨蒸労熱、久咳男女の諸血症、支體煩熱甚だしく、口舌乾涸、心気鬱塞する者を治す。
桂枝 一両 一分五厘 半夏 半升 九分
右六味、水七升を以って、煮て三升を取り、分温三服す。
水一合四勺を以って、煮て六勺を取る。

乾嘔下利、
為則按ずるに、当に心下痞硬の證有るべし。

三物黄ゴン
心胸苦煩の者を治す。
ゴン 一両 
七分 苦参 ニ両 七分 乾地黄 四両 一銭四分

百二十八頁 表 解説
標注                                            類聚方
骨蒸(コツジョウ)=結核(労瘵)の症状 苦参(クジン)=クララの根、利尿・抗菌・消炎・駆虫作用、皮膚病の消炎に使う

百二十八頁 裏
標注                                       類聚方
夏月に至る毎に、手掌足心煩熱堪え難く、夜間尤も甚だし、眠るを得られざる者を治す。
諸失血後、身体煩熱倦怠し、手掌足下熱するに更に甚だしく、唇舌乾燥する者を治す。
按ずるに、煩は、千金に煩熱に作る。是なり。
小柴胡湯は、四肢煩熱して、頭痛悪風し、嘔して食を欲せず等の症有る者を治す。此の方は、外症巳に解し、但四肢煩熱甚だし、或いは心胸苦煩する者を治す。辨識せざるべからず。

玉函、金匱、全書、併せ白頭翁三両に作る。今之に従う。
右三味、水六升を以って、煮て二升を取り、一升を温服す。水一合八勺を以って、煮て六勺を取る。多く虫を吐下す。
「婦人草蓐に在りて、自ずから発露し風を得て、」四肢苦煩熱、頭痛する者は、小柴胡湯を与う。頭痛まず、但煩する者は、三物黄ゴン湯之主どる。
為則按ずるに、当に心胸苦煩の證有るべし。

白頭翁
熱利下重し、心悸する者を治す。
白頭翁 ニ両 
七分五厘 黄連 黄蘗 秦皮 各三両

百二十八頁 裏 解説
標注                                            類聚方
草蓐(ソウジョク)=出産の時
白頭翁(ハクトウオウ)=オキナグサの根茎、抗菌・止瀉作用、有毒植物
秦皮(シンピ)=トネリコの樹皮、消炎・鎮痛・清熱作用、目の洗浄や下痢止め

百二十九頁 表
標注                                       類聚方
下重は、後重と同じにて、下部沈重なり。
○熱痢下重、渇して水を飲まんと欲し、心悸腹痛する者は、此の方の主治なり。
貉丘岑先生曰く、嘗て甲斐に在りし時、痢疾流行し、患いにらざる者無し。其の症大便す毎に、肛門灼熱火の如し。此の方を用い多く効有りと。余此の説を奉じて、類(しばしば)効を得る。
○眼目鬱熱、赤腫陣痛、風涙止まざる者を治す。又洗蒸剤と為すも、亦効有り。

痔疾、肛中惞熱疼痛、或いは便血の者、若し大便燥結する者は、大黄を加う。
七分五厘
右四味、水七升を以って、煮て二升を取り、滓を去り、一升を温服す。
水二合を以って煮て六勺を取る。愈えざれば更に一升を服す。
熱利下重の者、○下利し水を飲まんと欲する者は、「熱有るを以っての故なり、」
為則按ずるに、当に心悸の證有るべし。


白頭翁加甘草阿膠湯
白頭翁證にして、血證有り、急迫する者を治す。

百二十九頁 表 解説
標注                                            類聚方
貉丘岑(カクキュウミネ)=岑少翁、吉益東洞の高弟
嬰(カカ)る=罹る=かかる
陣痛(ジンツウ)=急にひどく痛む、お産のときの痛み
洗蒸剤(センジョウザイ)=洗ったり蒸したりする方法
惞熱(キンネツ)=あぶるように熱い

百二十九頁 裏
標注                                       類聚方
産後、下利腹痛、荏苒已えず、羸痩して食せず、心悸身熱、唇口乾燥、便血急迫す。或いは悪露猶止まざる者を治す。


脈経に、熱利下重新産虚極に作る。

白頭翁湯方内に於いて、甘草阿膠各ニ両を加う。
白頭翁 黄連 黄蘗 秦皮 
各六分 甘草 阿膠 各四分
右六味、水七升を以って、煮て二升半を取り、膠を内れ消し盡(つく)せしめ、分温三服す。
水一合七勺を以って、煮て六勺を取り、阿膠を内れ消せしめ服す。
「産後、」下利「虚極、」
為則按ずるに、産後と曰うと雖も、唯産後と言うに非らざるなり。当に血證を以って準と為すべし。又按ずるに当に急迫の證有るべし。

百二十九頁 裏 解説
標注                                            類聚方
虚極(キョキョク)=極めて虚す状態

黄ゴン
シソ科 コガネバナの根
効能:解熱・降圧作用・抗炎症作用・抗アレルギー作用

コガネバナ

苦参(クジン) 
日本・中国・シベリア・朝鮮半島に自生するマメ科植物クララの根
効能:中枢神経抑制・末梢血管縮小・子宮収縮・利尿・抗真菌・皮膚疾患(湿疹、掻痒・化膿)・駆虫各作用
配合される処方=三物黄ゴン湯 消風湯 当帰粘痛湯


白頭翁(ハクトウオウ)
キンポウゲ科 オキナグサの根茎
効能:抗菌・止瀉作用、多量摂取は有毒


オキナグサ


オキナグサ開花後、種子が出来た状態

秦皮(シンピ)
モクセイ科 トネリコの樹皮
効能:消炎 鎮痛 止瀉(下痢を止める)

トネリコの花


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