類聚方広義・第二木曜会  2014・2・13


大建中湯 黄連阿膠湯 黄ゴン湯 黄ゴン加半夏生姜湯 六物黄ゴン 


百二十五頁 裏
標注                                       類聚方
足厥冷、煩躁し死せんと欲す者、四逆湯症と、相似るも同じからず。四逆湯は、下利厥冷を主どり、此の方は嘔吐煩躁を主どる。是れ其の別なり。又脚気冲心煩憒嘔逆、悶乱する者を治す。

小建中湯は、裏急、拘攣急痛を治し、此の方は、寒飲升降し、心腹激痛して嘔するを治す。故に疝瘕、腹中痛む者を治す。又ユウ虫を挟む者を治す。

消息服度は、宜しく導守すべし。
厥冷し、煩躁して死せんと欲す者は、○嘔して胸満の者は、○乾嘔し吐すに涎沫、頭痛の者は、

大建中湯
胸腹大痛し、嘔して飲食能わざる者 、腹皮起き、頭足有るが如き者を治す。
蜀椒 二合 五分三厘 乾姜 四両 一銭四分 人参 ニ両 七分
右三味、水四升を以って、煮て二升を取り、滓を去り、膠飴一升を内れ、微火にて煎じ一升半を取る。分温再服す。
水一合六勺を以って、

百二十五頁 裏 解説
標注                                            類聚方
脚気冲心(カッケチュウシン)=心を突き上げる、胸部が圧迫されたような病症、動悸、嘔吐、喘鳴、悶乱など
煩憒(ハンカイ)=イライラとして乱れること
悶乱(モンラン)=もだえ、乱れること
疝瘕(センカ)=ガンのような塊ではなくガスなどによる移動性の腹塊

百二十六頁 表
標注                                       類聚方
千金に、心胸中、大寒大痛し、嘔して飲食する能わず、飲食咽を下れば、自ずから知るに偏りて一面従り下流して、声有るに決決然と、若し腹中寒気、上衝せば、皮起き出ずに見ゆ(現る?)、頭足上下有りて痛み、其の頭觸近すべからずに作る。


肘后方、時気起労復篇に、大病差えた後、虚煩し眠るを得られず、眼中疼痛し、懊ノウ、黄連四両、芍薬ニ両、黄ゴン一両、阿膠三小、分かち三服す。亦鶏子黄二枚を内れるべしに作る。梔子湯症に類するも、症情同じからず。
煮て八勺を取り、滓を去り膠飴十六銭を内れ、煮て六勺を取る。一炊頃の如く、粥二升を飲み、後更に服すべし。当に一日糜を食し之を温覆すべし。
心胸中大いに「寒」痛し、嘔して飲食する能わず、腹中寒、上衝し、皮起出すに見え、頭足上下有り、痛みて觸近すべからず、

黄連阿膠湯
心中悸して煩し、眠を得られざる者を治す。
黄連 四両 
一銭二分 黄ゴン 一両 三分 芍薬 ニ両 六分 鶏子黄 二枚 一枚三分之を一 阿膠 三両 九分
右五味、水五升を以って、先に三物を煮て、二升を取り、滓を去り、

百二十六頁 表 解説
標注                                            類聚方
決決然(ケツケツゼン)=水の流れるさま、流水音の形容
觸近(ショクキン)=近くを触ること
挺(テイ)=真っすぐな棒、三千本膠
鶏子黄(ケイシオウ)=鶏の卵の黄身

百二十六頁 裏
標注                                       類聚方
久痢、腹中熱痛、心中煩して眠るを得られず、或いは便膿血す者を治す。○痘瘡内陥し、熱気熾盛にして、咽燥口渇、心悸煩躁し清血す者を治す。○諸失血症にて、胸悸身熱、腹痛微利、舌乾唇燥、煩悶して寐る能わず、身体困憊し、面に血色無し、或いは面熱し潮紅する者を治す。

痢疾、発熱腹痛、心下痞、裏急後重、膿血を便する者を治すに、大黄を加う。若し嘔する者は、加半夏生姜湯中に、大黄を加う。
膠を内れ烊かし尽くし、小冷せしめ、鶏子黄を内れ、攪し相得せしめ、七合を温服す。水一合五勺を以って、三味を煮て六勺を取る。滓を去り、阿膠を内れ、烊消し、小冷して鶏子黄を内れ、攪し相得せしめ服す。日に三服す。
「少陰病、之を得て二三日以上、」心中煩して臥するを得られず、

ゴン
下痢腹拘急し、心下痞する者を治す。
ゴン 三両 大棗 十二枚 
各九分 甘草 芍薬 各ニ両 六分
右四味、水一升を以って、煮て三升を取り、滓を去り、一升を温服

百二十六頁 裏 解説
標注                                            類聚方
熾盛(シセイ)=勢いがさかんなこと
清血(セイケツ)=新鮮な赤い血が便に混じること

百二十七頁 表
標注                                       類聚方
す。日に再び夜に一服す。水二合を以って、煮て六勺を取る。「若し嘔する者は、半夏半升、生姜三両を加う。」
「太陽と少陽の合病、」自ずから下痢する者に、黄ゴン湯を与う。若し嘔する者は、黄ゴン加半夏生姜湯之を主どる。
為則按ずるに、当に心下痞、腹拘急の證有るべし。

ゴン加半夏生姜湯
ゴン湯證にして、嘔逆する者を治す。
ゴン湯方内似於いて、半夏半升、生姜三両を加う。

百二十七頁 表 解説
標注                                            類聚方

百二十七頁 裏
標注                                       類聚方
此の症の一転して進み、心下痞硬を作す者は、大柴胡湯を与うべし。

久痢、疝痢、乾嘔止まざる者に、間々此の方に宜しき者有り。玉函に、黄ゴン人参湯と名づけ、桂枝ニ両に作る。
ゴン 大棗 生姜 各四分五厘 甘草 芍薬 各三分 半夏 九分
右六味、煮て黄ゴン湯の如くす。
「太陽と少陽の合病、」自ずから下利の者、黄ゴン湯を与う。若し嘔する者は、○乾嘔して利する者、

六物黄ゴン
心下痞硬し、乾嘔下利、上衝する者を治す。
ゴン 人参 乾姜 各三両 大棗 十二枚 
各四分五厘

百二十七頁 裏 解説
標注                                            類聚方
疝痢(センリ)=下腹部が痛み下利をする、心臓部の痛みを伴ったり下腹部が突出して痛む

百二十八頁 表
標注                                       類聚方







千金に、黄ゴンニ両に作る。今之に従う。
骨蒸労熱、久咳男女の諸血症、支體煩熱甚だしく、口舌乾涸、心気鬱塞する者を治す。
桂枝 一両 一分五厘 半夏 半升 九分
右六味、水七升を以って、煮て三升を取り、分温三服す。
水一合四勺を以って、煮て六勺を取る。

乾嘔下利、
為則按ずるに、当に心下痞硬の證有るべし。

三物黄ゴン
心胸苦煩の者を治す。
ゴン 一両 
七分 苦参 ニ両 七分 乾地黄 四両 一銭四分

百二十八頁 表 解説
標注                                            類聚方

山椒(蜀椒=蜀の山椒)
ミカン科 サンショウの果皮 中国では同属植物のカホクサンショウを花椒と稱し使用
成分:リモネン・シトロネラール(精油)・サンショール・キサントキシンなど
効能:止痛作用、局所麻酔作用の他に健胃、整腸、利尿作用がある。


芍薬(大和芍薬)
ボタン科 シャクヤクの根
効能:鎮痛作用・補血作用


阿膠(山東阿膠)
ロバの皮より作る粗製ゼラチン
日本薬局方ではウシの皮や骨から作るゼラチン=三千本を当てる)
効能:止血作用・補血作用・抗疲労作用・鎮咳作用など


黄ゴン
シソ科 コガネバナの根
効能:抗炎症作用・清熱作用


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