類聚方広義・第二木曜会 2014・2・13
大建中湯 黄連阿膠湯 黄ゴン湯 黄ゴン加半夏生姜湯 六物黄ゴン湯
足厥冷、煩躁し死せんと欲す者、四逆湯症と、相似るも同じからず。四逆湯は、下利厥冷を主どり、此の方は嘔吐煩躁を主どる。是れ其の別なり。又脚気冲心、煩憒嘔逆、悶乱する者を治す。 小建中湯は、裏急、拘攣急痛を治し、此の方は、寒飲升降し、心腹激痛して嘔するを治す。故に疝瘕、腹中痛む者を治す。又ユウ虫を挟む者を治す。 消息服度は、宜しく導守すべし。 |
厥冷し、煩躁して死せんと欲す者は、○嘔して胸満の者は、○乾嘔し吐すに涎沫、頭痛の者は、 大建中湯 胸腹大痛し、嘔して飲食能わざる者 、腹皮起き、頭足有るが如き者を治す。 蜀椒 二合 五分三厘 乾姜 四両 一銭四分 人参 ニ両 七分 右三味、水四升を以って、煮て二升を取り、滓を去り、膠飴一升を内れ、微火にて煎じ一升半を取る。分温再服す。水一合六勺を以って、 |
脚気冲心(カッケチュウシン)=心を突き上げる、胸部が圧迫されたような病症、動悸、嘔吐、喘鳴、悶乱など 煩憒(ハンカイ)=イライラとして乱れること 悶乱(モンラン)=もだえ、乱れること 疝瘕(センカ)=ガンのような塊ではなくガスなどによる移動性の腹塊 |
千金に、心胸中、大寒大痛し、嘔して飲食する能わず、飲食咽を下れば、自ずから知るに偏りて一面従り下流して、声有るに決決然と、若し腹中寒気、上衝せば、皮起き出ずに見ゆ(現る?)、頭足上下有りて痛み、其の頭觸近すべからずに作る。 肘后方、時気起労復篇に、大病差えた後、虚煩し眠るを得られず、眼中疼痛し、懊ノウ、黄連四両、芍薬ニ両、黄ゴン一両、阿膠三小挺、分かち三服す。亦鶏子黄二枚を内れるべしに作る。梔子シ湯症に類するも、症情同じからず。 |
煮て八勺を取り、滓を去り膠飴十六銭を内れ、煮て六勺を取る。一炊頃の如く、粥二升を飲み、後更に服すべし。当に一日糜を食し之を温覆すべし。 心胸中大いに「寒」痛し、嘔して飲食する能わず、腹中寒、上衝し、皮起出すに見え、頭足上下有り、痛みて觸近すべからず、 黄連阿膠湯 心中悸して煩し、眠を得られざる者を治す。 黄連 四両 一銭二分 黄ゴン 一両 三分 芍薬 ニ両 六分 鶏子黄 二枚 一枚三分之を一 阿膠 三両 九分 右五味、水五升を以って、先に三物を煮て、二升を取り、滓を去り、 |
決決然(ケツケツゼン)=水の流れるさま、流水音の形容 觸近(ショクキン)=近くを触ること 挺(テイ)=真っすぐな棒、三千本膠 鶏子黄(ケイシオウ)=鶏の卵の黄身 |
久痢、腹中熱痛、心中煩して眠るを得られず、或いは便膿血す者を治す。○痘瘡内陥し、熱気熾盛にして、咽燥口渇、心悸煩躁し清血す者を治す。○諸失血症にて、胸悸身熱、腹痛微利、舌乾唇燥、煩悶して寐る能わず、身体困憊し、面に血色無し、或いは面熱し潮紅する者を治す。 痢疾、発熱腹痛、心下痞、裏急後重、膿血を便する者を治すに、大黄を加う。若し嘔する者は、加半夏生姜湯中に、大黄を加う。 |
膠を内れ烊かし尽くし、小冷せしめ、鶏子黄を内れ、攪し相得せしめ、七合を温服す。水一合五勺を以って、三味を煮て六勺を取る。滓を去り、阿膠を内れ、烊消し、小冷して鶏子黄を内れ、攪し相得せしめ服す。日に三服す。 「少陰病、之を得て二三日以上、」心中煩して臥するを得られず、 黄ゴン湯 下痢腹拘急し、心下痞する者を治す。 黄ゴン 三両 大棗 十二枚 各九分 甘草 芍薬 各ニ両 六分 右四味、水一升を以って、煮て三升を取り、滓を去り、一升を温服 |
熾盛(シセイ)=勢いがさかんなこと 清血(セイケツ)=新鮮な赤い血が便に混じること |
す。日に再び夜に一服す。水二合を以って、煮て六勺を取る。「若し嘔する者は、半夏半升、生姜三両を加う。」 「太陽と少陽の合病、」自ずから下痢する者に、黄ゴン湯を与う。若し嘔する者は、黄ゴン加半夏生姜湯之を主どる。 為則按ずるに、当に心下痞、腹拘急の證有るべし。 黄ゴン加半夏生姜湯 黄ゴン湯證にして、嘔逆する者を治す。 黄ゴン湯方内似於いて、半夏半升、生姜三両を加う。 |
此の症の一転して進み、心下痞硬を作す者は、大柴胡湯を与うべし。 久痢、疝痢、乾嘔止まざる者に、間々此の方に宜しき者有り。玉函に、黄ゴン人参湯と名づけ、桂枝ニ両に作る。 |
黄ゴン 大棗 生姜 各四分五厘 甘草 芍薬 各三分 半夏 九分 右六味、煮て黄ゴン湯の如くす。 「太陽と少陽の合病、」自ずから下利の者、黄ゴン湯を与う。若し嘔する者は、○乾嘔して利する者、 六物黄ゴン湯 心下痞硬し、乾嘔下利、上衝する者を治す。 黄ゴン 人参 乾姜 各三両 大棗 十二枚 各四分五厘 |
疝痢(センリ)=下腹部が痛み下利をする、心臓部の痛みを伴ったり下腹部が突出して痛む |
千金に、黄ゴンニ両に作る。今之に従う。 骨蒸労熱、久咳男女の諸血症、支體煩熱甚だしく、口舌乾涸、心気鬱塞する者を治す。 |
桂枝 一両 一分五厘 半夏 半升 九分 右六味、水七升を以って、煮て三升を取り、分温三服す。水一合四勺を以って、煮て六勺を取る。 乾嘔下利、 為則按ずるに、当に心下痞硬の證有るべし。 三物黄ゴン湯 心胸苦煩の者を治す。 黄ゴン 一両 七分 苦参 ニ両 七分 乾地黄 四両 一銭四分 |