類聚方広義・第二木曜会  2014・11・13

蜜煎導 大猪膽汁 麻子仁丸

百三十九頁 裏
標注                                       類聚方
以って此の方及び兎餘糧湯等を用うれば、猶門に鑰して盗を養うがごとし。其の変寧んぞ測るべけんや。学者之を思え。

傷寒、熱気熾盛、汗出多く、小便自利、津液枯竭、肛中乾燥し、鞕便にて通ずを得られざる者、及び諸病にて大便不通、嘔吐し薬汁入らざる者、老人にて血液枯燥し、大便秘閉、小腹満痛の者、共に此の方に宜し。蜜一合、之を温め、喞筒以って肛中に射入するを、捷径と為す。
雖鞕の上に、玉函には、大便の二字有り。是なり。
外臺秘要、土瓜根方に、

蜜煎導
肛中乾燥し、大便通ぜざる者を治す。
七合
右一味、銅器中に内れ、微火にて之を煎り、稍凝りて飴状に似れば、之を擾し焦著せしむる勿るべし。丸めるべきを俟ち、手を併せ捻りを作り、頭を鋭くせしめ、大きさ指の如く、長さ二寸ばかり。熱時に当たり急ぎて作るべし。冷めば則ち鞕し。以って穀道中に内れ、手を以って急いで抱く、大便せんと欲す時に及ち之を去る。
「陽明病、自汗出で若し発汗し小便自利する者は、此れ津液内すと為す。鞕きと雖も之を攻むべからず。」当に自ずから大便せんと欲すを須ちて、

百三十九頁 裏 解説
標注                                            類聚方
鑰(カギ)し
寧(イズク)んぞ=なんぞ~


鞕便(ゴウベン)=かたい便
喞筒(ソクトウ)=水を吹きかけるポンプ
捷径(ショウケイ)=近道・手近な方法
煎(イ)り=加熱して
凝(コ)り=凝固さして
擾(ジョウ)し=ならし・なつかせて
焦著(ショウチョ)=焦げ付かせる
俟(マ)ち=時をはかって
捻(ヒネ)り=ひねる
鞕(カタ)し=固まる
抱(イダ)く=かかえる
竭(ケツ)=つきる

百四十頁 
標注                                       類聚方
生土瓜根を取り、きて汁を取り、水を以って之を解き、筒中に於きて吹き下部に入れば、即ち通ずと。 宜しく蜜煎導にて之を通ずべし。若し土瓜根、及び大猪膽汁、皆導と為すべし。

大猪膽汁
大猪膽 一枚
汁を瀉し、醋と少し許り和し、以って穀道中に灌ぎて、一食頃如り、当に大便出ずべし。
主治は蜜煎導下に見ゆ。

麻子仁丸
平日大便秘する者を治す。


百四十頁 表 解説

擣(ツ)く=つき砕く 一食頃(イッショクケイ)=約三十分
如(バカ)り=時間を現す

百四十頁 裏
標注                                       類聚方
謹んで按ずるに、此の章は、仲景氏の辭気に非ず。方意も亦た明らかならず。疑うらくは仲景の方に非ず。外臺、古今録験を引いて、而して傷寒論を引かずと。亦た以って証すべけん。然れども賦質脆薄の人、或いは久病にて羸痩、及び老人にて血液枯燥する者、此の方を以って、緩緩に転泄するも亦た佳し。 麻子仁 二升 四十銭 芍薬 枳実 各半斤 厚朴 一尺 各十六銭 大黄 一斤 三十二銭 杏仁 一升 二十四銭 
右六味、末と為し、煉蜜にて丸と為すに、桐子大とす。十丸を飲服す。
日に三服す。漸加するは知るを以って度と為せ。
白湯を以って一銭を服す。
趺陽の脈浮にして、浮は則ち胃気強く、濇は則ち小便数、浮と濇相博ち、」大便則ち難き、「其の脈は約と為す。」

已椒藶黄丸
腹満、口舌乾燥、二便澀滞する者を治す。


百四十頁 裏 解説
標注                                            類聚方
辭気(ジキ)=ことば
賦質脆薄(フシツゼイハク)=生まれもって体の弱い人
漸加(ゼンカ)=次第に量を増す・加える
濇(ショク)=しぶる・ひっかかる

挺 (船型に作ったもの)


土瓜根 (ウリ科 カラスウリの根)
効能:清熱止瀉作用、打撲・扁桃腺炎・月経困難症などに応用


麻子仁 (アサ科 アサ 大麻)
効能:潤腸通便・虚弱体質者の常習便秘


桐子 (キリ科 桐の実)
桐子大という大きさは約5センチと大きすぎるので梧桐子(アオギリの実)大の誤記ではないかと思われるが梧桐子十丸を服用とあるのは少なすぎる?


趺陽の脈


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