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類聚方広義・第二木曜会  2013・10・10


瓜蔕散 小半夏湯 小半夏加茯苓湯 大半夏湯
百十五頁 裏
標注                                       類聚方
主療は正に同じ。今之を括ロウ薤白半夏湯症にして、心胸心胸痞満の者に試すに、甚だ良し。
蛔痛に、間ま二方の症に擬似する者有り。然れども二方は必ず痰涎短息の症有り。且つ痛み必ず背に徹す。蛔痛は必ず清水或いは白沫を吐し、或いは悪心し、或いは痛み転移するに有り。此れを異なりと為す。
○徹は、説文に、通ずと。



卒中風狂癇暴厥真頭痛風眼雷頭風痰癖肩背臂膊疼痛霍乱胃翻など、病毒胸膈に在る者、之を用いて
八分 白酒 一斗 三合
右四味、同じく煮て四升を取り、一升を温服す。煮て六勺を取る。日に三服す。
「胸痺、臥を得られず、心痛して背に徹する者、」
為則按ずるに、当に嘔し或いは胸腹鳴證有るべし。


瓜蔕散
チチと吐せんと欲す者を治す。
右二味、各別にツき篩い散と為し已り、之を合治し、一銭

百十五頁 裏 解説
標注                                            類聚方
卒中風(ソッチュウフウ)=突然意識が無くなり倒れる
狂癇(キョウカン)=驚癇・驚風と類似、小児に多く急に意識が無くなる
暴厥(ボウケツ)=突然意識が無くなり手足が冷える
真頭痛(シンズツウ)=激しい頭痛
風眼(フウガン)=はやりめ、流行性の眼病
雷頭風(ライズフウ)=耳鳴りを伴う頭痛、周期的に痛む頭痛
痰癖(タンヘキ)=淡飲、溜飲ともいう、胸が痞える、胃カタル慢性胃炎など
臂膊(ヒハク)=臂はかいなで上腕、膊は下腕
胃翻=胃反(イホン)に同じ。食べたものを吐く病

百十六頁 表
標注                                       類聚方
皆効有り。但精気虚乏の者、腹力脱弱の者は、之を与うべからず。


寸脈微浮は、病源に、其の脈微に作る。
○病人云云、脈乍緊は、辨可吐篇、儒門事親、併せ乍結に作る。按ずるに、此の條は病人自り邪結胸中に在りに至るを、一段と為し、心中満自り病胸中に在りに至るを一段として、当に二載に作りて看るべし。二症は、皆此の方を以って之を吐すべし。膈間、心中、臍上、之を三カンと謂う。宿食の上カンに在りと謂うは、
ヒを取り、一合を以て、熱湯七合を用い、煮て稀糜を作り、滓を去り、汁を取り散に和し、温めて之を頓服す。熱湯七勺を以って、煮香粥を煮て、滓を去り、散五分を服す。吐さざる者は少少加う。快く吐を得れば及ち止む。「諸亡血虚家は、瓜蔕散を与うべからず。」
病桂枝湯の如く、頭痛まず、項強ばらず、「寸脈微浮、」胸中痞硬、気咽喉に上衝し、息を得られざる者、「此れ胸に寒有ると為すなり。」当に之を吐すべし。○病人手足厥冷、脈乍緊の者、邪結して胸中に在り、心中満して煩し、餓して食する能わざる者、病

百十六頁 表 解説
標注                                            類聚方
南呂丸(ナンロガン)=滾痰丸(コンタンガン)=甘遂・大黄・黄ゴン・青蒙石
姑洗丸(コセンガン)=控涎丹(コウエンタン)=甘遂・大戟・白芥子
徹(テツ)=とおる、とおす

百十六頁 裏
標注                                       類聚方
病人の覚ゆる所を以って、之を言うのみ。


諸病、
嘔吐甚し、或は病人湯薬を悪みて、嘔吐悪心し、対症方を服すること能わざる者は、皆宜しく此の方を兼用すべし。
○此の方は、嘔吐の主薬なり。若し嘔吐して渇し、飲めば復嘔吐し、嘔渇倶に甚だしき者は、此の方の主治に非ず。小半夏加茯苓湯、五苓散、茯苓沢瀉湯を撰用すべし。
○嘔家、本渇云云、此の條千金に、嘔家渇せず、渇す者は解さんと欲すと為す。本渇し、今反って渇せざるは、心下に支飲有るなり。小半夏加茯苓湯之を主どると。是なり。
○黄疸より必ずエツに至る、
胸中に在りて、当に須らく之を吐すべし。○宿食上カンに在り。当に之を吐すべし。
為則按ずるに、当に吐せんと欲するの證有るべし。


小半夏湯
吐して渇せざる者を治す。
半夏 一升 
二銭四分 生姜 半斤 一銭六分
右二味、水七升を以って、煮て一升半を取り、分温再服す。
水二合八勺を以って、煮て六勺を取る。
嘔家は本渇す、渇する者は解さんと欲すと為す。今反って渇せずは、心下「支飲」有るが故なり。
○「黄疸病、」小便色変ぜず、自利せんと欲し、

百十六頁 裏 解説
標注                                            類聚方
対症方(タイショウホウ)=本来服用しなければいけない処方

百十七頁 表
標注                                       類聚方
六句二十三字、是れ論なり。特りエツ者の二字、小半夏湯症に係る。小便以下三句を、矩域せざるは、筆受者の誤りなり。
○此の方能くエツを治す。然れども傷寒大熱し、譫語煩躁し、腹満便閉して諸症未だ退かざる者は、当に其の主症を治すべし。主症治せば、エツ自ずから止む。若しエツ甚だしき者に、兼用するも亦好し。説は小承気湯標に詳し。

外臺に、茯苓四両に作る。今之に従う。

腹満して喘し、「熱除くべからず。熱除けば必ずエツす、」エツなる者、
○諸嘔吐、穀下るを得られざる者、


小半夏加茯苓湯
小半夏湯證にして、眩悸する者を治す。
小半夏湯方内に於いて、茯苓三両を加う。
半夏 
一銭八分 生姜 一銭二分 茯苓 六分
右三味、煮て小半夏湯の如くす。
卒かに嘔吐し、心下痞、「膈間に水有り、」眩悸する者、○先ず渇し

百十七頁 表 解説
標注                                            類聚方
眩悸(ゲンキ)=めまいと動悸

百十七頁 裏
標注                                       類聚方




千金方に胃反にて食を受けず、食入れば即吐す者を治すに作る。
後に嘔す、「水心下に停すと為す、此れ飲家に属す、」


大半夏湯
嘔吐して心下痞硬する者を治す。
半夏 二升 
二銭四分 人参 三両 三分 白蜜 一升 二銭五分
右三味、水一斗二升を以って、蜜に和し、之を揚げるに二百四十遍、煮て二升半を取り、一升を温服し、餘分再服す。
水二合八勺を以って、蜜に和し、煮て六勺を取る。
胃反」嘔吐する者、

百十七頁 裏 解説
標注                                            類聚方
胃反(イホン)=食べたものを吐く

百十八頁 表
標注                                       類聚方
為則按ずるに、外臺に云うに、嘔し心下痞硬する者を治すと、今之に従う。


生姜半夏湯


百十八頁 表 解説
標注                                            類聚方

瓜帯
ウリ科 マクワウリの未熟果 蒂の部分を乾燥させたもの
効能:吐剤として用う
(中神琴渓は生生堂医譚の中で越前産のものがいいと記述)


半夏
サトイモ科 カラスビシャクの球茎
効能:嘔吐を止める、去痰作用


カラスビシャクの球茎部(薬用部)


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