類聚方広義・第二木曜会 2012・4・12
抵當丸・土瓜根散
打撲折傷、オ血凝滞、心腹脹痛、二便不通の者、経閉、少腹硬満、或は眼目赤腫、疼痛、瞻視能わざる者、経水閉渋、腹底にチョウ有り、腹皮に青筋の見ゆる者、併せ此の方に宜し。若し煮服能わざる者は、丸と為し、温酒を以って送下するも、亦佳し。 金匱小註に曰く、『亦男子の膀胱満急にして、オ血有る者を治す』と。 余家にて此の方を用うるに、右四味を取り、末と為し煉蜜に和し、八丸と為し、温酒を以って、咀嚼して下す。日に二丸を服し、四日にて服し尽くす。酒服す能わざる |
血有り。故に喜忘せしむ。」屎硬きと雖も、大便反って易く、其の色必ず黒し、 ○病人、「表裏の證無く、」発熱七八日、脈浮数の者と雖も、之を下すべし。仮令巳に下し、脈数にして解せず、合熱するは則ち消穀善キす。六七日に至り大便無き者は、オ血有り。 ○婦人、経水利下せず、抵當湯之を主どる。 抵當丸 水蛭 二十個 桃仁 二十個 大黄 三両 六銭 |
瞻視(センシ)=ものを見る 余家(ヨカ)=尾台家 |
者は、白湯にて送下す。 産後、悪露尽きず、凝結し塊を為し、宿患と為す者有り。平素薬を用うに、其の功収め難し。当に須らく再妊し分娩の後に、此の方を用うべし。十日を過ぎずして、其の塊尽く消ゆ。 土瓜根散は、抵當湯と、同じくオ血を治し、而して其の別有り。抵當湯症は、オ血凝結して動かざる者なり。此の方症は、未だ凝結せざる者なり。故に帯下、及び経水不利、或は再見、陰タイ腫、白沃等を治す。以って其の異なるを見るべし。 ○神農本経に曰く、『土瓜根はオ |
右四味、杵き分ち四丸と為す。水一升を以って、一丸を煮て、七合を取り之を服す。水九勺を以って六勺を取る。サイ時当に血を下すべし。若し下らざる者は、更に服せ。 「傷寒、」熱あり。少腹満す。応に小便利せざるべし。今反って利すは、血有ると為すなり。当に之を下す。 土瓜根散 少腹拘急し、経水不利、或は白物を下す者を治す。 土瓜根 芍薬 桂枝 シャ虫 各三分 一銭五分、 |
悪露(オロ)=産後のおりもの 白沃(ハクヨク)=白い液体状のおりもの |
サイ時=いつも、一日中、一年中 |
血月閉を主治す』と。名医別録に曰く、『婦人帯下』と、大明の曰く、『膿を排し、撲損オ血を消す』と、 按ずるに、本草綱目の、土瓜根附方、『一月』の上に、『或』の字有り。是なり。 タイとタイは同じ。陰嚢の腫大なり。 劉熙釋名に曰く、『陰腫れるをタイと曰う。気の下タイなり』と、然らば則ちタイは亦タイに通ず。按ずるに、本草綱目のリョウ鯉の條に、摘玄方を引き曰く、『婦人陰タイ、硬きこと卵状の如く、云云』と、余嘗て一婦人を療する。自ずから言うに「牝戸の、左邊突起し、凝ホウの者、十餘年、年年痛みを発し、衆治せるも効無し」と。之を診るに、形鶩卵の如し。即ちタイ疝なり。発すれば則ち大きさ常に倍し、堅コウにて疼痛、寒熱交作し、痛み少腹従り膀胱に達す。甚だしければ則ち心胸に及び、苦楚忍ぶべからず。年年二三発す。発する毎に桃核承気湯、大黄附子湯、芍薬甘草湯の合方を用うれば、則ち痛み退き腫れ消ゆる。又一婦人有り。年十七、牝戸右邊、隆起して形睾丸の如し。亦陰タイなり。大黄牡丹皮湯を与えて癒ゆ。タイ疝は男女倶に有り。以って見るべしや。此の方能く小児の陰核赤腫、陰頭腫脹を治す。煉蜜膏と為し、或は丸と為し用う。 凡そ紫円、備急円、梅肉丸、白散等を用い、未だ快吐下を得ず、悪心腹痛し、苦楚悶乱する者は、甘草湯を用うれば、則ち吐瀉倶に快く、腹痛頓に安んず。 ○孫子バクの曰く、『凡そ湯を服し、嘔 |
右四味、杵きて散と為す。酒にて方寸ヒを服す。酒にて一銭を服す。日に三服す。 「帯下、」経水利せず、少腹満痛し、経一月に再見の者、 ○陰タイ腫、 甘草湯 病逼迫、及び咽喉急痛する者を治す。 |
撲損(ボクソン)=うちみ、打撲 劉熙(リュウキ)=後漢末の学者、著書に釋名(シャクミョウ)の字書がある 摘玄方(テキゲンポウ)=本草綱目中に多々引用 牝戸(ヒンコ)=女性器 鶩卵(ボクラン)=アヒルの卵 リョウ鯉(リョウリ)=センザンコウ(穿山甲) |
再見=二度ある |