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類聚方広義・第二木曜会  2010・3・11


麻黄杏仁よく苡甘草湯

 四十四頁後半
標註                                       類聚方


妊婦、浮腫して喘咳息迫し、或いは身体麻痺、或いは疼痛する者を治す。
○肺廱、初起に悪寒息迫し、喘咳止まず、面目浮腫し、濁唾臭痰、胸痛する者を治す。其の精気未だ脱せざるにおよぶは、白散を交用し、邪穢(わい)を蕩洗(とうせん)すれば、則ち平に復すべし。
風湿、痛風、発熱劇痛し、関節腫起の者は、朮附を加えば、奇効有り。
麻黄杏仁よく苡甘草湯
麻黄杏仁甘草石膏湯證にして、而して煩渇せず、水気有る者を治す。
麻黄 半両 
八分 甘草 一両 四分 よく苡 半両 一銭六分 杏仁 十個 四分
右麻豆大にし、毎服四銭ヒ、水一盞(さん)半、煮て八分とし、滓を去り、温服す。
水一合五勺を以って、煮て六勺を取る。微しく風を避け汗あり。病者は、一身盡き疼み、発熱して日所劇敷き者は、「風湿と名づけ、此の病に於いては汗出でて風に当り、或いは久しく冷を取りて傷らるるの、致す所なり。」
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四十四頁後半解説
邪穢=汚いけがれたもの
蕩洗=洗い流す
所=夕暮れ時

四十五頁前半

標註                                       類聚方



外臺に云うに、若し蜀漆無ければ、常山を以って之に代うと、今之を試みるに、其の効は蜀漆に如かず。
為則按ずるに、当に喘満の證有るべし。外臺、古今録験によく苡半斤、麻黄四両、甘草杏仁各二両、右四味、水五升を以って、煮て二升を取り、分かち温めて再服す、汗出で即ち癒ゆるに作るに今之に従う。

牡蠣湯
甘草麻黄湯にして、而して胸腹の動有る者を治す。
牡蠣 麻黄 各四両 一銭 甘草 二両 五分 蜀漆 三両 七分五厘
右四味、水八升を以って、先ず蜀漆麻黄を煮て上沫を去り、

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四十五頁前半解説
標註                                            類聚方
蜀漆=ジョウザンアジサイ
常山=クサギか?

四十五頁後半

標註                                       類聚方



牡は、牝の誤りか。外臺に牝瘧に作る。牝瘧は、瘧にて寒多き者を謂う。
この方亦其の発時に先んじて、之を用い、以って大いに汗を取るべし。即ち癒ゆ。唯蜀漆の気臭く、間ま吐する者有り。吐するも亦効有り。


按ずるに、二升半は、千金に一升半に作る。五升は疑うらくは三升の誤りならん。
六升を得て、諸薬を内れ、煮て二升を取り、一升を温服す。
水三合四勺を以って、煮て六勺を取る。若し吐せば、則ち再服すること勿れ。
「牡瘧」
為則按ずるに、甘草麻黄湯證にして、而して胸腹の動有る者、之を主る。

麻黄醇酒湯
喘して発黄、或いは身微しく痛む者を治す。
麻黄 三両 
三銭
右一味、美清酒五升を以って、煮て二升半を取り、頓服し

四十五頁後半解説

標註                                            類聚方

醇酒=米で造った酒



四十六頁前半

標註                                       類聚方
尽くす。
酒一合二勺を以って、煮て六勺を取る。
「冬月は酒を用い、春月は水を用い之を煮る。」
「黄疸。」
為則按ずるに、当に喘の證有るべし。

半夏麻黄丸
心下悸し、喘して嘔する者を治す。
半夏 麻黄 各等分
右二味、之を末とし、煉蜜に和し、小豆大に丸め、三丸を飲服す。日に三たび。
心下悸する者、

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四十六頁前半解説
標註                                            類聚方

四十六頁後半

標註                                       類聚方




金匱、咳嗽篇に曰く、肺脹、咳して上気し、煩躁して喘し、脈浮の者、心下に水有り。小青龍湯加石膏之を主る。千金方の、症治同じ。而して更に脇下痛み欠盆に引くの六字有り。此の症は、宜しく南呂丸、十棗丸を兼用すべし。
為則按ずるに、当に喘或いは嘔の證有るべし。

小青龍湯
咳喘して、上衝、頭痛、発熱、悪風、乾嘔する者を治す。
麻黄 芍薬 乾姜 甘草 桂枝 細辛 各三両 三分 五味子 半升 五分
半夏 半升 六分
右八味、水一斗を以って、先ず麻黄を煮て、二升を減じ、上沫を去り、諸薬を内れ、煮て三升を取る。滓を去り、一升を温服す。
水二合を以って煮て六勺を取る。

「加減法、若し微利する者は、麻黄を去り、蕘花を」

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四十六頁後半解説
標註                                            類聚方

ヨクイニン(よく苡仁)

イネ科の1年草でハトムギの種子。

効能:抗腫瘍作用、利水利湿作用、排膿作用などがある。その他、浮腫や関節痛、虫垂炎、イボ取りなどに使われている。


左が脱穀したもの、右は殻が付いたもの

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