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類聚方広義・第二木曜会 2010・1・14
麻黄附子甘草湯、 麻黄附子細辛湯、麻黄杏仁甘草石膏湯
四十二頁後半
標註 類聚方↓ ↓
其の症同じからず。説は重校薬徴に在り。 為則按ずるに、水病にして腫脹し、或いは喘し、或いは自汗出で、或いは汗無き者、之を主る。
麻黄附子甘草湯
甘草麻黄湯證にして、而して悪寒し、或いは身微しく痛む者を治す。
麻黄 甘草 各二両 一銭二分 附子 一枚 六分
右三味、水七升を以って、先ず麻黄を煮る。一両弗し、上沫を去り、諸薬を内れ、煮て三升を取る。滓を去り、一升を温服す。水二合四勺を以って、煮て六勺を取る。日に三服す。
四十二頁後半解説
※大塚敬節先生は麻黄を煮て滓を去り再煎する方法は行うべきと言っていました。ご家族にはそのようにされたと聞きます。
四十三頁前半
標註 類聚方少陰病は、脈沈細にして、悪寒し捲臥(けんが)、小便清利等の症を謂うなり。 ○金匱に云うに、汽水の気の字は、当に是れ風の字なるべし。若し水無く虚脹する者は、風水と為すなり。風水は、其の汗を発せば、即ち已むと。按ずるに風水は、脈沈の者にて、此の方に宜しく之を汗しむべし。防己黄耆湯條を、参看すべし。又按ずるに、金匱の小註に「杏子湯は未だ見えず、恐らく是れ麻黄杏仁甘草石膏湯」と云うは、未だ穏やかならず。子柄は以って麻黄杏仁よく苡甘草湯と為すと。之に於いて事実に試すに、子柄の優れりと為す。 |
「少陰病、之を得て二三日、麻黄附子甘草湯にて微しく汗を発す。二三日裏證無きを以って、故に微しく汗を発するなり。」 ○「水之(の)病為る、其の脈沈小は、少陰に属す。浮の者は風と為す。水無く虚脹する者は、気水と為す。其の汗を発すれば即ち已む。脈沈の者は、麻黄附子甘草湯に宜し。浮の者は杏子湯に宜し」 為則按ずるに、当に悪寒の證有るべし。 麻黄附子細辛湯 麻黄附子甘草湯證、而して急迫せず、痰飲の変有る者を治す。 |
↓ ↓
四十三頁前半解説
標註 類聚方
捲臥(けんが)=背を曲げ、かがむようにして寝る 尾台榕堂先生は杏子湯のことを雉間子柄の唱える麻杏よく甘湯のほうがいいと述べています。珍しく子柄を誉めています。 |
※大塚敬節先生は「気水」とは読まず「気」と「水」を分けて読んでいます。 「水無く虚脹する者は気と為す。水は其の汗を発すれば則ち巳(い)ゆ。」 杏子湯は諸説ありますが金匱要略の條文下には小さな字で「恐らく是は麻杏甘石湯。」とあります。 |
四十三頁後半
喘咳止まず、面目浮腫し、咽乾口渇す。或いは胸痛する者を治す。兼ねるに |
麻黄 細辛 各二両 一銭二分 附子 一枚 六分 右三味、水一斗を以って先ず麻黄を煮る。二升を減じ、上沫を去り、諸薬を内れ、煮て三升を取る。滓を去り、一升を温服す。水二合を以って煮て六勺を取る。日に三服す。 「少陰病、始め之を得て、反って発熱し、」脈沈の者、 為則按ずるに、悪寒の證は無きにべからず。 麻黄杏仁甘草石膏湯 甘草麻黄湯證にして、咳し煩渇する者を治す。 |
四十三頁後半解説
標註 類聚方
※少陰病=少陰之為病、脈微細但欲寝也 |
四十四頁前半
標註 類聚方
南呂丸、姑洗丸を用う。 哮喘し、胸中火の如く、気逆し涎潮し、大息呻吟、声は鋸を挽(ひ)くが如く、鼻は清涕(せいてい)を流し心下ぼう塞し、巨里の動は奔馬の如き者に、此の方宜し。当に痰融(と)け声出でし後を須(ま)ちて、陥胸丸、紫円の類以って、之を疏導(そどう)すべし。 ○肺癰にて、発熱喘咳し、脈浮数にて、臭痰膿血し、渇して水を飲まんと欲す者は、宜しく桔梗を加うべし。時に白散を以って之を攻む。 |
麻黄 四両 八分 杏仁 五十個 甘草 二両 各四分 石膏 反斤 一銭六分 右四味、水七升を以って、先ず麻黄を煮る。二升を減じ、上沫を去り、諸薬を内れ、煮て二升を取る。滓を去り、一升を温服す。水一合四勺を以って、煮て六勺を取る。 「発汗後、更に桂枝湯を行うべからず。汗出れば喘す。大熱無き者、」金匱は、発汗後を、下後に作る。 為則按ずるに、当に煩渇の證有るべし。 |
四十四頁前半解説
標註 類聚方
南呂丸=滾痰丸(こんたんがん)=黄ゴン・甘遂・青ボウ石・大黄
姑洗丸=甘遂・大戟・白芥子(生姜汁で服用)
涎潮=よだれが湧いてくる
大息呻吟=大きく息をし声を長くしてうめく
清涕(せいてい)=透明な涙
ぼう=この字は辞書に無い!=硬く痞えたような意味
巨里=胸の部分
奔馬=暴れる馬
疏導(そどう)=詰まったものを流す
肺癰=肺壊疽で痰が臭い状態
白散=桔梗白散
石膏 (せっこう)
天然の硫酸涎鉱物・含水硫酸カルシウムなど。詳細は不明ですが古来、解熱や止渇の目的に使用され、浮腫み・痒み・うわごと・咽痛の除去に用いられてきました。