類聚方広義・第二木曜会  2009・4・9

●4月9日は二十七頁前半の茯苓戎塩湯から読みました。

茯苓戎塩湯・葵子茯苓散・苓姜朮甘湯・苓桂朮甘湯


二十七頁前半
標註                                       類聚方
不利、腹に他異無き者、此の方に半夏を加えば効く。

孫思バク曰く、弾丸は十梧桐子を以って、之に準ず。
此の方の煎法は明らかならず。故に東洞先生他の例を視て、以って之を裁定す。按ずるに、程本に、水五升を以って、煮て三升を取り、分温三服すに作る。金鑑も同じ。又按ずるに、戎塩一枚は、疑うに二枚の誤りなり。余は常に二枚を用う。故に今二枚に準じ分量に注す。

茯苓戎塩湯
心下悸し、小便不利する者を治す。
茯苓半斤 
二銭 朮二両 五分 
戎塩 弾丸大 一枚 六分
右三味、先ず茯苓朮を奨め、煎じを成し、塩を入れ再煎し、分温三服す。
水一合二勺を以って、煮て六勺を取る。滓を去り、塩を入れ、消せしめ服す。
小便不利、蒲灰散之を主る。滑石白魚散、茯苓戎塩湯併せ之を主る。
為則按ずるに、当に心下悸する證有るべし。又按ずるに、此の方の煎法


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二十七頁前半解説
標註                                            類聚方
梧桐子とはアオギリの実のこと。
戎塩とは天然岩塩のこと。

 二十七頁後半
標註                                       類聚方




婦人良方に、葵子五両茯苓三両に作る。今之に従う。
婦人に、妊娠する毎に水腫し堕胎する者有り。若し它(他)の逐水剤を用い難き者は、宜しく此の方を煎服するべし。喘咳の者は、甘草麻黄湯を合わすを、良しと為す。
審らかならず。他の例に依り、当に水六升を以って、煮て三升を取り、滓を去り、戎塩を内れて、一二沸し、分温三服すべし。

葵子茯苓散
小便不利、心下悸、腫満の者を治す。
葵子 一斤 
十銭 茯苓 三両 六銭
右二味、杵きて散と為し、服して方寸匕を飲む。日に三服す。小便利すれば則ち愈ゆ。
白湯を以って一銭を送下す。
「妊娠、」水気有りて、身重く、小便不利、洒浙悪寒し、起きれば則ち頭眩す、

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二十七頁後半解説
標註                                            類聚方
葵子とはフユアオイの実のこと。
白湯とは飲むに適温の湯のこと。
洒浙(さいせき)とはぞくぞくすることの形容。



二十八頁前半
標註                                       類聚方





以下八方、方名を略稱するは、但其の便ずるに従うのみ。
此の方に杏仁を加えて、腎著湯と名づく。妊婦浮腫し、小便不利、腰髀冷痛し、喘咳する者を治す。
老人平日小便失禁し、腰腿沈重、冷痛する者を治す。又男女の遺尿にて、十四五歳に至も、猶已まざる者は、最も難治と為す。斯の方に反鼻を加えば、能く功を奏す。宜しく症に随いて附子を加う。
為則按ずるに、当に心下悸の證有るべし。又按ずるに、葵子一斤は、本草綱目に、三両に作る。今之に従う。

苓姜朮甘湯
心下悸し、小便不利、腰中冷え、水中に座するが如く、或いは疼重、形水状の如き者を治す。
甘草 朮 各一両 五分 乾姜 茯苓 各四両 一銭
右四味、水五升を以って、煮て三升を取り、分温三服す。「腰中即ち温む、」水一合二勺を以って、煮て六勺を取る。
「腎著之病、」其の人身体重く、腰中冷えるに、水中に座すが如く、

二十八頁前半解説
標註                                            類聚方

反鼻とはマムシのこと。



二十八頁後半
標註                                       類聚方

按ずるに、反不喝の三字は、当に小便自利の下に在るべし。又按ずるに、此の症にて、小便不利して喝し、手掌足心煩熱する者、八味丸が効有り。



飲家にて、眼目に雲翳を生じ、昏暗疼痛、上衝頭眩、瞼腫れ涙多き者を治す。苡を加えば尤も奇効有り。当に心胸の動悸、胸脇支満、心下逆満等の症を以って目的と為すべし。応鐘散を兼用し時に紫円、十棗湯等を以って、之を攻める。雀
形水状の如し、反って喝せず、小便自利、飲食故の如し、「病下焦に属す、身労し汗出で、衣裏冷湿し、久々之を得る、」腰以下冷痛し、腰重きこと五千銭を帯びるが如し、
為則按ずるに、当に心下悸の證有るべし。

苓桂朮甘湯
心下悸し、上衝し、起きれば即ち頭眩、小便不利の者を治す。
茯苓 四両 一銭二分 桂枝 三両 九分 朮 甘草 各二両 六分
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二十八頁後半解説
標註                                            類聚方

五千銭は中国の古貨幣で五千枚のこと、約17、5キログラム(推定!)

二十九頁前半

目症にも、亦効有り。
痰飲は、当に淡飲に作るべし。
徐彬(ひん)の曰く、支は、トウ定去らず、痞状の如きなり。
短気云々、二方は同じく小便を利すると雖も、其の主治する所同じからず。此の方は心下の水飲を主る。故に此の症に施し効有り。八味丸は小腹不仁を主る。故に之に於いて心下停飲短気の症に用うるに、絶えて其の効無し。夫れ小腹不仁は、特(ひとり)水毒のみならず、血も亦循らざるなり。八味丸の効有る所以なり。能く事実を履(ふみおこな)いて、親しく之に於き病者に験(ため)し、自ずから之を知れ。
右四味、水六升を以って、煮て三升を取る。滓を去り、分温三服す。水一合二勺を以って、煮て六勺を取る。
「傷寒、若しくは吐し若しくは下した後、」心下逆満、気胸に上衝し、起きれば即ち頭眩、脈沈緊、汗を発せば則ち経を動じ、身振振揺と為す者、
○心下に痰飲有り、胸脇支満し、目眩す、
○夫れ短気し微飲有り、当に小便に従い之を去るべし、苓桂朮甘湯之を主る。「腎気丸」亦之を主る。


苓桂甘棗湯
心下悸し、而して攣急上衝する者を治す。

二十九頁前半解説

トウ定とは定まって動かないこと。

●フユアオイはアオイ科の多年草で約1,5メートルになる。種子を利尿・緩下・催乳薬として使ってきた。

フユアオイの花


●中国の古い貨幣、10枚の重さを量りますと約35グラムありました。
一枚約3,5グラム、5千枚の重さとしては約17,5キログラムです。
腰に18キロくらいの重さがかかりますと、かなり動きが制限されます。

大陸古銭(近代貨幣)10枚は3,5グラム有りました。

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