類聚方広義・第二木曜会  2009・12・10


麻黄加朮湯甘草麻黄湯

 四十一頁後半
標註                                       類聚方

青龍湯等に宜し。飲食或いは大便不利に因って発する者は、先ず陥胸丸、紫円等を以って、宿滞を疏蕩し、後に對症方を用いるを、佳と為す。



麻黄湯症にて、一身浮腫し、小便不利の者を治す。症に随い附子を加う。
○婦人稟性(ひんせい)薄弱にて、妊娠毎に、水腫し堕胎の者、其の人に越婢加朮附湯、木防己湯等を用うれば、則ち直(ただち)に堕胎する者有り。此の方に宜し。又葵子茯苓散を合するも、亦良し。
○山に行き瘴霧を冒(おか)し、或いは窟穴井中に入り、或いは麹室(きくしつ)混堂(こんどう)諸湿気熱気、鬱
餘證無き者は、麻黄湯を与う。若し尿せず、腹満してエツを加う者は、治せず。」○「陽明病、脈浮、」汗無くして喘す者は、発汗すれば則ち癒ゆ。


麻黄加朮湯
麻黄湯證にして、而して小便不利の者を治す。
麻黄湯方内に於いて、朮四両を加う。
麻黄 杏仁 
各七分五厘 桂枝 五分 甘草 二分五厘 朮 一銭
右五味、煮ること麻黄湯の如し。
「湿家。」身煩疼すは、麻黄加朮湯を与うべし。其の汗を発すを宜しと為す。火を以って之を攻むべからず。
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四十一頁後半解説
稟性=生まれつき
瘴霧=ガス
麹室=酒蔵
混堂=風呂
(注=金匱要略方の麻黄加朮湯條文下には各分量が示してありますがここでは記述してなく東洞先生の示す分量だけを書いています。)

四十二頁前半

標註                                       類聚方
閼(うつあつ)の所、而して暈倒(うんとう)気絶する者は、倶に大剤連服すべし。即ち蘇る。

按ずるに、裏水は疑うに皮水の誤りなり。外臺には皮水、一身面目悉く腫れるに作る。千金に云う、人有りて、気急を患う。積もり久しく癒えず。遂に水腫を成す。此の如き者衆(おお)し。諸皮中の浮水、面目身体を攻め腰従り以上腫れるは、皆此の湯を以って発汗すべし。
金匱水気病篇に云う。皮水其の脈浮にして、外症浮腫す。之を按ずるに指を没す。悪風せずして、其の腹鼓(つづみ)の如く、渇せずは、当に其の汗を発すべし。按ずるに此の症も亦甘草麻黄湯に宜し。
越婢加朮湯と、甘草麻黄湯とは、



甘草麻黄湯
喘急息迫、或いは自汗し、或いは汗無き者を治す。
甘草 二両 
一銭 麻黄 四両 二銭
右二味、水五升を以って、先ず麻黄を煮て、上沫を去る。甘草を内れ、煮て三升を取る。一升を温服す。
水一合を以って煮て六勺を取る。重ねて覆し汗を出す。汗せずば再服す。風寒を慎む。
「裏水」越婢加朮湯之を主る。甘草麻黄湯も亦之を主る。

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四十二頁前半解説
標註                                            類聚方
鬱閼=気持がふさぐ
暈倒=くらんでたおれる
風寒を慎む=外気に当らないようにする

四十二頁後半

標註                                       類聚方
其の症同じからず。説は重校薬徴に在り。  為則按ずるに、水病にして腫脹し、或いは喘し、或いは自汗出で、或いは汗無き者、之を主る。

麻黄附子甘草湯
甘草麻黄湯證にして、而して悪寒し、或いは身微しく痛む者を治す。
麻黄 甘草 各二両 
一銭二分 附子 一枚 六分
右三味、水七升を以って、先ず麻黄を煮て、一両弗し、上沫を去り、諸薬を内れ、煮て三升を取る。滓を去り、一升を温服す。
水二合四勺を以って、煮て六勺を取る。日に三服す。

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四十二頁後半解説
標註                                            類聚方

ホソバオケラ=白朮

キク科 オケラ ホソバオケラ オオバナオケラの根茎を使用。白朮にはアトラクチロンが含まれ胃液の分泌を促進する。その他、利尿作用・血糖低下作用・抗炎症作用などが認められている。

ホソバオケラ 2009年11月23日 岐阜エーザイ薬用植物園にて撮影

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